初自作で気を付けたいこと9──PC外配線と設置場所について

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もうそろそろ終わりかな……と思ってましたが、まだありました。第9回目です。(これまでの記事まとめはこちら

今回はPCの中のお話ではなく、電源ケーブルやLANなど、外側につなぐ配線、設置場所などの話です。

このレベルの話になると、現在住んでいるお部屋の広さや他の家具の配置や大きさなども絡んできますので、一概に何かが言えるようなものでもないのですが、これから組もうというときに最低限意識の片隅に置いておくともしかしたら余計な苦労をしなくてもよくなるかも、程度には役に立つと思います。

要はお守りと同じ程度のお話です。

置こうとしてる場所はコンセントからどのぐらいの距離なのか確認する

言わずもがなみたいな話ですが、PCの中身ばかりに気を取られてしまい、いざ電源とるぞとなった際にコンセントから遠く、電源タップも届くけど十分な長さがない、みたいな状況に陥ってしまうことは間々あります。特に、届くけどちょっと無理してる、みたいな感じになるケースは割合多い気がします。

コンセントですが、なるべくならモニターなどの電源と別にしたほうがいいかなと思います。PCとモニター合わせてもそれほどの熱にはなりませんが、意識せず一つのコンセント口に負荷をかけすぎるような配線になってしまっていた場合、最悪家が燃えます

自分で把握できる程度のわかりやすさで別系統の配線を用意しておけば、足を引っかけて全部落ちるみたいなことは防げますし、熱の問題もそう発生しないはずです。

あと地味に大事ですが、雷サージ対策用のタップを買うことをお勧めします。当然ながらPCは電化製品なので、雷の影響をもろに受けます。タップだけで完全に防げるものでもありませんが、特にここ数年は落雷を伴う激しい雨が夏を中心に発生しやすい状況になっていますし、それほどの金額でもないので、万が一のことも考えて、簡単にできる対策として挙げておきます。

LANケーブルの長さと規格に気を付ける

これも自宅環境に大きく影響を受けるので一概に言えることではありませんが、もしイーサネット接続でインターネット環境を整えようとしているのであれば、ほとんどの場合PCのリアポート、つまりマザーボードのバックパネル側にある接続口を使用すると思いますが、最近は少なくとも1Gbps、たいていの場合には2.5Gbps、あと、ちょっと前にはやってましたが10Gbps用と、おそらく三つのうちのどれかになるかと思います。

で、LANケーブルには出た時期ごとに規格が与えられていて、1Gbpsまではcat.5、2.5Gbpsだとcat.5e、5Gbps-10Gbpsだとcat.6以上が、それぞれ対応しています。

まあいまだと、たいていはcat.6以上のものが市販されているはずなのでそれほど気にする必要もないとは思いますが、一応自分のマザーボードが用意している通信速度に対応したバージョン以上のものを選ぶことを意識したほうが良いと思います。最近は特にネット通販でよくわからず安いものを買ってしまって失敗するケースもそこそこありますので。

あと、LANケーブルの設置は➊の電源タップ以上に自宅環境の影響を受けると思いますので、事前にどれぐらいの長さが必要なのか実測しつつ、無線LANの使用も含めて慎重に判断したほうが良いです。とりあえず新しい規格のほうがよいだろうとcat.8のケーブルを買ってしまったはいいが、線が太すぎて曲げたいところでうまく曲がらない、みたいなこともありがちなので、その辺の取り回しも含めて設置の実際をとにかく想定しておきましょう。

モニターとの接続ケーブルはどの規格を使用するのか考える

現在、主にモニターとの接続で使用されるケーブルは二つあり、一つは言わずと知れたHDMI、もう一つはDisplayportです。HDMIのほうがいろいろな場所に使用されていて汎用性が高いとは言えますが、こちらも何気に規格に注意が必要なものです。

特に4Kモニターを使用したい人にとって、HDMIは注意が必要です。

最近でこそHDMI2.1対応の4Kモニターが出てきて120Hz対応を謳い、2.1規格のケーブルもそれなりに数が出るようになってきましたが、そのひとつ前の規格であり、現行で多く出回っているHDMI2.0ですと、4K60Hzまでしか対応していないので、高いモニター買っても効果が出ないなんてケースも出てきてしまいます。まあたいていの場合、モニターを買えばケーブルは付属しているのでそれほど心配する必要もないのですが、長さが足りないなどの場合にはケーブルを別途購入することもあるはずなので、その点は注意してください。

あと、HDMI2.0の中でも実はHDMI2.0、2.0a,2.0bという三種類があって、後ろに行くにしたがってより大きな転送レートになるので、バージョン2.0のものを買おうとする際には、もし気になるようであれば2.0bという表記のあるものを選んだほうがよいでしょう。

で、Displayportなのですが、基本的には現行のものはバージョン1.4になります。より普及しているのがHDMI(2.0)なので、何も知らずにいるとHDMIのほうを選んでしまいがちですが、色表現という項目があり、実はこちらはHDMI2.0よりDisplayport1.4のほうがよりよい性能を発揮します。HDMI2.0はRGB基準(というより正確にはYCbCr方式)でいえば8bitまでしか色表現は対応していませんが、Displayport1.4は、HDMI2.0より実は転送レートがより大きい関係もあって、10bit表現が可能です。色数でいえば、8bit表現は1677万色(RGB各色が2の8乗で256階梯分表現できるので、256の3乗分の色彩を持てる。これがフルカラーと呼ばれるやつ)ですが、10bit表現だと10億6433色(上の計算でいうと各色2の10乗になる)になります。

まあHDMI2.0でも限定的に10bit表現にできたり、また4Kモニターもかなり質の良いものでなければ(少なくとも10万円以上)真に10bit対応にはなっていなかったりするので、一概には言えないところもありますが、転送レートの優劣とそれに伴う色表現の格差が存在することは理解しておいたほうが良いと思います。(ただ、4KモニターではなくWQHD(QHD)やFHDのモニターを検討しているのであれば上記の話は問題がなくなりますので、その場合には好きに選べばよいと思います。)

また、Displayportだと、確かモニターとモニターをつなぐだけでデュアルディスプレイにできたはずなので、PC側には一本ケーブルをつなぐだけでいいという運用もできると思います……がその辺は気になるようであれば調べてください。少なくとも私は使ったことがないですが、便利っちゃ便利な機能なので。

じゃあDisplayportのほうがいいじゃないか、となりますが、DIsplayportはDisplayportで、モニターごとにその挙動が不安定だったりすることもあるので、これまた一概には言えない、という難しさもあります。私はお絵描きをすることもある関係でDisplayportのほうを選択していますが、取り回しの良さは多少HDMIのほうがよいかもなので、その辺はよく検討してくださればと思います。

最後に、モニターケーブルを接続するGPUの側の問題ですが、現在の多くのGPUは、Displayport3つ、HDMI1つの計4つの接続口が用意されていると思います。確かASUSのちょっとお高めのやつだとHDMIの口が二つあった気がしますが、それは例外といっていいでしょう。なので、デュアルモニターを考えている方は、Displayportを使わざるを得ない、ということも頭の片隅に置いておいていただければと思います。

使いたいUSBの規格を考える

これは上記モニターケーブルに比べればまだ面倒ではありませんが、マウス・キーボードや外付けのハードディスクなどの外部接続をどうするか、ケースのフロントに接続するのかリアに接続するのか、によって、机周りの配線の形がだいぶ変わってくるので、こちらもできるならあらかじめ検討しておき、可能であれば配線隠しや配線まとめのためのツールを購入する、ということも考えに入れておいたほうが良いと思います。

最近、ときおり海外のデスク環境などのサイトを覗いたりしているのですが、とてもデスク周りがきれいに整えられていて、中には全く配線の痕跡すら見えないというデスクすらあります。もちろんそういうデスクは無線のマウス・キーボードを使用しているのですが、それ以外の配線も机の裏側などにうまく隠してできるかぎりシンプルな見た目にするような工夫を施しています。

海外デスクツアーに出てくるようなスタイリッシュなデスク環境を考えていらっしゃる方は、PC周りのUSB接続についても計画的に考える必要があるでしょう。

また、USBの転送レートは規格によって結構異なるので、USBポートに余裕がない場合ならともかく、基本的にマウス・キーボードは2.0、データ転送をおこなう外部接続なら3.0以上にそれぞれつなぐことを意識するべきだと思います。

PCの筐体をデスクのどこに置くのか考える

これは地味で問題に上がりにくいですが、非常に難しく重要な問題でもあります。

mini-ITXを使うならともかく、初自作でそれは無謀なので基本的にはミドルタワーでの製作となるでしょうが、全部組み込んだPCは決して軽くない、むしろ重いですし、大きくてかさばる代物です。

また、自作の場合には、頻繁にとは言わずとも、それなりに中に手を入れる機会が多いと思いますので、その辺も踏まえて置き場所を考えたほうが良いと思います。

PCを載せるためのキャスターやPCワゴンなんかも販売されていますし、中にはDIYでそういったものを作成する人もいます。私の場合はデスクの広さを広げることもかねて、バウヒュッテの天板付きPCワゴンを購入しました。この辺もお部屋の広さとか使いようによってまちまちですが、PCの設置するスペースをうまく確保しつつ、配線問題を同時に考えると、具体的にいろいろな問題を考えやすいので、➎として書きましたが、まずはこちらの問題から考えるとよいでしょう。


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