米Altec Lansingが1945年発表した劇場用システム。515B Woofer + 288 Driver + 511B Horn・1950-70年代映画館標準機材。
Altec A7 Voice of the Theatre は、1945 年に米 Altec Lansing 社(前身 ERPI、Western Electric 子会社)が発表した劇場用フルレンジ音響システム。「劇場の声(Voice of the Theatre)」愛称で知られ、第二次世界大戦終戦と同時期に発表されてから 1950-70 年代の米国・日本の映画館標準機材として君臨、文字通り「劇場音響の代名詞」となった歴史的銘機である。
A7 システムは 515B Woofer(15 インチウーファー) + 288 Driver(高域コンプレッションドライバ) + 511B Horn(高域指向性ホーン) + 825 Cabinet(バスレフ筐体)の構成で、105dB/W という超高能率を実現。当時の真空管アンプ(Williamson、McIntosh MC30、Marantz 9 等)の数 W 出力でも劇場全体を埋めるパワーを発揮した。販売価格は当時 US$890(1955 年、現代換算 US$10,000)で、米国全土の数千劇場に納入された。価格は当時の本物完動品で US$5,000-15,000、レプリカモデル新品(Great Plains Audio 製)で US$8,000-12,000。
| 製品/規格 | 発表年 | 構成 | 能率 | 価格帯(当時) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Altec A7 Voice of the Theatre | 1945 | 515B+288+511B+825 |
| 105dB |
| US$890 |
| 劇場用システム |
| Altec A2 | 1949 | 515B+288+1505+811B+825 | 108dB | US$1,200 | A7 上位(A2-29 等) |
| Altec A4 | 1947 | 515B+288+803B Horn+825 | 110dB | US$1,500 | A2 / A7 上位 |
| JBL Hartsfield | 1955 | 150-4C+375+075 | 100dB | US$795 | 民生用 Corner Horn |
| Klipschorn | 1946 | K-77+K-55+K-33 | 105dB | US$650 | 民生用 Corner Horn |
A7 の現代 Hi-Fi 用途では 真空管アンプとの組合せが定石。105dB/W の超高能率により、SET(300B、2A3、45)の数 W 出力で十分な音量を得られる。McIntosh MC275 / Marantz 8B / Audio Note Soro 等の名機との組合せが Audiophile 業界の標準。
注意点として、A7 は 元々劇場用設計のため、家庭用には音圧過多になる傾向。家庭の 6-12 畳和室では音量を絞った状態でも能率の高さで「あちこちから音が出る」感覚になる。25 畳以上のリスニングルームが推奨される。
また、A7 は 大型システム(H1,118 × W760 × D560 mm × 2 台)のため、設置スペースに余裕が必要。床の耐荷重も合計 100 kg 級で確認すべき。SCRP 等の防振フット併用が推奨される。
| 用語 | 用途 | 構成 | A7 との違い |
|---|---|---|---|
| Altec A4 | 大型劇場 | 803B 大型ホーン | A4 は大型、A7 は中型 |
| Altec A8 Iconic | 中型劇場 | 1005B Horn | A8 は民生指向、A7 は劇場専用 |
| JBL Hartsfield | 民生用 | Corner Horn | JBL は民生用、A7 は劇場用 |
Q1: 完動品 A7 の入手は可能か? A: 米国・日本のヴィンテージオーディオ市場で年間 50-100 セット程度流通する。価格は完動品 US$5,000-15,000、ハーフレストア US$3,000-8,000、ジャンク US$1,500-3,000 程度。完動品は争奪戦になりやすく、信頼できるディーラー経由が安全。
Q2: 現代の Hi-Fi 機器との互換性は? A: 16Ω インピーダンス・105dB 能率のため、現代の半導体アンプ(高出力低能率向け)との組合せでは音圧過多 + ダンピング不適合になる。真空管アンプ(SET、PP)との組合せが必須。
Q3: 復刻 A7 とオリジナルの差は? A: Great Plains Audio の復刻品は元 Altec エンジニアが設計するため、音質的にオリジナルに極めて近い。ただし「歴史的価値・希少性」は復刻品にはなく、投資商品としてはオリジナルが勝る。実用機材としてはコスパで復刻品が現実的。