Aya Expanse(アヤ エクスパンス)
Cohere for AIが2024年に公開した多言語特化LLMシリーズ。8Bと35Bの2モデルで23言語に対応し、多言語DPO(Direct Preference Optimization)を適用して非英語言語の応答品質を大幅に向上させた。
Aya Expanse — Cohere for AIの多言語特化LLM
概要
Aya ExpanseはCohere for AIが2024年10月に公開した多言語大規模言語モデルシリーズ。8Bと35Bの2モデルで構成され、23言語に対応した高品質な多言語応答生成を実現する。前世代のAya 23と比べてモデル効率と多言語性能を大幅に改善した。
主要スペック
| 項目 | Aya Expanse 8B | Aya Expanse 35B |
|---|---|---|
| パラメータ数 | 8B | 35B |
| 対応言語数 | 23言語 | 23言語 |
| ライセンス | Apache 2.0 | Apache 2.0 |
| 公開日 | 2024年10月 | 2024年10月 |
| ベース | Command R系 | Command R+系 |
対応言語
Aya Expanse 8B/35Bが対応する23言語:
- 欧州系: 英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、オランダ語、ポーランド語、ロシア語、チェコ語、ルーマニア語
- アジア系: 日本語、中国語(簡体字)、韓国語、ヒンディー語
- 中東・アフリカ系: アラビア語、トルコ語
- その他: ウクライナ語、ギリシャ語、ヘブライ語、ペルシャ語、ベトナム語、インドネシア語
多言語DPOの適用
Aya Expanse最大の技術革新は多言語DPO(Direct Preference Optimization)の大規模適用。従来の多言語LLMは英語データで訓練されたモデルに多言語データをファインチューニングするアプローチが多く、非英語言語での品質が劣りがちだった。
Aya Expanse では:
- ネイティブスピーカーによる品質評価: 各言語のネイティブスピーカーが2つの応答の優劣を判定
- 言語バランスのとれたDPOデータ: 英語偏重を避け、各言語均等な好みデータを収集
- Ayaコミュニティとの連携: Cohere for AIが主導する世界的ボランティアコミュニティ(119カ国)からのフィードバック
これにより、Aya Expanse 8BはGPT-4o miniや競合する同規模モデルを多言語ベンチマーク(Aya Evaluation Suite)で上回る性能を達成。
ベンチマーク性能
Aya Expanse 8B(23言語平均):
- Aya Evaluation Suite: GPT-4o mini、Gemini 1.5 Flash 8B、Llama 3.1 8Bを上回る
- 非英語言語での preference win rate: 競合8Bモデル比+8〜15pt
Aya Expanse 35B:
- GPT-4oおよびGemini 1.5 Proに匹敵する多言語性能
- 英語以外の言語でのユーザー満足度で商用クローズドモデルと同水準
Ayaコミュニティとのエコシステム
Cohere for AI研究チーム
↓ 基盤モデル設計・訓練
Ayaコミュニティ(119カ国ボランティア)
↓ 多言語データ・評価フィードバック提供
Aya Expanse(多言語DPO適用)
↓ Apache 2.0でオープン公開
研究者・企業(カスタマイズ・商用利用)
Ayaプロジェクトは世界中のボランティアが多言語AIデータを収集・検証するコミュニティ駆動型プロジェクト。Aya CollectionやAya Datasetなど複数のデータセットを公開しており、多言語AI研究の重要なリソースとなっている。
Apache 2.0ライセンスと商用利用
Aya Expanse 8B・35BはともにApache 2.0ライセンスで公開され、商用利用が完全に許可されている。
利用可能な場面:
- 多言語カスタマーサポートシステムの基盤モデル
- 多言語コンテンツ生成・翻訳ツール
- 非英語圏向け検索エンジン・Q&Aシステム
- 多言語教育・言語学習アプリケーション
前世代との比較
| モデル | 公開年 | 言語数 | 最大パラメータ |
|---|---|---|---|
| Aya 101 | 2024年初頭 | 101言語 | 13B |
| Aya 23 | 2024年中 | 23言語 | 35B |
| Aya Expanse | 2024年10月 | 23言語 | 35B |
Aya 101が言語数の広さを優先したのに対し、Aya 23とAya Expanseは高品質な23言語に特化。Aya Expanseはそこにさらに多言語DPOと最新のCommand R系アーキテクチャを適用した最高品質版。
実装例
# Transformersでの利用(Aya Expanse 8B)
from transformers import AutoTokenizer, AutoModelForCausalLM
model_id = "CohereForAI/aya-expanse-8b"
tokenizer = AutoTokenizer.from_pretrained(model_id)
model = AutoModelForCausalLM.from_pretrained(model_id, torch_dtype="auto")
messages = [
{"role": "user", "content": "自作PCを組む際のCPUとGPUの選び方を教えてください。"}
]
inputs = tokenizer.apply_chat_template(messages, return_tensors="pt", tokenize=True, add_generation_prompt=True)
outputs = model.generate(inputs, max_new_tokens=500)
print(tokenizer.decode(outputs[0]))
# Cohere APIでの利用(Cohere APIキーが必要)
import cohere
co = cohere.Client("YOUR_API_KEY")
response = co.chat(
model="c4ai-aya-expanse-8b",
message="자작 PC 조립 시 CPU와 GPU 선택 방법을 알려주세요", # 韓国語
)
print(response.text)
まとめ
Aya Expanseは多言語LLMの実用性を大幅に向上させた重要モデル。特に多言語DPOの適用により、英語以外の言語でも商用クローズドモデルに匹敵する品質を達成している。Apache 2.0での公開により、多言語AI製品・サービスの開発基盤として幅広く活用されている。