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Commodore PET (1977)(コモドールペット)

1977年に発表された、モニター・キーボード・データ記録機能を一体化した世界初のオールインワン型パーソナルコンピュータ。MOS 6502を搭載し、個人用PCの黎明期を築いた。

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2026/5/17 更新
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Commodore PET (1977)

概要

1977年にCommodore Internationalから発表されたPET(Personal Electronic Transactor)シリーズは、コンピュータ史における「個人用計算機の民主化」を象徴する存在です。それまでのAltair 8800のような、高度な知識を持つ自作ユーザー向けのキット形式ではなく、モニター、キーボード、データ記録装置が最初から統合された「オールインワン型」の設計を採用しました。この形態は、電源を入れるだけで即座にプログラミングや計算が可能であることを意味し、教育機関やビジネスにおける導入障壁を劇的に下げました。

搭載されたMOS Technology 6502プロセッサは、その後のApple IIやNES(ファミリーコンピュータ)にも採用されることとなり、低コストかつ高効率なコンピューティングの基盤を構築しました。垂直統合型のビジネスモデルにより、自社製チップを活用した圧倒的なコストパフォーマンスを実現し、家庭用コンピュータ市場の拡大を牽引しました。

スペック表

コンポーネント仕様詳細
CPUMOS Technology 6502 (動作クロック 約1MHz)
メモリ (RAM)4KB / 8KB / 16KB / 32KB(モデルによる)
ディスプレイ内忘モノクロCRT(文字表示メイン)
入力デバイスキーボード一体型
データ記録カセットテープ・インターフェース搭載
アーキテクチャ8ビット・マイクロコンピュータ

比較表:1977年の三位一体 (The 1977 Trinity)

特徴Commodore PETApple IITRS-80
設計コンセプトオールインワン・統合型拡張性重視のモジュール型低価格な汎用機
グラフィックスモノクロ(基本)カラー表示可能モノクロ/低解像度カラー
主なターゲット教育・科学・ビジネスホビーユーザー・クリエイター家庭・小規模ビジネス
拡張性限定的(一体型ゆえの制約)極めて高い(スロット式)中程度

関連用語との違い

VIC-20 / Commodore 64 との系譜

PETは「Transactor(トランザクター)」の名が示す通り、計算と入出力を統合したプロフェッショナル・教育向け機材としての側面が強いものでした。これに対し、後継のVIC-20や伝説的なC64は、より「家庭用ゲーム・エンターテインメント」に特化した進化を遂げています。PETがモノクロ表示とテキスト処理を中心としていたのに対し、C64は高度なスプライト機能やカラーグラフィックスを搭載し、マルチメディア機としての地位を確立しました。しかし、MOS 6502という共通の心臓部を持つことで、プログラミングのパラダイムは一貫して受け継がれました。

現代におけるレトロコンピューティング

2020年代後半においても、PETのアーキテクチャは「エミュレーション」や「FPGAによる再現」を通じて、低レイヤー・プログラミングの学習リソースとして活用されています。現代の複雑すぎる抽象化層(OS)を介さず、ハードウェアに直接命令を送る体験は、組み込みエンジニアリングの基礎理解において極めて価値が高いものです。

FAQ

Q1: なぜ「三位一体」と呼ばれたのですか?

A1: 1977年に登場したCommodore PET、Apple II、TRS-80の3機種が、それぞれ異なるアプローチ(統合型、拡張型、低価格型)で個人用PC市場を定義し、それまでの「自作キット」から「完成品としてのコンピュータ」へのパラダイムシフトを引き起こしたためです。

Q2: 当時の主な用途は何でしたか?

A2: 内蔵モニターとキーボードによる使いやすさから、学校のプログラミング教室や科学研究、小規模な事務計算に広く利用されました。カセットテープを用いたデータ保存は、当時の家庭用コンピュータにおける標準的なストレージ手法となりました。

Q3: 現代のエンジニアがPETから学べることは?

A3: メモリ管理、割り込み処理、およびアセンブリ言語によるハードウェア制御の基礎です。リソースが極めて限られた環境(数KBのRAM)でいかに効率的なコードを書くかという課題は、現代のIoTデバイスやマイクロコントローラの最適化技術に通じるものがあります。

この記事について
カテゴリー一般用語
難易度中級
作成日2026/5/17