描画面自体にディスプレイを内蔵したグラフィックタブレット。ペンで画面に直接描画できるため紙に描く感覚に近く、直感的な操作性が最大の特徴。プロイラストレーター・漫画家の標準ツールとなっている。
液晶ペンタブレット(通称「液タブ」)とは、IPS液晶やOLEDなどのディスプレイパネルを描画面に内蔵したグラフィックタブレットである。ペンで画面上に直接描画できるため、紙にペンで描く感覚にきわめて近い操作感を実現している。
液タブの描画品質はディスプレイパネルのスペックに大きく左右される。主要な評価軸は解像度・色域カバー率・最大輝度・ラミネート加工の有無である。
| 製品 | 画面サイズ | 解像度 | 色域 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| Wacom Cintiq 16 | 15.6インチ | FHD | sRGB 96% | 約75,000円 |
| Wacom Cintiq Pro 27 | 26.9インチ | 4K | Adobe RGB 99% | 約360,000円 |
| XP-Pen Artist Pro 16 Gen 2 | 15.6インチ | 2.5K | sRGB 99% | 約50,000円 |
| HUION Kamvas Pro 24 (4K) | 23.8インチ | 4K | sRGB 99% | 約85,000円 |
| Xencelabs Pen Display 24 | 23.8インチ | 4K | Adobe RGB 99% | 約180,000円 |
プロフェッショナルの印刷・映像制作用途ではAdobe RGB 99%以上のカバー率が求められ、Wacom Cintiq ProやXencelabs Pen Display 24が該当する。Web用途・SNSイラスト中心であればsRGB 99%カバーのモデルで十分である。
液タブの操作感を左右する重要な要素がラミネート加工(フルラミネーション)である。ラミネート加工されたディスプレイは、保護ガラスと液晶パネルの間の空気層を排除し、ペン先と画面上の描画位置のズレ(パララックス/視差)を最小化する。
エントリーモデル(HUION Kamvas 13等)ではラミネート非加工のため1〜2mmのパララックスが生じるが、上位モデル(Wacom Cintiq Pro/Xencelabs Pen Display等)では0.5mm以下に抑えられている。
液タブの最大の弱点は発熱である。バックライト付きディスプレイを手元で長時間使用するため、夏場は描画面の表面温度が40℃を超えることがある。手汗による誤入力やペンの滑りにも影響する。
対策として、USB扇風機で描画面を冷やす、描画用グローブ(二本指グローブ)を着用する、エアコンの効いた環境で作業するなどの工夫が必要になる。OLEDパネル搭載の次世代液タブではバックライトが不要なため発熱が大幅に改善される見込みである。
液タブはスタンドに立てて使用するのが一般的である。角度は15〜80°の範囲で調整可能なモデルが多く、20〜30°が長時間作業に適した角度とされている。Wacom Cintiq Pro付属のErgoスタンドやVESAマウントアーム(75×75mm/100×100mm対応)を使うことで、デスク上のスペースを節約しつつ最適なポジションを確保できる。
多くの液タブはHDMI/DisplayPort/USB-C入力を備えており、通常の外部モニターとしても使用可能である。ただし、リフレッシュレートが60Hzに制限されているモデルが多く、ゲーミング用途には不向きである。
同一メーカー・同一世代であれば互換性があるケースが多い。例えばWacom Pro Pen 2はCintiq Pro/Intuos Proで共用可能。ただし他メーカー間の互換性はない。
通常のモニターと同程度の目の疲れが生じる。至近距離で画面を見続けるため、20-20-20ルール(20分ごとに20フィート先を20秒見る)の実践とブルーライトカットフィルムの貼付が推奨される。