2種類のプラスチックを二重に射出成形して製造するキーキャップ。文字部分と本体が別素材で一体成形されるため印字が物理的に消えることがなく、最も耐久性の高い印字方式として評価されている。
ダブルショット(Double-shot)キーキャップは、2種類のプラスチックを順番に金型に射出して一体成形する製造技術で作られたキーキャップである。文字(レジェンド)部分と本体部分が物理的に別の素材で構成されるため、どれだけ使い込んでも印字が摩耗で消えることがない。メカニカルキーボード愛好家に最も評価される印字方式である。
ダブルショット成形の工程は以下の通りである。
この工程により文字部分と本体部分が完全に一体化した2色のキーキャップが完成する。文字は「印刷」ではなく「物理的に別素材が埋め込まれた構造」であるため、原理的に消えることがない。
| 印字方式 | 耐久性 | コスト | 色の自由度 | 代表メーカー |
|---|---|---|---|---|
| ダブルショット | 最高(永久) | 高い | 高い(2色自由) | GMK, JTK, Akko |
| 昇華印刷 | 高い | 中程度 | 制限あり(暗色のみ) | ePBT, NicePBT |
| レーザー刻印 | 中程度 | 安い | 制限あり | 量産品に多い |
| パッドプリント | 低い | 最安 | 高い | 廉価製品に多い |
ダブルショット成形には ABS と PBT の両方が使用される。
ABS ダブルショットは色の再現性が高く、鮮やかなカラーセットに適している。GMK がこの分野の代表的メーカーで、数百種類のカラーバリエーションから精密に色指定できる。ただし ABS の特性上、長期使用でテカリが出る。
PBT ダブルショットはテカリ耐性と耐久性に優れる。以前は PBT のダブルショット成形は技術的に困難とされていたが、近年は JTK・Akko・NicePBT など多くのメーカーが高品質な PBT ダブルショット製品を展開している。
一部のキーキャップでは3種類の素材を使う トリプルショット 成形も採用されている。文字部分・装飾部分・本体部分をそれぞれ別素材で成形することで、より複雑な多色デザインが可能になる。主にアクセントキーや特殊デザインのキーキャップで見られる。
A1: 一般的な昇華印刷やレーザー刻印より高価だが、近年は Akko など中価格帯メーカーの参入で手頃な選択肢も増えている。セット価格で3,000〜15,000円程度が相場。
A2: ダブルショットキーキャップの文字部分を半透明素材にした「シャインスルー」タイプがあり、RGBバックライトを透過させる。ゲーミングキーボード向けに人気が高い。
A3: ドイツの Cherry 社の金型を引き継いだ GMK が、ABS ダブルショット成形で業界最高水準の品質と色精度を実現しているため。ただし生産はグループバイ(共同購入)形式が多く、入手までに数ヶ月〜1年以上かかることもある。