AI・機械学習
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ESM-3(イーエスエムスリー)

Metaが2024年に発表した科学的基盤モデル。タンパク質の配列・構造・機能を統合的に学習した生成モデルで、新規タンパク質の設計が可能。

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2026/6/6 更新
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ESM-3とは

ESM-3(Evolutionary Scale Modeling 3)は、Meta AI ResearchのEvolutionary Scale社チームが2024年に発表したタンパク質科学向け生成AI基盤モデル。ESM-1・ESM-2と続く系譜の第3世代であり、従来の配列のみの学習から配列・構造・機能の3モダリティ統合へと大幅進化した。

アーキテクチャ

ESM-3は98億パラメータのトランスフォーマーモデルで、マスク言語モデリング(MLM)形式で学習される。

3つの入力/出力モダリティ:

  1. Sequence(配列): アミノ酸配列のトークン化表現
  2. Structure(構造): 原子座標をVQ-VAEでトークン化した「構造トークン」
  3. Function(機能): Gene Ontologyアノテーションを埋め込んだ機能トークン

各モダリティを単独または組み合わせて入力し、欠損モダリティを生成するマルチモーダル補完が可能。

学習スケール

  • 配列データ: ~2.78億タンパク質配列(UniRef/MGnifyほか)
  • 構造データ: ~2,160万構造(PDB + ESMFoldによる予測構造)
  • 機能データ: ~5.39億 InterPro/GO アノテーション
  • 学習トークン: 約1兆686億トークン
  • モデルサイズ: 3億(ESM-3 Small)/ 9.8B(ESM-3)/ 98B(ESM-3 Large、非公開)

主要な実証実績

新規蛍光タンパク質の設計

ESM-3は自然界の蛍光タンパク質(GFP族)とわずか58%の配列同一性しか持たない新規タンパク質(esmGFP)を設計し、実験室で蛍光活性を確認。これは5億年分の進化距離に相当する新規性とされる。

ゼロショット機能予測

構造・機能トークンを活用したゼロショット変異効果予測でSOTA性能を達成。

ESM-2との違い

モダリティ: 配列のみ→配列・構造・機能へ。生成能力: なし(エンコーダ)→あり(生成モデル)へ。構造予測: ESMFold別モデル→統合へ。設計タスク: 配列マスク補完→三モダリティ条件付き生成へと進化した。

アクセス

ESM-3のSmall/Mediumモデルはオープンソース(非商用)で公開。APIはEvolutionary Scale社のHugging Face経由で利用可能。商用利用は別途ライセンス。

応用分野

  • 酵素設計: 特定基質への結合最適化
  • 医薬品タンパク質: 抗体・サイトカイン・ホルモンの工学
  • 生体材料: 自己組織化ペプチド設計
  • 構造解析支援: 低解像度実験データへの構造トークン補完

ESM-3は「タンパク質のためのGPT」とも称され、生物学的発見を加速するAI基盤モデルとして製薬・農業バイオテクノロジー分野で注目されている。

この記事について
カテゴリーAI・機械学習
難易度上級
作成日2026/6/6