FT-IR Bruker Tensor/PerkinElmer/Nicolet iS 1949-2026(エフティーアイアール)
フーリエ変換赤外分光計。1949年John Strong FT-IR起源+Bruker Tensor II/PerkinElmer Spectrum Two/Thermo Nicolet iS50+Michelson干渉計+波数4000-400cm-1+ATR/透過/反射+官能基同定+ポリマー/医薬品分析
概要
フーリエ変換赤外分光計(FT‑IR)は、1949 年に John Strong が開発した Michelson 干渉計をベースに、光源からサンプルへ照射した光の干渉パターン(インターフェログラム)を高速に取得し、数値解析で波数別の吸収強度を求める装置です。
Bruker、PerkinElmer、Thermo Nicolet などのメーカーは、同一原理を応用しつつ、ユーザーインターフェース、データ処理、サンプルモード(ATR、透過、反射)を差別化しています。
代表的な機種は以下のとおりです。
| 製品名 | 型番 | 主要スペック | 価格帯(USD) | 発売年 |
|---|---|---|---|---|
| Bruker | Tensor II | 4000–400 cm⁻¹, 0.5 cm⁻¹, 64 scan, 2 s/scan | 35 000 | 2005 |
| Bruker | Tensor 27 | 4000–400 cm⁻¹, 0.25 cm⁻¹, 128 scan, 1 s/scan | 45 000 | 2018 |
| PerkinElmer | Spectrum Two | 4000–400 cm⁻¹, 0.4 cm⁻¹, 32 scan, 3 s/scan | 30 000 | 2010 |
| Thermo Nicolet | iS 50 | 4000–400 cm⁻¹, 0.5 cm⁻¹, 64 scan, 2 s/scan | 28 000 | 2008 |
| Thermo Nicolet | iS 70 | 4000–400 cm⁻¹, 0.2 cm⁻¹, 256 scan, 1 s/scan | 55 000 | 2022 |
| Bruker | Tensor 27 + | 4000–400 cm⁻¹, 0.1 cm⁻¹, 512 scan, 0.5 s/scan | 70 000 | 2024 |
※価格は概算で、オプションやサービス契約により変動します。
主な特徴・仕組み
- Michelson 干渉計
光源(通常はヘリウム・水銀灯または CO₂ レーザー)から出た光を分光器で分割し、可動鏡と固定鏡で反射させます。可動鏡の位置を変えることで光路差が変化し、干渉パターンが生成されます。 - インターフェログラムの取得
取得速度は 0.5–2 s/scan で、1 scan で 64–512 点のデータを取得。高速データロガーと同期して、リアルタイムで波形を記録します。 - フーリエ変換
取得したインターフェログラムを高速フーリエ変換(FFT)し、波数(cm⁻¹)領域のスペクトルへ変換。解析精度は 0.1–0.5 cm⁻¹。 - サンプルモード
- ATR(接触型) – 近赤外領域で高い感度。薄膜や表面分析に最適。
- 透過 – 透明試料(液体、薄膜)に適用。
- 反射 – 金属や高反射率試料で使用。
- 検出器
- MCT(HgCdTe) – 4000–400 cm⁻¹ で高感度。
- DTGS(熱電対) – コストパフォーマンスが高い。
- データ処理
- 自動ピーク検出、ベースライン補正、定量解析。
- 2025‑2026 年の新機種では AI ベースのスペクトル分類アルゴリズムが標準装備。
具体例・対応製品 (テーブル必須)
| 製品名 | 主要用途 | 互換アクセサリ | 付属ソフトウェア | 2025‑2026 年のアップデート |
|---|---|---|---|---|
| Bruker Tensor II | ポリマー・医薬品 | ATR‑K1、透過用スライド | OPUS 7.0 | AI スペクトルマッチング機能追加 |
| Bruker Tensor 27 | 高分解能化学分析 | 透過用 10 mm スライド | OPUS 7.1 | 0.1 cm⁻¹分解能に対応 |
| PerkinElmer Spectrum Two | 食品・環境 | ATR‑K2、反射用プレート | Spectrum Software 12 | 低ノイズ MCT ディテクタ導入 |
| Thermo Nicolet iS 50 | 医薬品品質管理 | ATR‑K3、透過用 5 mm スライド | Nicolet iS 50 Software | 5 s/scan で高速スキャンモード |
| Thermo Nicolet iS 70 | 高精度化学分析 | ATR‑K4、反射用プレート | Nicolet iS 70 Software | 0.2 cm⁻¹分解能、AI 解析 |
選び方・注意点
- 解析対象の波数範囲
4000–400 cm⁻¹ が標準ですが、特定の官能基(例:C≡C 2100 cm⁻¹)を検出したい場合は、波数範囲の拡張が必要。 - 分解能とスキャン速度
0.5 cm⁻¹ で 64 scan の場合、2 s/scan が一般的。高速解析が必要なら 0.2 cm⁻¹ で 256 scan まで対応可能な機種を選択。 - 検出器の種類
MCT は高感度だがコストが高い。DTGS は安価だが感度が低い。サンプルの濃度や測定環境に応じて選択。 - サンプルモード
ATR は薄膜や表面分析に有効。透過は液体・固体の薄膜に適用。反射は金属試料に必須。 - ソフトウェア機能
データ解析の自動化や AI 解析機能があるか確認。特に 2025‑2026 年の新機種は、スペクトルライブラリのクラウド連携が標準。 - 保守・サポート
長期的に使用する場合は、部品交換の容易さやメーカーのサポート体制を確認。
関連用語との違い
| 用語 | 主な特徴 | FT‑IR との比較 |
|---|---|---|
| Raman 分光 | 逆散乱光で分子振動を測定 | FT‑IR は吸収、Raman は散乱。水分子は FT‑IR で強いが、Raman では弱い。 |
| NIR(近赤外) | 8000–12 000 cm⁻¹ | FT‑IR は 4000–400 cm⁻¹。NIR は分子結合のオーバーハーモニクスを測定。 |
| MIR(中赤外) | 4000–400 cm⁻¹ | FT‑IR は MIR を主に測定。 |
| ATR-FT‑IR | 接触型サンプル測定 | 通常の FT‑IR ではサンプルを透過させるが、ATR は接触で測定。 |
よくある質問 (FAQ)
Q1. Bruker Tensor II と PerkinElmer Spectrum Two の主な違いは何ですか?
A1. Tensor II は 0.5 cm⁻¹ の分解能と 64 scan で高速スキャンが可能。Spectrum Two は 0.4 cm⁻¹ で 32 scan だが、ソフトウェアのユーザーインターフェースが直感的で、ATR アクセサリが標準装備。用途に応じて選択が推奨される。
Q2. ATR モードと透過モードの違いは何ですか?
A2. ATR はサンプルと ATR アクセサリの接触面で光が反射し、表面近傍の情報を取得。透過はサンプルを光が通過させ、内部全体の吸収を測定。ATR は薄膜や不透明試料に有効、透過は透明試料に適用。
Q3. FT‑IR の波数精度をどのように校正しますか?
A3. 通常、硫酸水素カリウム(KBr)や炭酸カルシウム(CaCO₃)標準試料を使用し、ピーク位置を確認。波数オフセットが 0.1 cm⁻¹ 未満であれば校正済みとみなす。
まとめ
FT‑IR は 1949 年に始まった光学分光法で、Bruker、PerkinElmer、Thermo Nicolet などが提供する機種は、波数範囲 4000–400 cm⁻¹、分解能 0.1–0.5 cm⁻¹、スキャン速度 0.5–2 s/scan を網羅。2025‑2026 年の新機種では AI 解析や高速 MCT ディテクタ、クラウドベースのデータ管理が標準装備され、ポリマー・医薬品・食品・環境分野での応用が拡大しています。選択時は解析対象、分解能要件、サンプルモード、ソフトウェア機能を総合的に評価し、長期的な保守体制も確認することが重要です。