富士通 LOOX S(フジツウルークスエス)
富士通が 2002-2003 年に発売した Crusoe TM5800 搭載の超軽量モバイルノート PC。重量 990g / 8.4 インチ画面 / USB / PCMCIA / CF 対応で当時のサブノート市場を牽引、Crusoe で超低消費電力を実現。
概要
富士通 LOOX S(フジツウ ルークス エス)シリーズは、富士通が 2002-2003 年に発売した Transmeta Crusoe TM5800 搭載の超軽量モバイルノート PC 系列です。LOOX(Look の発音由来、「未来を見る」コンセプト)は富士通のモバイル PC ブランドで、2000 年代初頭の同社モバイル戦略の中核に位置付けられました。LOOX S シリーズは「サブノート」型(8 インチクラスの小画面 + 軽量本体)として展開され、LOOX T シリーズ(より大型のフルサイズノート)・LOOX U シリーズ(2006 以降の超小型 UMPC)と並ぶ富士通モバイル PC のラインナップを構成しました。
LOOX S5(2002 年 5 月発売、Crusoe TM5800 800MHz、重量 990g、8.4 インチ XGA、¥199,800)を初代として、LOOX S7(2002 年 11 月、Crusoe 1GHz、512MB RAM、30GB HDD)・LOOX S73C(2003、改良版、Crusoe 1GHz)などの派生機を 2 年間にわたって展開しました。Transmeta Crusoe の超低消費電力(1-3W TDP)を活かし、990g + 8.4 インチ XGA(1024×768)+ 標準バッテリで 5-7 時間駆動 + Wi-Fi 802.11b + Bluetooth 1.1 + USB 2.0 + PCMCIA Type II + CF Type II 対応という、当時のサブノート市場を牽引する仕様を実現しました。
ターゲット市場は、ビジネスエグゼクティブ層 / 業務出張ユーザー / モバイルワーカー / 営業職員 / IT 担当者などの「重い PC を持ち歩きたくないが、本格的な業務 PC 機能が必要」なプロフェッショナル層でした。Microsoft Windows XP Professional / Home Edition + Microsoft Office + 業務アプリの組み合わせで本格的な PC 業務をこなせ、出張 / プレゼン / 営業先での提案資料作成 + メール対応に重宝されました。
価格は ¥199,800-¥249,800(2002-2003 年時)と、当時のサブノート市場の中堅価格帯で、Sony VAIO U シリーズ($1,799-$2,499)よりやや安く、Sony VAIO T シリーズ(¥249,800)・Toshiba Dynabook SS(¥199,800-¥299,800)・Panasonic Let's note(¥229,800-¥299,800)と並ぶ国内サブノート PC の主要機種として展開されました。
しかし、2003 年以降に Intel が Pentium M(Banias、Centrino プラットフォーム)を投入したことで Crusoe の優位性が崩れ、富士通も 2004-2005 年に LOOX S 系列を Pentium M ベースの後継機(LOOX P / R シリーズ)に移行しました。LOOX S 自体は 2003 年に世代終了、Crusoe 採用機種としては比較的長期間運用されたシリーズとなりました。後継 LOOX P / R / U シリーズは 2010 年代まで継続し、富士通モバイル PC の主軸として展開されました。
主な特徴・仕組み
- メーカー: 富士通(Fujitsu)。
- 公開: 2002 年 5 月発売(LOOX S5 初代)、2003 年に S7 / S73C で世代終了。
- プロセッサ: Transmeta Crusoe TM5800 800MHz(初代)→ 1.0GHz(後期)。
- メモリ: 256MB-512MB DDR-SDRAM。
- ストレージ: 20-30GB 2.5 インチ HDD。
- ディスプレイ: 8.4 インチ XGA(1024×768)TFT 液晶。
- キーボード: 内蔵フルサイズ QWERTY(85% サイズ)。
- 重量: 990g(LOOX S5 初代、L バッテリで 1.1kg)。
- サイズ: 約 232×170×27mm。
- 接続: Wi-Fi 802.11b、Bluetooth 1.1、USB 2.0、PCMCIA Type II、CF Type II、ステレオオーディオ、Ethernet RJ45。
- バッテリ: 標準 5 時間、L バッテリ 7-9 時間。
- OS: Microsoft Windows XP Professional / Home Edition。
- 派生: LOOX S5(2002)、LOOX S7(2002)、LOOX S73C(2003)。
- 価格: ¥199,800-¥249,800。
- 後継: LOOX P / R シリーズ(2004-、Pentium M ベース)。
富士通 LOOX シリーズ系譜
| シリーズ | 公開年 | プロセッサ | 用途 |
|---|---|---|---|
| LOOX S | 2002-2003 | Crusoe TM5800 | サブノート |
| LOOX T | 2003-2007 | Pentium M | フルサイズモバイル |
| LOOX P | 2004-2007 | Pentium M ULV | サブノート後継 |
| LOOX R | 2003-2008 | Pentium M / Core 系 | 軽量フルサイズ |
| LOOX U | 2006-2010 | Atom / Core ULV | 超小型 UMPC |
自作PCユーザー向けの注意点
LOOX S シリーズは現在新規購入できませんが、レトロモバイル PC コレクター・2000 年代初頭サブノート PC 環境再現マニアにとっては魅力的な機種です。中古市場では LOOX S5 / S7 / S73C が ¥10,000-50,000 で稀に流通中、状態 / 完備性により価格が変動します。
注意点として、LOOX S シリーズの HDD は 2.5 インチ IDE 接続(初代)・後年 SATA で、現代の 2.5 インチ SATA SSD への換装は可能ですが、IDE 版は IDE-to-SATA 変換アダプタが必要です。Windows XP のサポート終了(2014)で OS のセキュリティパッチは入手不可、現代用途には向きません。レトロ Windows XP 環境再現 + 2000 年代初頭サブノート PC 体験用途に限定されます。
関連用語との違い
- Sony VAIO U シリーズ: 同時代の競合超小型 UMPC、5 インチ画面で LOOX S より一回り小型。
- OQO Model 01: 同時代の超小型 UMPC、5 インチで 400g とさらに小型。
- 富士通 LOOX T / P / R / U: 富士通モバイル PC の他シリーズ。
- Panasonic Let's note R シリーズ: 同時代の国内軽量モバイル競合。
- Toshiba Dynabook SS: 同時代の国内サブノート競合。
よくある質問(FAQ)
Q1: なぜ富士通は Crusoe を採用したのですか? A: Transmeta Crusoe の超低消費電力(1-3W TDP)が、990g 軽量筐体 + 5-7 時間バッテリ駆動を可能にしたためです。当時の Intel Pentium III-M / Pentium 4-M(15-25W TDP)では、同等のバッテリ駆動 + 軽量化を実現することが困難でした。
Q2: なぜ Crusoe 採用機種は衰退したのですか? A: 2003 年に Intel が Pentium M(Banias、Centrino プラットフォーム)を投入し、Crusoe より高性能 + 同等以下の消費電力 + Intel ブランド + ソフトウェアエコシステムの圧倒的優位を獲得したためです。富士通も 2004-2005 年に LOOX S 系列から LOOX P / R(Pentium M ベース)に移行しました。
Q3: 現代で LOOX S を試す方法は? A: 中古実機の入手 + IDE-to-SATA 変換 + SSD 換装で延命運用が可能です。Windows XP は脆弱性が多いためネット接続なしで完全オフライン運用が現実的です。当時の Crusoe + Windows XP 環境を体験する用途に限定されます。
まとめ
- 富士通 2002-2003 年発売の Crusoe サブノート PC
- 重量 990g + 8.4 インチ XGA + 5-7 時間バッテリ駆動
- ビジネスエグゼクティブ層から熱狂的支持
- 2004 年以降 Pentium M ベース LOOX P / R へ移行