GLA(Gated Linear Attention)(ジーエルエーゲーテッドリニアアテンション)
ゲート機構を線形アテンションに組み込みSoftmax Attentionの二次計算量を回避しながら選択的な情報保持を実現するTransformer代替アーキテクチャ。
GLA(Gated Linear Attention)とは
GLA(Gated Linear Attention)はYang et al.(2024)が提案した線形アテンション機構の進化形。従来のSoftmax Attentionが系列長nに対してO(n²)の計算量とO(n)のメモリを必要とするのに対し、GLAはゲート付き線形カーネルにより訓練時O(n)・推論時O(1)の計算・メモリ効率を実現する。
Softmax Attentionの問題点
標準的なTransformerのSelf-Attentionは計算量O(n²d)・KVキャッシュO(n)で、128Kトークンを超える長文脈処理が実用的に困難。
線形アテンションの基本原理
線形アテンションはsoftmax関数をカーネル関数φで近似する:
LinearAttn(Q,K,V) = φ(Q) · (φ(K)ᵀV)
行列積の結合則を利用してφ(K)ᵀVをインクリメンタルに蓄積できるため、推論時のKVキャッシュがO(1)固定サイズに削減される。
GLAのゲート機構
GLAはデータ依存のゲートを追加することで性能劣化を大幅に改善:
for t in range(seq_len):
G_t = sigmoid(W_g @ x_t) # データ依存ゲート
S_t = G_t * S_{t-1} + k_t.outer(v_t) # 状態更新
o_t = q_t @ S_t # 出力
ゲートG_tが「どの過去情報を保持するか」をダイナミックに制御することで、Mambaのselective SSMに近い選択的記憶能力を獲得する。
チャンク並列訓練アルゴリズム
系列をチャンクに分割し、チャンク内は並列計算、チャンク間はRNN様再帰計算というハイブリッドアプローチ。これにより標準Transformerの並列訓練効率を保ちながらO(n)計算量を達成。
性能比較(GLAの位置づけ)
2024年の研究では、GLA-7BモデルがLlama 2-7B(Softmax Attention)に匹敵する言語モデリング性能を示した。
実装
fla-org/flash-linear-attention(PyTorchベース、Tritonカーネル)でHugging Face形式のGLA事前訓練モデルが公開済。
2025年の研究動向
GLAはSub-Quadratic Architecturesの主要ラインとして、Mamba・RWKV・DeltaNetと並ぶ位置づけ。純粋なAttention-Freeモデルとして将来の大規模LLMアーキテクチャへの採用可能性が継続的に研究されている。