ウェイポイントとは、ハンドヘルドGPSにおいて特定の地点の緯度・経度座標をマーキングして保存したポイントのことである。登山口、山頂、分岐点、水場、テント場、駐車場などの重要地点を記録し、後からナビゲーション目標として利用できる。GPXファイルとして他のデバイスやソフトウェアと共有も可能だ。
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ウェイポイント(Waypoint)は、ハンドヘルドGPSの最も基本的かつ重要な機能の一つだ。現在地や任意の座標を名前付きのポイントとしてデバイスに保存し、後からそのポイントへのナビゲーション(方位と距離の表示)を行うことができる。
語源は航海用語で、「航路上の中間到達点」を意味する。航空機のフライトプランでも飛行経路上の通過点をウェイポイントと呼ぶ。GPS登山においては、出発前に自宅PCで計画したルート上の重要地点をウェイポイントとして登録し、フィールドでナビゲーションに使用するのが標準的な運用だ。
Garmin GPSMAP 67 は最大10,000ウェイポイント、eTrex SE は最大2,000ウェイポイントを保存できる。各ウェイポイントには名前(最大14文字)、アイコン(旗・テント・水滴など約200種類)、標高、コメントを付与できる。
ハンドヘルドGPSでウェイポイントを登録する方法は主に3つある。
現在地マーキング: フィールドで「MARK」ボタン(Garmin GPSMAP 67)や「SAVE」ボタンを押すと、その時点の座標がウェイポイントとして保存される。最も簡単な方法で、山頂到着時や重要な分岐点で使う。
座標入力: 事前に調べた緯度・経度を手動入力してウェイポイントを作成する。国土地理院のウェブ地図(地理院地図)で座標を取得し、入力することが多い。座標形式はdd.ddddd(度の小数)、dd mm.mmm(度分の小数)、dd mm ss.s(度分秒)から選択できる。
地図画面からの作成: デバイス上の地図をスクロールし、任意の位置にカーソルを合わせてウェイポイントを作成する。GPSMAP 67 やMontana 700i のタッチスクリーンモデルでは指で地図をタップしてマーキングできる。
PCソフト経由: Garmin BaseCamp やカシミール3D で地形図上にウェイポイントを作成し、USBケーブルでデバイスに転送する。大量のポイントを計画的に設定する場合はこの方法が効率的だ。
登山では以下のようなウェイポイント運用が効果的だ。
| 登録ポイント | アイコン | 用途 |
|---|---|---|
| 登山口 | 旗(Flag) | 下山時のゴール確認、タクシー呼び出し地点 |
| 分岐点 | 交差点(Crossing) | ガス時の進路判断、トレイル分岐の誤進入防止 |
| 水場 | 水滴(Drinking Water) | 給水計画、渇水期の確認 |
| テント場/避難小屋 | テント(Campground) | エスケーププラン、行動時間計算 |
| 山頂 | 三角(Summit) | 到達記録、同座標の再訪 |
| 危険箇所 | ドクロ(Danger) | 崩落地、雪渓、クマ目撃地点 |
例えば北アルプスの表銀座縦走では、中房温泉登山口、合戦小屋、燕山荘、大天荘、ヒュッテ西岳、槍ヶ岳山荘、槍ヶ岳山頂をウェイポイントとして登録し、各区間の距離と方位をリアルタイムで確認しながら行動する。
高精度なウェイポイントが必要な場合は、平均化機能を使う。GPSMAP 67 では「ウェイポイント平均化」メニューから、指定時間(通常1〜5分)にわたって連続測位したデータの平均値をウェイポイント座標として記録できる。これにより単発測位の誤差(3〜5m)を1m以内に縮小できる。
測量や学術調査では、同一地点で10分以上の平均化を行い、座標精度をさらに高める運用が一般的だ。
ウェイポイントは GPX(GPS Exchange Format)という XML ベースのファイル形式で保存・共有される。GPX は GPS データの業界標準フォーマットで、ほぼすべてのGPSデバイスとソフトウェアが対応している。
GPXファイル内のウェイポイントは <wpt> タグで表現される。以下は燕岳山頂のウェイポイント例だ。
<wpt lat="36.40152" lon="137.71349">
<ele>2763</ele>
<name>燕岳山頂</name>
<sym>Summit</sym>
<cmt>北アルプス 日本二百名山</cmt>
</wpt>
GPXファイルはテキストエディタでも編集可能で、大量のウェイポイントを一括修正する場合はExcelやスクリプトで処理することもある。Garmin BaseCamp、カシミール3D、Google Earth Pro、YAMAP、ヤマレコなどがGPXの読み書きに対応している。
GPSナビゲーションでは「ウェイポイント」「ルート」「トラック」の3概念を区別することが重要だ。
ウェイポイント: 単独の地点。座標+名前+アイコンの組み合わせ。
ルート: 複数のウェイポイントを順序付けて繋いだ計画経路。出発前に設定し、「次のウェイポイントへの方位と距離」を順次案内する。ルートの各通過点をルートポイントと呼ぶ。
トラック: GPSが自動記録した実際の移動軌跡。数秒〜数分間隔で座標を記録し続ける(トラックログ)。事後の行動分析や記録に使う。
登山計画では「ルートにウェイポイントを設定して出発し、行動中はトラックログを自動記録する」のが典型的なワークフローだ。
デバイスによって異なる。Garmin GPSMAP 67 は10,000個、eTrex SE は2,000個、Montana 700i は10,000個が上限だ。実用上は数百個で十分だが、長年使い続けると溜まるため、定期的に整理・バックアップすることを勧める。
GPXファイルを入手し、デバイスのmicroSD カードまたは内部ストレージの「Garmin/GPX」フォルダにコピーするだけで読み込まれる。ヤマレコやYAMAPの山行記録からGPXをダウンロードしてインポートする方法が一般的だ。Garmin BaseCamp 経由でUSB転送することもできる。
日本の登山では緯度経度(WGS84測地系)の度分秒表示(dd° mm' ss.s")が国土地理院地形図と一致するため使いやすい。UTM座標やMGRS(軍用座標)は自衛隊演習場や海外トレッキングで使われる。Garmin GPSは設定メニューで座標形式をいつでも切り替えられる。
Garmin Explore アプリ(iOS/Android)でウェイポイントを作成し、Bluetooth経由でハンドヘルドGPSに同期できる。または、スマートフォンアプリ(YAMAP、Geographica等)からGPXをエクスポートし、PCを経由してGPSに転送する方法もある。