RLL 符号化 (Run-Length Limited)(アールエルエルフゴウカ)
1985 年に IBM が HDD で実用化した記録符号化方式。MFM 符号化を改良して連続する 0/1 の最大長を制限することでクロック同期を維持しつつ、データ密度を MFM の 1.5 倍に向上、ESDI インタフェース HDD・1980 年代後半-1990 年代の高密度 HDD で広く採用された。
概要
RLL (Run-Length Limited、最大連続長制限) 符号化は、1985 年に IBM が HDD で実用化した記録符号化方式で、MFM 符号化を改良して連続する 0/1 の最大長を制限することでクロック同期を維持しつつ、データ密度を MFM の 1.5 倍に向上させた重要技術です。RLL (d,k) パラメータで d (最小 0 連続数) と k (最大 0 連続数) を規定し、RLL 2,7 (d=2, k=7、最も普及) ・RLL 3,9 (d=3, k=9、ESDI 用) の二大バリアントがあり、MFM 比で 50% の高密度化を実現しました。1985-1995 年の高密度 HDD で広く採用され、Seagate ST-238R (1986)・Western Digital WD-2 RLL コントローラなどの ESDI/IDE HDD で標準装備、PC-9801・IBM PC AT の高速ハイエンド HDD で利用されました。1995 年以降は PRML (Partial Response Maximum Likelihood) 符号化に置き換えられ、現代 HDD では PRML/EPRML/NPML が主流となっています。
主な特徴・仕組み
- 発表: 1985 年 IBM
- 原理: 連続する 0 の最小数 (d) と最大数 (k) を制限
- RLL 2,7: d=2, k=7、最普及バリアント
- RLL 3,9: d=3, k=9、ESDI 用
- 密度倍率: MFM の 1.5 倍、FM の 3 倍
- デコード: PLL で位相同期、PRML より単純
- エラー耐性: 連続 0 制限でクロック同期失わず安定
- 適用: ESDI HDD・初期 IDE/PATA 高密度 HDD
- 転送速度: ST-506 RLL で 7.5Mbps (MFM ST-506 の 5Mbps から向上)
- 採用期間: 1985-1995 年、その後 PRML に置換
スペック比較表
| 符号化 | 年 | パラメータ | 密度 (vs MFM) |
|---|---|---|---|
| FM | 1970s | - | 0.5 |
| MFM | 1980s | - | 1.0 |
| RLL 2,7 | 1985 | d=2, k=7 | 1.5 |
| RLL 3,9 | 1989 | d=3, k=9 | 2.0 |
| PRML | 1990s | - | 3.0+ |
| EPRML | 2000s | - | 4.0+ |
具体例・対応技術
- Seagate ST-238R (1986): RLL 2,7 採用 HDD、ST-238 (MFM) の高密度版
- Western Digital WD-2 RLL: PC 用 RLL HDD コントローラ、1980s 後半標準
- Maxtor XT-1085 (1986): RLL 高密度 HDD、85MB 容量
- ESDI HDD 全般: RLL 2,7/3,9 が標準採用
- PC-9801 HDD オプション: RLL HDD で容量倍増
自作PCでの選び方・注意点
RLL 符号化は 2026 年現在、完全にレガシー技術として現代の自作 PC ストレージでは意識する必要なし、PRML/EPRML/NPML が現代 HDD の標準です。レトロコンピューティング (IBM PC AT・PC-9801・X68000) のオールド HDD 復旧・データサルベージで意識される程度、専門業者の解析機器でのみ復元可能。MFM HDD と物理的に同じ HDD でも、コントローラ (HDD コントローラカード) を MFM → RLL に交換するだけで容量 1.5 倍化できる現象 (RLL 化、リフォーマット) が 1985-1990 年代の自作 PC コミュニティで流行、当時のテクニカル雑誌「I/O」「ASCII」「OH!」などで頻繁に紹介されていました。歴史的興味として把握しておく価値あり、新規ストレージ選定に直接関与しない技術。
関連用語との違い
- MFM: 前世代、RLL の 1/1.5 密度
- PRML: 後継、RLL の 2 倍密度、現代 HDD 標準
- ESDI: HDD インタフェース、RLL 符号化が標準採用
よくある質問(FAQ)
Q1: RLL 化とは? A: 1985-1990s に MFM HDD のコントローラを RLL 対応に交換するだけで容量 1.5 倍にする技術。当時の自作 PC コミュニティで流行した実用技。
Q2: RLL 2,7 と RLL 3,9 の違いは? A: RLL 2,7 は IDE 系で標準、RLL 3,9 は ESDI 系で標準。3,9 の方がやや密度高だが安定性 RLL 2,7 が優位、用途で使い分け。
Q3: 現代でも使う場面は? A: なし。完全にレガシー、PRML/EPRML/NPML が現代 HDD 標準。歴史的興味のみ。
まとめ
- RLL = 1985 年 IBM 実用化、MFM 改良版記録符号化
- RLL (d,k) パラメータ、2,7 と 3,9 が主流
- MFM 比 1.5 倍密度、ESDI/IDE HDD で広く採用
- 1995 年以降 PRML に置換、現代は完全レガシー