HPC Bench Linpack/HPCG/STREAM/MLPerf 2026(エイチピーシーベンチ)
HPC Benchmark主要。HPL Linpack (Dense FP64・TOP500基準)・HPCG (Sparse Conjugate Gradient)・STREAM (Memory Bandwidth)・mdtest (Filesystem I/O)・IOR (Parallel I/O)・SPECfp 2017・SPECint・MLPerf Training/Inference (Closed/Open)・MLPerf HPC・MLPerf Tiny (Edge)・GROMACS/AMBER (Molecular Dynamics)・¥0 OSS、2026年MLPerf Inference v5.0最新。
概要
HPC Bench Linpack/HPCG/STREAM/MLPerf 2026は、スーパーコンピュータや高性能ワークステーションを評価するための代表的なベンチマークセットです。
- HPL Linpack:密集型FP64計算を測定し、TOP500ランキングの基準。
- HPCG:疎行列の共役勾配法を用い、実際の科学計算に近いワークロードを評価。
- STREAM:メモリ帯域幅を測定し、メモリ階層の性能を可視化。
- MLPerf:機械学習の推論・学習を測定し、2026年版ではv5.0が正式リリース。
- ファイルI/O:mdtest・IORで分散ファイルシステムのパフォーマンスを評価。
2025年に導入されたNVIDIA Ampere A100とAMD EPYC 9654は、HPLとHPCGの両方で新記録を更新。2026年にはIntel Xeon Platinum 9650がMLPerf推論で最速を記録し、エッジ向けのMLPerf Tinyも注目を集める。
主な特徴・仕組み
- 密集型FP64:HPLは1,000億浮動小数点演算を実行し、CPU/GPUの演算性能を直接測定。
- 疎行列計算:HPCGは1億要素の疎行列を扱い、MPI通信とCPU・GPUの協調を評価。
- メモリ帯域幅:STREAMはCopy、Scale、Add、Triadの4種のベンチマークで帯域幅を測定。
- I/O性能:mdtestは大容量ファイルの読み書きを、IORは分散ファイルシステムのスループットを測定。
- 機械学習:MLPerf 2026は学習(Training)と推論(Inference)を分離し、閉塞型(Closed)と公開型(Open)で実行。
- ハードウェア統合:HPLとHPCGはCPUとGPUのクロスオーバーを最適化するためにPCIe 5.0とNVLink 3.0をサポート。
- 省電力モード:2025年に導入されたDynamic TDP機能で、負荷に応じてTDPを自動調整。
- スケーラビリティ:10,000ノードを超えるクラスタでもMPI 4.0とOpenMP 5.2でスムーズにスケール。
- データセット:HPCGは実際の科学計算データ(気候モデル)を使用し、実運用に即したテストを実施。
- 評価基準:2026年版ではFP64/FP32比率とメモリ帯域幅/演算比を併用し、ハードウェアのバランスを測定。
スペック比較表
| ベンチマーク | 主な評価項目 | 推奨ハードウェア | 2026年ベンチマーク値 |
|---|---|---|---|
| HPL Linpack | FP64演算性能 | NVIDIA A100 80GB | 2.1 PFLOPS |
| HPCG | 疎行列演算 | AMD EPYC 9654 64C | 0.45 PFLOPS |
| STREAM | メモリ帯域幅 | DDR5-6000 1.2 TB | 12.5 TB/s |
| MLPerf Inference v5 | 推論スループット | RTX 5090 24 GB | 5.6 TIPS |
| MLPerf Tiny | エッジ推論 | Intel Xeon Platinum 9650 | 1.2 TIPS |
具体例・対応製品
- NVIDIA RTX 5090:24 GB GDDR7、TDP 450W、FP64 1.2 TFLOPS。HPLで2.1 PFLOPSを達成。
- AMD Ryzen 9 9950X3D:16コア/32スレッド、3.9 GHzベース、4.5 GHzターボ。HPCGで0.42 PFLOPS。
- Intel Xeon Platinum 9650:56コア、3.6 GHz、TDP 400W。MLPerf Inference v5で5.6 TIPS。
- Fujitsu A64FX:48コア、2.2 GHz、TDP 200W。STREAMで10 TB/s。
- HPE Superdome Flex 32:CPU 64C、GPU 8×A100、総TDP 10 kW。HPCGで0.55 PFLOPS。
自作PCでの選び方・注意点
- 演算性能とメモリ帯域幅のバランス
- HPLで優先したいならGPUのFP64性能、STREAMならDDR5速度を重視。
- 電源容量
- RTX 5090は450W、CPUは200Wを想定し、最低でも1,200Wの電源ユニットを選択。
- 冷却設計
- 2025年のDynamic TDPに対応したCPUクーラーを採用し、長時間高負荷時の温度を抑える。
- PCIeレーン確保
- 2026年版ではPCIe 5.0が主流。マザーボードはx16レーンを2つ以上確保。
- メモリ容量
- 1.2 TB DDR5は高価。実際のHPCタスクに応じて512 GB〜1 TBでバランスを取る。
- I/Oストレージ
- mdtest・IORのテストではNVMe SSD 4TB以上を推奨。RAID 0で高速化。
- ソフトウェアスタック
- OpenMPI 4.0、CUDA 12、ROCm 5.0を最新に保ち、ベンチマーク互換性を確保。
- 電源効率
- 80 PLUS Platinum以上を選択し、電力消費を抑える。
- ケースサイズ
- 2Uラックケースを選ぶと冷却が容易。
- 予算管理
- 2025年に登場したIntel Xeon Platinum 9650は1万5千円前後。RTX 5090は約25万円。合計で約50万円を想定。
関連用語との違い
- TOP500:HPL Linpackのスコアでランク付けされるリスト。ベンチマーク自体ではなくランキング。
- SPECfp 2017:CPU単体のFP演算性能を測定。HPLはGPUとCPUの協調を含む。
- GROMACS/AMBER:分子動力学専用ベンチマーク。HPCGは一般的な疎行列計算を対象。
- IOR:分散ファイルシステムI/Oを測定。mdtestは単一ノードのI/O性能を測定。
- MLPerf HPC:大規模分散機械学習を評価。2026年版では推論と学習を分離し、エッジ向けのTinyも含む。
よくある質問(FAQ)
Q1. HPLとHPCGの違いは何ですか?
A1. HPLは密集型FP64演算を測定し、CPU/GPUの純粋な演算性能を評価。HPCGは疎行列の共役勾配法を使用し、MPI通信とCPU・GPUの協調を評価するため、実際の科学計算に近いワークロードを再現する。
Q2. STREAMベンチマークで重要なポイントは?
A2. STREAMはメモリ帯域幅を測定するため、CPUとメモリのクロック周波数、DIMM構成(2×DDR5-6000など)、メモリキャッシュ階層が重要。高帯域幅を得るにはレーン数とキャッシュサイズを最大化する必要がある。
Q3. MLPerf 2026で推論と学習の差は?
A3. 推論はモデルを用いて入力データから出力を得る処理で、低レイテンシが求められる。学習は勾配計算と重み更新を行うため、計算量が多くバッチサイズが大きい。2026年版では推論が閉塞型(Closed)で、学習は公開型(Open)に設定されている。
まとめ
HPC Bench Linpack/HPCG/STREAM/MLPerf 2026は、スーパーコンピュータや高性能ワークステーションの総合的な性能を測定するための不可欠なツールです。2025年の新アーキテクチャ導入と2026年のMLPerf v5.0リリースにより、演算性能・メモリ帯域幅・機械学習性能のバランスが一層重要になっています。自作PCでは、演算性能と冷却、電源容量、PCIeレーン確保を最優先に設計し、最新のソフトウェアスタックと組み合わせることで、ベンチマークで高得点を狙うことが可能です。