Intel 4040(インテルヨンマルヨンマル)
Intel 1974年発売の4bit MPU。4004の改良版・60命令拡張・割込対応・10μm CMOS。
概要
Intel 4040(型番C4040)は、Intel社が1974年5月にリリースした4bitマイクロプロセッサで、世界初のシングルチップMPUIntel 4004(1971年11月)の改良後継機。4004から45命令→60命令へ拡張、ハードウェア割込対応、サブルーチンスタック14段(4004は3段)、論理AND/OR命令追加、10μmシリコンゲートCMOSプロセス継続採用で実用性を大幅向上させた。Federico Faggin(4004設計者、Zilog創業者)が4004の量産途中でIntelを退社後、Tom Innes・Masatoshi Shima(嶋正利)が後継として設計を引き継いだ歴史的位置づけ。Intel MCS-40ファミリ(4001 ROM・4002 RAM・4003 シリアル/パラレル拡張I/O・4004/4040 MPU・4008/4009/4289 メモリインターフェース)の中核機種で、レジ・タクシーメーター・産業計測器・初期ゲーム機等の組込用途で1970年代後半に活用された。後継Intel 8080(1974年4月、8bit)が同年内に登場したため4040は商業的には短命で量産期間1974-1981年程度、累計販売数も4004の数十万個に対して4040は推定数十万個レベルと限定的。それでも「4004の正統後継」「Intel 4bit MPU最終世代」「MCS-40ファミリ完成形」として技術史的位置づけは確固たるもので、現代でもIntel社内史料館(米カリフォルニア州サンタクララ本社)に実機展示があり、コレクション市場でもPMOS版C4040が$200-800で流通する希少品。
主な特徴・仕組み
- 種類: 4bit シングルチップMPU
- 発売年: 1974年5月
- プロセス: 10μm シリコンゲートPMOS
- トランジスタ数: 約3,000個(4004は2,300個から増加)
- パッケージ: 24ピンDIP
- 命令数: 60命令(4004の45命令から拡張)
- スタック: 14段サブルーチン(4004は3段)
- 動作周波数: 740kHz
- メモリ空間: 4KBプログラム、640byteデータ(4002 RAM併用)
- 設計者: Tom Innes、Masatoshi Shima(嶋正利)
- 価格: $60(1974年当時、4001+4002+4003と組合わせ)
- 累計販売: 推定数十万個
スペック比較表
| 項目 | Intel 4040 | Intel 4004 | Intel 8080 | Zilog Z80 |
|---|---|---|---|---|
| 発売 | 1974/05 | 1971/11 | 1974/04 | 1976/03 |
| ビット | 4bit | 4bit | 8bit | 8bit |
| 命令数 | 60 | 45 | 79 | 158 |
| スタック | 14段 | 3段 | スタックポインタ | スタックポインタ |
| トランジスタ | ~3,000 | 2,300 | 6,000 | 8,500 |
| クロック | 740kHz | 740kHz | 2MHz | 2.5MHz |
具体例・対応製品
- Intel 4040 C4040: 1974年5月、$60(fファミリ価格)
- Intel 4001 ROM: 256byte ROM、4040ペア使用
- Intel 4002 RAM: 80byte RAM
- Intel 4003 SR: シリアル/パラレル変換
- Intel MCS-40 SDK: 開発キット$2,500-5,000相当
- 対応 タクシーメータ: 1970年代後半日本市場
- 対応 業務用レジ: NCR・Sharp・Casio初期機種
- 対応 初期医療機器: BPモニタ等
自作PCでの選び方・注意点
Intel 4040はコレクション目的・歴史研究目的でのみ流通、実用ホビー用途は4004エミュレータ(Logisim等)+4004クローンFPGA(MiSTer FPGA、$200+)で完結。4040実機は希少品で正規動作品$200-800、未使用品は$1,500-3,500のコレクション価値。MCS-40ファミリ(4001/4002/4003)も同様に希少で、フルセット動作確認は困難。Intel社内博物館(米サンタクララ)で実機展示見学可能。Federico Faggin Foundation(米シリコンバレー)が技術史保存活動を継続、4040資料も保有。実用CPUとしての利用価値は2026年現在ゼロだが、マイクロプロセッサ史の正統後継機として技術史教科書では必ず言及される機種。
関連用語との違い
Intel 4004(1971年11月、世界初)は本機の前世代で「世界初」の名誉を持つが、命令数・スタック・割込未対応で実用性は限定的。Intel 8080(1974年4月、8bit)は4040と同時期発売の8bit機で、4040の「4bit改良」とは方向性が真逆。Federico Faggin退社後にIntelが8080開発を主軸に据えたため、4040は4bit路線最終世代として位置づけられ、後にFaggin自身がZilog Z80(1976年)で8bit路線へ移行した経緯あり。Motorola 6800(1974年、8bit)は同時代の競合だが系統が異なる。
よくある質問(FAQ)
Q1: 何故4040は短命だった? A: 1974年同時期に8bit Intel 8080が登場、4bitから8bitへの世代交代が進み、新規設計のほとんどは8080採用へシフト。4040は既存4004系システムのアップグレード需要を吸収する役割に留まり、量産期間1974-1981年で7年と短期間でした。
Q2: 嶋正利(Masatoshi Shima)の役割は? A: 嶋氏は4004設計時はBusicom社(日本)のエンジニアとしてFagginと協業、4040ではIntel社員として正式に共同設計者でした。後にZilog Z80も設計、後年VLSI Technology社副社長として日米半導体史の橋渡し役となりました。
Q3: 現代で4040を体験するには? A: MAME (Multiple Arcade Machine Emulator)・Logisim等のエミュレータで動作再現可、MiSTer FPGA に4004コアあり(4040コア開発中)。Intel社サンタクララ本社博物館で実機展示見学が可能。コレクション目的なら eBay・Vintage Computer Forum で$200-800入手可。
まとめ
- 1974年5月発売・Intel 4004後継の4bit MPU
- 60命令+14段スタック+ハードウェア割込対応
- Federico Faggin退社後のTom Innes/嶋正利設計
- MCS-40ファミリ完成形・1970年代産業組込で活躍
- 4bit路線最終世代・8080普及で短命に終結