米 Iomega が 1996 年発売の 1-2GB 容量 SCSI / USB 接続 HDD カートリッジ式リムーバブルストレージ。Zip Drive の上位版で大容量データ移送向け、2002 年まで主に DTP / 動画編集分野で活躍したプロ向け媒体。
Iomega Jaz Drive(イオメガ ジャズ ドライブ)は、米 Iomega 社が 1996 年に発売した 1GB(初代)・2GB(後期、1998)容量の HDD カートリッジ式リムーバブルストレージです。同社の Zip Drive(100MB、1994)の上位版として、DTP / 動画編集 / 3DCG / プリプレス業界などの大容量データ移送ニーズに応える「プロフェッショナル用」位置付けで投入されました。
技術的には、ZIP Drive のような薄型磁気ディスクではなく、本物の 3.5 インチ HDD プラッタをカートリッジに収納した独特な機構を採用しました。これにより HDD 並みの転送速度(初代 5.4MB/s、2GB 版で 7.4MB/s)を実現し、当時の 4x CD-R(0.6MB/s)より一桁高速で、動画 / 高解像度画像のリアルタイム編集にも耐える性能を持ちました。SCSI-2 / Ultra SCSI 接続が主流で、後年 USB 1.1 / FireWire(IEEE 1394)版も登場しました。
1990 年代後半 DTP / 動画編集スタジオで業界標準的に使われ、Adobe Photoshop / Illustrator / Premiere の大容量プロジェクトファイル受け渡しに重宝されました。しかし 2000 年代に入ると、ZIP より大きく重く、メディア / ドライブ価格が高価で、Click of Death 系のヘッド故障問題も抱えていたため急速に競争力を失い、2002 年に出荷終了、CD-R / DVD-R / 外付け USB HDD に駆逐された「プロ用リムーバブル」の代名詞的媒体として記憶されています。
| 製品 | 容量 | 転送速度 | 価格(メディア) | 結末 |
|---|---|---|---|---|
| Iomega Jaz Drive 2GB | 2GB | 7.4MB/s | $99 | 2002 終了 |
| Iomega Zip Drive | 100MB | 1.4MB/s | $20 | 2010 衰退 |
| LS-120 SuperDisk | 120MB | 0.5MB/s | $15 | 2003 終了 |
| MO 230MB | 230MB | 1MB/s | ¥2,000 | 2010 衰退 |
| CD-R | 650MB | 0.6MB/s | $5 | 2000s 主流 |
Jaz Drive は現在新規購入できませんが、レトロ DTP / 動画編集スタジオ環境(Mac OS Classic / Windows 98 / 2000 期)の再現に重要な存在です。中古市場では Jaz 1GB / 2GB ドライブが ¥10,000-30,000、メディアが 1 枚 ¥3,000-8,000 で稀に流通中ですが、全体としてはレアな状態です。
注意点として、Jaz Drive も Zip Drive 同様に Click of Death 故障リスクがあり、特に 1GB ドライブは経年劣化で故障する可能性が高く、重要データ保管には不向きです。当時のオリジナル DTP データの読出 / レトロ Mac G3 / G4 環境再現 / プリプレスマニアの収集対象として残存中です。
Q1: なぜ Jaz Drive はそれほど普及しなかったのですか? A: 初代 1GB ドライブとメディアが高価($499 + $99/枚)で、品質問題(Click of Death)も発生したため、CD-R / DVD-R に対する優位性が崩れ、業務専門用に留まりました。
Q2: 現代の PC で Jaz ドライブを使えますか? A: USB / FireWire 接続版なら現代 Windows / Mac で動作可能です。SCSI 版は SCSI カード装着の古い PC が必要、IDE 版は存在しません。
Q3: Jaz と Zip の違いは何ですか? A: Jaz は容量 1-2GB の HDD カートリッジ式でプロ用、Zip は容量 100-750MB の薄型磁気ディスクで大衆用、という棲み分けでした。Jaz の方が高価・大容量・高速ですがメディア寿命は短めでした。