AI・機械学習
上級

LLM Model Serving(エルエルエム モデル サービング)

トレーニング済みLLMを推論リクエストに応答できる形でデプロイする技術基盤。スループット・レイテンシ・コスト効率のトレードオフを管理し、vLLM/TGI/TensorRT-LLMなど専用エンジンでバッチ処理・連続バッチング・KVキャッシュを最適化する。

0 回閲覧
0 いいね
2026/6/6 更新
関連タグ
LLM推論
モデルサービング
Continuous Batching
KVキャッシュ
PagedAttention

LLM Model Serving 完全ガイド 2025 — 本番運用の設計・エンジン選択・最適化

LLM Model Servingはトレーニング済みLLMを本番APIとしてデプロイし、低レイテンシ・高スループット・コスト効率の三角形を最適化する技術領域。2025年時点ではvLLM・SGLang・TensorRT-LLM・Text Generation Inference(TGI)が主要エンジンとして競合し、それぞれ異なるユースケースに特化している。

主要概念と性能指標

スループット指標:

  • TTFT(Time To First Token): リクエスト受信からストリーミング開始までのレイテンシ。チャットUIでは500ms以下が目標。
  • ITL(Inter-Token Latency): 連続トークン生成の間隔。リアルタイム会話では50ms以下。
  • RPS(Requests Per Second): 秒間リクエスト処理数。A100×8でLlama-3-70B相当は最大200 RPS。
  • Token/s: 秒間生成トークン数。A100単体でLlama-3-8Bは約4,000 token/s(vLLM)。

最適化技術:

  • Continuous Batching: 固定バッチサイズではなく生成完了次第新リクエストを挿入。GPU稼働率を20%→90%に改善。
  • PagedAttention: KVキャッシュをOSのページング方式で管理。メモリ断片化を排除し最大2倍のスループット向上。vLLMが2023年に提案。
  • Speculative Decoding: 小型ドラフトモデルで先読み生成→大型モデルで検証。レイテンシ30〜50%削減。
  • Tensor Parallelism: 行列演算を複数GPUに分割。Llama-3-405BはTP=8で実用的な速度。

主要サービングエンジン比較

エンジン開発元強み弱み推奨用途
vLLMUC Berkeley汎用・高スループットメモリ使用多クラウドAPI
SGLangStanford構造化生成・RadixAttention新興エージェント・JSON
TensorRT-LLMNVIDIANVIDIA GPU最速NVIDIA専用商用大規模
TGIHuggingFace手軽・モデル豊富vLLMより低速開発・小規模
llama.cppggerganovCPU/MPS対応・GGUFスループット低エッジ・個人

ハードウェア選定

NVIDIA GPU階層(2025年時点):

  • H100 SXM5 80GB: 最高性能・$30,000〜。Llama-3-405BをTP=4で実用速度。
  • A100 SXM4 80GB: コスパ最良・$15,000〜。Llama-3-70BをBF16で安定運用。
  • H100 PCIe 80GB: コンシューマ向け・$25,000〜。NVLinkなし。
  • RTX 4090 24GB: 個人・中小規模・¥280,000〜。Llama-3-8Bは高速、70Bは量子化必須。

デプロイメントアーキテクチャ

単一GPU(開発・小規模): クライアント → nginx → vLLM/ollama → GPU

マルチGPU本番: ロードバランサー → vLLM レプリカ×N → GPU クラスター → Prometheus監視

クラウドマネージド:

  • AWS: SageMaker + TGI/vLLM(ml.p4d.24xlarge: A100×8)
  • GCP: Vertex AI + TensorRT-LLM(A3 High: H100×8)
  • Azure: Machine Learning + vLLM(NDv5: H100×8)

よくある質問(FAQ)

Q1: vLLMとTGIどちらを選ぶべきですか? A: スループット重視かつ自社GPUサーバーならvLLM。HuggingFaceモデルを素早く試すならTGI。本番大規模はvLLM優勢(PagedAttentionの実装が成熟)。

Q2: A100とH100の実際の性能差は? A: Llama-3-70B BF16でA100 80GB×8が約200 token/s、H100×8が約400 token/sと約2倍。コスト比は1:2なのでコスパは同等。

Q3: LLMサービングのコスト最適化手法は? A: 量子化(AWQ/GPTQ/FP8)でGPUメモリ削減→1GPU当たりのロード可能モデルサイズ拡大。Continuous Batching + PagedAttentionで同一GPU台数あたりのスループット最大化。

まとめ

  • 本番LLMサービングの核心はContinuous Batching + PagedAttentionによるGPU稼働率最大化
  • エンジン選択: 汎用=vLLM、構造化生成=SGLang、NVIDIA最速=TensorRT-LLM
  • SLO: TTFT 500ms以下・ITL 50ms以下がチャットUI基準
  • コスト最適化: 量子化(AWQ/FP8)+ バッチング最大化が必須
この記事について
カテゴリーAI・機械学習
難易度上級
作成日2026/6/6