AI・機械学習
中級

マスク言語モデル事前学習(マスクゲンゴモデルジゼンガクシュウ)

BERT等が採用する双方向事前学習手法。入力トークンの一部(通常15%)をランダムにマスクし、文脈全体(左右両方向)から元のトークンを予測させることで双方向の文脈表現を獲得する。

0 回閲覧
0 いいね
2026/6/6 更新
関連タグ
LLM
BERT
事前学習
MLM
AI

マスク言語モデル事前学習(MLM)とは

Masked Language Modeling(MLM)は、Googleが2018年に発表したBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)で採用された自己教師あり事前学習手法。入力テキストの一部トークンを[MASK]トークンで置換し、文の左右両方向の文脈を参照して元のトークンを予測するタスクを学習することで、双方向の文脈表現を獲得する。

MLMの学習プロセス

マスキング戦略(BERT論文準拠)

BERT原論文では全トークンの15%を選択し、以下の割合で処理:

選択された15%のトークンのうち:

  • 80%: [MASK]トークンに置換
  • 10%: ランダムな別トークンに置換
  • 10%: 元のトークンのまま維持

80%のみMASKにしない理由は、Fine-tuning時に[MASK]トークンが存在しない分布ミスマッチを軽減するため。

BERTとNext Sentence Prediction(NSP)

BERTはMLMに加えてNext Sentence Prediction(NSP)タスクも採用。2文を[SEP]で繋ぎ、2文目が実際に後続する文か(IsNext/NotNext)を予測するバイナリ分類タスク。

ただしRoBERTa(2019年)の実験でNSPはMLMの性能を下げる場合があることが示され、後続モデルの多くはMLMのみを使用。

MLMモデルの系譜

  • BERT (2018): MLM + NSP、12層Transformer
  • RoBERTa (2019): NSP廃止、ダイナミックマスキング、大規模データ
  • ALBERT (2019): パラメータ共有、SOP(文順序予測)
  • DeBERTa (2020): 分離Attention、絶対位置エンコーディング改良
  • BERT-large-ja (2020+): 日本語特化BERT(東北大等)
  • Luke (2020): エンティティ認識特化

CLM(因果言語モデル)との住み分け

2020年代以降、GPT系のCLMモデルがスケールアップにより理解タスクでも優位になり、MLMの相対的地位は低下。しかし以下用途ではMLMが依然有効:

MLMが有利な用途:

  • テキスト分類(感情分析・カテゴリ分類)
  • 固有表現認識(NER)
  • 質問応答(MRC)
  • エンベディング生成(意味検索)

CLMが有利な用途:

  • テキスト生成全般
  • チャットボット・対話システム
  • コード生成
  • 少数ショット学習(few-shot prompting)

日本語LLMとMLM

jisaku.comで活用しているMeilisearch + ベクトル検索の基盤には、日本語テキストの意味理解が必要。BERTベースの日本語エンベディングモデル(cl-tohoku/bert-base-japanese-v3等)はMLM事前学習済モデルをFine-tuningしたものが多く、用語集の意味検索にも間接的に活用されている。

この記事について
カテゴリーAI・機械学習
難易度中級
作成日2026/6/6