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NAS RAIDレベル(ナス レイド レベル)

RAIDはNASに搭載した複数のHDD/SSDを論理的に束ねてデータの冗長性や読み書き速度を向上させる技術で、RAID 0/1/5/6/10やSynology独自のSHRなど用途に応じた構成を選択する。

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NAS RAIDレベルとは

RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のストレージドライブを組み合わせて1つの論理ボリュームとして運用する技術である。NASにおいてRAIDは単なるオプションではなく、データ保護の根幹をなす仕組みだ。ドライブが1台故障しても(構成によっては2台故障しても)データを失わずに運用を継続できるため、24時間稼働するNASでは事実上必須の機能となっている。

NASメーカー各社は独自のRAID管理機能を提供しており、Synologyの SHR(Synology Hybrid RAID)、QNAPの JBOD拡張、TrueNASの ZFS RAID-Z など、標準RAIDレベルを拡張した独自技術も普及している。

RAIDレベル比較一覧

RAIDレベル最低ドライブ数冗長性使用可能容量読み取り速度書き込み速度主な用途
RAID 02なし全容量 (N×1台分)非常に高速非常に高速一時作業領域・キャッシュ
RAID 121台故障耐性1台分 (50%)高速標準2ベイNASの標準構成
RAID 531台故障耐性(N-1)×1台分高速やや遅い4ベイNASの定番
RAID 642台故障耐性(N-2)×1台分高速遅い大容量・高信頼
RAID 1041台/ペア50%非常に高速高速DB・仮想化
SHR21台故障耐性最適化高速標準Synology推奨
SHR-242台故障耐性最適化高速やや遅い大容量Synology
JBOD1なし全容量合算標準標準容量最優先

各RAIDレベルの詳細解説

RAID 0(ストライピング)

データを複数ドライブに分散して書き込み、読み書き速度を最大化する。ただし1台でも故障すると全データが消失するため、NASでの使用は原則非推奨。動画編集の一時作業領域など、速度が最優先でデータ消失が許容される用途に限定される。

RAID 1(ミラーリング)

2台のドライブに同一データを書き込む最もシンプルな冗長構成。2ベイNASの標準構成であり、1台が故障してもデータが完全に保持される。容量効率は50%と低いが、リビルド(復旧)時間が短く、信頼性が高い。4TB×2台のRAID 1なら使用可能容量は4TB。

RAID 5(分散パリティ)

3台以上のドライブにデータとパリティ(誤り検出符号)を分散配置する。1台故障に耐えつつ、容量効率は (N-1)/N と良好。4台×4TBなら使用可能容量は12TB。ただし大容量HDD(8TB超)ではリビルドに24〜72時間を要し、リビルド中の2台目故障リスクが問題視されている。

RAID 6(二重パリティ)

RAID 5を拡張し、パリティを2重化した構成。2台同時故障に耐えられるため、8TB以上の大容量HDDを使う場合の標準推奨構成となっている。容量効率は (N-2)/N で、6台×8TBなら使用可能容量は32TB。書き込み時のパリティ計算負荷がRAID 5より大きい。

Synology SHR / SHR-2

Synology独自のハイブリッドRAIDで、異なる容量のHDDを混在させても容量を最大限活用できる点が最大の特長。標準RAIDでは全ドライブが最小容量に合わせられるが、SHRは内部で複数のRAIDボリュームを自動構成し、大容量ドライブの余剰分も有効活用する。SHRは1台故障耐性、SHR-2は2台故障耐性。

例: 4TB×2台 + 8TB×2台をSHRで構成した場合

  • 標準RAID 5: 全て4TBに合わせ、使用可能12TB
  • SHR: 内部最適化により使用可能約16TB

リビルド時間とURE問題

RAIDの信頼性を語る上で避けて通れないのが URE(Unrecoverable Read Error) の問題である。HDDには仕様上「10^14ビットに1ビットの割合で読み取りエラーが発生する」という確率的な制約があり、これは約12.5TBの読み出しで1回のエラーが起きる計算になる。

8TBのHDDでRAID 5をリビルドする場合、残りのドライブから合計8TB以上を読み出す必要があり、UREに遭遇する確率が無視できなくなる。UREが発生するとリビルドが失敗し、データ全損に至る可能性がある。このため、8TB以上のHDDではRAID 6またはSHR-2を選択すべきというのが現在の定説である。

ドライブ容量リビルド時間目安URE遭遇確率推奨RAID
2TB4〜8時間低いRAID 5で十分
4TB8〜16時間やや低いRAID 5で可
8TB16〜36時間中程度RAID 6推奨
16TB36〜72時間高いRAID 6必須
20TB48〜96時間非常に高いRAID 6 + ホットスペア

RAIDはバックアップではない

NASユーザーが最も陥りやすい誤解は「RAIDを組んでいるからバックアップは不要」という認識である。RAIDはドライブの物理故障に対する冗長性を提供するが、以下の脅威には無力である:

  • 誤削除: ユーザーがファイルを消せばRAID上の全コピーから即座に消える
  • ランサムウェア: 暗号化されたデータがそのままRAIDに書き込まれる
  • ファームウェア障害: RAID コントローラの不具合で全ボリュームが破損する
  • 火災・水害: 物理的に同じ筐体内のドライブが全滅する
  • 論理障害: ファイルシステムの破損はRAID全体に波及する

RAIDは可用性(Availability)を高める技術であり、データ保護(Protection)には別途バックアップ戦略が必須である。

よくある質問(FAQ)

Q: 2ベイNASでおすすめのRAIDレベルは?

A: 2ベイなら RAID 1(ミラーリング) 一択である。容量効率50%は妥協点だが、1台故障時のデータ保護と簡単な復旧が保証される。SynologyユーザーならSHRを選ぶと、将来異なる容量のドライブに交換した際に容量を最適化できる。RAID 0はNASでの使用を推奨しない。

Q: RAID 5とRAID 6の選び方は?

A: 使用するHDDの容量が判断基準になる。4TB以下のHDDであればRAID 5で実用上問題ないが、8TB以上のHDDを使う場合はリビルド中のURE(読み取り不能エラー)リスクを考慮してRAID 6を選択すべきである。ドライブ本数に余裕があるならRAID 6が常に安全側の選択となる。

Q: SHRと標準RAIDのどちらを選ぶべき?

A: Synology NASを使うなら基本的にSHRを推奨する。SHRは標準RAID 5と同等の冗長性を持ちつつ、異なる容量のドライブを混在させた際に容量効率が優れる。将来のドライブ交換で段階的に容量を増やしたい場合に特に有利。他社NAS(QNAP等)ではSHRは利用できないため、標準RAIDレベルから選択する。