米 IBM が 1994 年公開の PC 向け 32-bit OS。Microsoft 共同開発時代の OS/2 を継承し PowerPC / Intel 両対応、Workplace Shell オブジェクト指向 GUI 先駆、Windows 95 に敗北して 2006 年最終出荷終了。
OS/2 Warp(オーエス ツー ワープ、コードネーム Merlin / Aurora)は、米 IBM が 1994 年に公開した PC 向け 32-bit プリエンプティブマルチタスク OS です。元々は IBM と Microsoft が 1985-1990 年に共同開発していた OS/2(1.0 が 1987 年、2.0 が 1992 年)を起源とし、Microsoft / IBM 両社の主力 PC OS として位置付けられていました。
しかし、1990 年に Microsoft が Windows NT 路線に舵を切って IBM との共同開発を事実上解消、Microsoft はその後 Windows 3.1 / 95 / NT へ独自に進化させ、IBM は単独で OS/2 を継続することになりました。1992 年の OS/2 2.0 は当時最初の本格 32-bit デスクトップ OS としてリリースされましたが、市場ではあまり成功しませんでした。
そこで IBM は 1994 年、4MB メモリ動作 + ペンティアム最適化 + 簡易インストールを売りとした OS/2 Warp 3 を投入。Warp 3(1994)・Warp Connect(1995、TCP/IP 標準)・Warp 4(1996、音声認識 / Java 標準)と進化し、Workplace Shell というオブジェクト指向 GUI(ファイル / プリンタ / フォルダがすべてオブジェクトとして扱える)・マルチデスクトップ・プリエンプティブマルチタスク・完全 32-bit 環境という当時として極めて先進的な機能を備えていました。
技術的には Windows 3.1 / Windows 95 を凌駕する評価を受け、ATM(銀行 ATM) / POS(スーパーマーケットレジ) / 通信業界(電話交換機) / 米国海軍 / 日本の銀行ホストフロントエンドなど業務用 OS として広く採用されました。コンシューマ市場では IBM のマーケティング失策(製品名「Warp」の意味不明・広告予算不足)、Microsoft の Windows 95 投入(1995 年 8 月)による圧倒的なシェア確保、Lotus Notes / Smartsuite を除く主要 PC アプリの OS/2 ネイティブ版不足で市場では敗北しました。
IBM は 2001 年に新規 OS/2 開発を停止、2006 年に Serenity Systems の eComStation(OS/2 Warp 派生商用 OS)出荷終了により事実上消滅しました。現在は Arca Noae 社の ArcaOS(eComStation 継承、最新 5.1 が 2024 年公開)が細々と継続中で、レガシー OS/2 業務アプリ稼働需要に応えています。
| 版 | 公開年 | 主要特徴 |
|---|---|---|
| OS/2 1.0 | 1987 | 初版、IBM/Microsoft 共同 |
| OS/2 2.0 | 1992 | 初の 32-bit、Workplace Shell |
| OS/2 Warp 3 | 1994 | 4MB メモリ動作、簡易インストール |
| OS/2 Warp Connect |
| 1995 |
| TCP/IP / インターネット標準 |
| OS/2 Warp 4 | 1996 | 音声認識 / Java 1.1 標準 |
| eComStation 1.0 | 2001 | Serenity Systems 商用継承版 |
| ArcaOS 5.0 | 2017 | Arca Noae による継承プロジェクト |
OS/2 Warp 自体は 2006 年で IBM の出荷終了済みですが、現在も ArcaOS(Arca Noae 社、$129)が販売中で、レガシー OS/2 業務アプリ稼働や OS/2 マニアの自作 PC 環境構築に使われています。中古市場では Warp 3 / Warp 4 のオリジナルパッケージが ¥5,000-20,000 で稀に流通中、日本語版はさらに希少です。
注意点として、現代ハードウェア(NVMe SSD / UEFI / 100GbE 等)で OS/2 を動かすにはドライバ不足の問題があり、Pentium III / 4 世代までの古い機材で運用するのが現実的です。VMware / VirtualBox / 86Box / QEMU で仮想化動作も可能で、レトロ環境再現に最適です。
Q1: なぜ OS/2 は失敗したのですか? A: 主因は Microsoft の Windows 95 投入による事実上のデフォルト OS 化、IBM のマーケティング失策、サードパーティアプリのネイティブ化不足、Microsoft Office / Adobe 系大手アプリの非対応です。技術的には優れていたが、市場では敗北しました。
Q2: 銀行 ATM が OS/2 だったって本当ですか? A: はい。米国 / 日本の主要銀行 ATM は 1990 年代から 2010 年代にかけて OS/2 Warp / Warp Server で動作していました。安定性とリアルタイム性能が評価されました。現在は Windows / Linux に置き換わっています。
Q3: 今 OS/2 を動かす方法は? A: ArcaOS(Arca Noae 社、$129)が現役商用版として販売中、または VirtualBox / VMware / 86Box で OS/2 Warp 3 / 4 のオリジナルメディアから動作可能です。