RecurrentGemma 2 (Griffin)(リカレントジェマツーグリフィン)
Google DeepMindが開発したGriffinアーキテクチャ採用のハイブリッドRNN-Transformerモデル。線形再帰層(Real Gated Linear Recurrence)とローカルアテンションを組み合わせ、Gemmaと同等性能を低コストで実現する2024年発表の効率モデル。
RecurrentGemma 2 (Griffin) — Google DeepMindのハイブリッドRNN-Transformer
Griffin アーキテクチャの誕生
GriffinアーキテクチャはGoogle DeepMind のAleksandar Botevらが2024年2月のarXiv論文「Griffin: Mixing Gated Linear Recurrences with Local Self-Attention for Efficient Language Models」で発表。Mambaとは独立して開発されたハイブリッドアーキテクチャであり、Google内でのシーケンスモデリング研究の成果として位置づけられる。
RecurrentGemmaはGriffinアーキテクチャをGemmaシリーズに適用した実装版。
Real Gated Linear Recurrence (RGLR)
Griffinの核心技術はRGLR(Real Gated Linear Recurrence)。Mamba系モデルのSSMが複素数の状態空間を使うのに対し、RGLRは実数値のみで構成され、実装の単純さとハードウェア最適化の容易さを重視している。
RGLRの動作原理:
- 時刻tの隠れ状態 h_t = Λ ⊙ h_{t-1} + (1 - |Λ|²)^(1/2) ⊙ (W_x x_t)
- Λ: 入力依存のゲート(入力x_tから動的に生成)
- ⊙: 要素積(Hadamard積)
- W_x: 入力投影行列
実数ゲートΛを使うことでTPUの行列演算に直接マッピングでき、JAX/XLA環境での最適化が特に効率的。
ローカルアテンションとの組み合わせ
GriffinはRGLRとローカルウィンドウアテンションを交互に配置:
層構成(9B版):
- 約6:1の比率でRGLRが多い
- [RGLR] → [RGLR] → [Local-Attn, window=2048] → [RGLR] → ...
ローカルアテンションは直近2048トークン内でのみ計算するため:
- KVキャッシュサイズが固定(グローバルアテンション比で大幅削減)
- 近距離の正確な参照が必要な場面に特化
RGLRは長距離の情報を圧縮した隠れ状態として保持し:
- 文書全体の文脈を固定サイズで保存
- ストリーミング推論での長文処理に最適
Gemma 2との比較
- Gemma 2 9B: 純粋Transformer、メモリ基準値、速度基準値
- RecurrentGemma 2 9B: Griffin ハイブリッド、メモリ-40%、速度+75%
ベンチマーク性能はGemma 2 9Bと±2pp以内で、効率性と品質のトレードオフが特に優れている。
公開とライセンス
Hugging Faceにてgoogle/recurrentgemma-9bとして公開。Gemmaライセンス(商用利用は条件付き許可)が適用される。2Bと9Bの2サイズ、インストラクションチューニング版(IT)も利用可能。
TPU最適化済みのJAX実装がGoogle公式リポジトリで提供されており、Google Cloud TPU v4/v5上での高効率推論が容易に実現できる点が特徴。
まとめ
RecurrentGemma 2はGoogleのTPUエコシステムとの深い統合と、Griffinアーキテクチャのシンプルで効率的な設計が強み。Gemmaの品質を維持しながらメモリと速度を大幅改善した、実用的なハイブリッドモデルとして評価されている。