Threadは、IEEE 802.15.4をベースとしたIPv6対応の低消費電力メッシュネットワーキングプロトコルである。Google Nest、Apple、Qualcomm等が参画するThread Groupが策定し、スマートホームデバイス間の信頼性の高いメッシュ通信を実現する。Matterの推奨トランスポート層として位置付けられている。
Threadは、スマートホームデバイス向けに設計されたIPv6ネイティブの低消費電力メッシュネットワーキングプロトコルである。2014年にThread Groupが設立され、Nest Labs(現Google Nest)、ARM、Samsung、Qualcomm、Apple などが参画した。従来のZigbeeと同じIEEE 802.15.4物理層を使用するが、ネットワーク層でIPv6を採用することで、インターネットプロトコルとのシームレスな統合を実現している。
Threadの最大の特徴は「自己修復メッシュネットワーク」と「IPv6ネイティブ」の組み合わせである。メッシュネットワークでは各デバイス(Router)が中継ノードとして機能し、1台のデバイスが故障しても自動的に経路を再構築する。ZigbeeもメッシュだがIP非対応のため専用ブリッジが必要なのに対し、Threadは標準的なIPパケットをそのまま扱える。
2025年時点でThread対応デバイスは1,000種以上が市場に出ており、Apple HomeKit、Google Home、Amazon Alexa のすべてがThreadをサポートしている。
| 項目 | 仕様値 |
|---|---|
| 周波数帯 | 2.4GHz (IEEE 802.15.4) |
| データレート | 250Kbps |
| 通信距離 | 10-30m(屋内、壁1-2枚通過) |
| メッシュ最大ノード数 | 250+ (Router 32台) |
| IPv6対応 | ネイティブ(6LoWPAN圧縮) |
| 暗号化 | AES-128-CCM(ネットワーク層) |
| 消費電力 | SED: 10μA以下(スリープ時) |
| ネットワーク参加時間 | 3-10秒 |
| 特性 | Thread | Zigbee 3.0 | Z-Wave LR |
|---|---|---|---|
| IP対応 | IPv6ネイティブ | 非IP(ZCL) | 非IP(Z-Wave) |
| ブリッジ要否 | Border Router | 必須 | 必須 |
| 自己修復 | 自動(Leader交代含む) | 自動(限定的) | 自動 |
| Matter対応 | ネイティブ | Bridge経由 | Bridge経由 |
| 最大ノード | 250+ | 65,535 | 4,000 |
| 周波数 | 2.4GHz | 2.4GHz |
Thread Border Router(BR)はThreadネットワークとIPネットワーク(Wi-Fi/Ethernet)を接続するゲートウェイである。
主要なBorder Router対応デバイス:
Thread BRが1台でもあれば家庭のThreadネットワークは機能する。複数のBRが存在する場合は自動的に冗長構成となり、1台故障しても別のBRが引き継ぐ。
Q1: Thread対応デバイスにはハブが必要ですか? A: Thread Border Router が必要。ただし Apple HomePod mini(¥14,800)やGoogle Nest Hub(¥11,000)がBRを兼ねるため、これらを既に持っていれば追加購入は不要。
Q2: ThreadとWi-Fiは干渉しますか? A: 同じ2.4GHz帯を使用するため理論上は干渉可能だが、Threadは802.15.4のチャンネル(16チャンネル)を使い、Wi-Fiとは帯域幅・変調方式が異なるため、実用上の問題は稀。干渉回避にはThreadチャンネルをWi-Fiと重ならない位置に設定する。
Q3: 既存のZigbeeデバイスをThreadに移行できますか? A: ハードウェアレベルでは同じIEEE 802.15.4チップを使用しているが、ファームウェアが異なるため直接のOTA更新は通常不可能。一部メーカー(Eve、Nanoleaf)がZigbee→Thread のファームウェア更新を提供した実績がある。
| 908/922MHz |
| 電池寿命(典型) | 2-5年 | 1-3年 | 2-5年 |