米 Sun Microsystems が 1985 年に発表した RISC 命令セットアーキテクチャ。Solaris UNIX ワークステーションの主軸として展開、1990-2000 年代エンタープライズサーバを支配、現在は富士通 A64FX / Oracle 系統で継続。
SPARC(スパーク、Scalable Processor ARChitecture)は、米 Sun Microsystems が 1985 年に発表した RISC 命令セットアーキテクチャです。1980 年代の RISC 革命を象徴するアーキテクチャのひとつで、David Patterson(後の Turing 賞受賞者、Berkeley RISC の生みの親)の影響を受けた設計です。Sun の Solaris UNIX ワークステーション・サーバの主軸として展開され、Sun-4 / SPARCstation / Ultra / Sun Fire / SPARC Enterprise 等のシリーズに採用されました。
アーキテクチャ仕様は SPARC International というオープン仕様団体で管理され、富士通・Sun(後の Oracle)・LSI Logic・Texas Instruments・Cypress Semiconductor などの複数社が SPARC 互換チップを製造する「オープン RISC ISA」として位置付けられました。1990 年代から 2000 年代前半はエンタープライズサーバ市場を Solaris / SPARC が支配、Oracle / SAP / 銀行 / 通信のミッションクリティカルバックエンドで使われ続けました。2010 年 Oracle が Sun を買収後は Oracle SPARC M7 / M8 として継続、富士通は SPARC64 シリーズで地球シミュレータ(2002)・京(2011)等の日本の主要スーパーコンピュータの心臓部を担当、現在は富士通 A64FX(理研スパコン富岳の CPU)が SPARC の遺伝子を引き継いだ ARM SVE 実装で稼働しています。
| プロセッサ | 公開年 | 主な OS | 結末 |
|---|---|---|---|
| SPARC V9 / UltraSPARC | 1995 | Solaris | Oracle / 富士通継続 |
| DEC Alpha | 1992 | Tru64 / OpenVMS | 2004 終了 |
| MIPS | 1985 | IRIX / Linux | 2014 終了 |
| IBM POWER | 1990 | AIX / Linux | 継続中 |
| HP PA-RISC | 1986 | HP-UX | 2008 終了 |
SPARC はコンシューマ向け CPU ではなく、エンタープライズサーバ / ワークステーション専用です。中古の SPARCstation 5 / 10 / 20 / Ultra 5 等は eBay やメルカリで ¥10,000-50,000 で出現、Solaris OS のレトロ運用やコンピュータ史マニアのコレクション対象として人気があります。
現代 SPARC を使いたい場合は、Oracle Cloud(SPARC M7/M8 ベース)・富士通 PRIMEHPC(A64FX)を借りることで最新世代の SPARC 派生に触れられます。スパコン富岳は同じ富士通製ですが ARMv8.2-A SVE 実装で SPARC 互換ではなくなった点に注意が必要です。
Q1: SPARC は今でも開発されていますか? A: Oracle SPARC M8 が現役、富士通は A64FX で ARM SVE に移行しました。新規 SPARC ISA 開発は事実上停止していますが、既存ハードウェアは Solaris / Oracle Cloud で継続稼働中です。
Q2: なぜ富士通は SPARC から ARM に移行したのですか? A: ARM のソフトウェアエコシステム + SVE(Scalable Vector Extension)が富士通のスパコン需要に適合したためです。HPC 用途では ARM 系の方がエコシステムが豊富になりました。
Q3: スパコン富岳は SPARC ですか? A: いいえ。富岳の心臓部 A64FX は ARMv8.2-A SVE 実装で、SPARC 互換ではありません。富士通の SPARC64 系の遺伝子(設計手法・実装ノウハウ)は引き継いでいますが、ISA は別物です。