サーマルパッド(サーマルパッド)
熱伝導性のシリコンシートで、VRM・メモリチップ・M.2 SSDなど高さのばらつきがある部品とヒートシンクの間に挟んで使用する。ペーストと異なり固体状で取り扱いが容易であり、ギャップの充填に特化した放熱素材である。
サーマルパッドとは
サーマルパッド(Thermal Pad)は、熱伝導性フィラーをシリコンゴムやシリコンゲルに混合した固体シート状の放熱素材である。サーマルペーストがCPU/GPUのIHSとヒートシンクの密着面に使われるのに対し、サーマルパッドは主に高さの異なる複数部品とヒートシンクのギャップを埋める用途に最適化されている。
GPU基板上のVRAMチップ、マザーボード上のVRMフェーズ、M.2 SSD のNANDチップなど、高さが0.5-3.0mm程度ばらつく部品群を1枚のヒートシンクで同時に冷却する場合、液体のペーストではギャップを埋められない。サーマルパッドは所定の厚みで提供され、圧縮されることでギャップを充填しながら熱伝導パスを形成する。
主要製品と性能比較
| 製品名 | メーカー | 熱伝導率 (W/m·K) | 厚み | サイズ | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| Minus Pad 8 | Thermal Grizzly | 8.0 | 0.5-2.0mm | 120×20mm | ¥800 |
| Odyssey | Thermal Grizzly | 12.8 | 0.5-2.0mm | 120×20mm | ¥1,500 |
| Thermalright Pad | Thermalright | 12.8 | 0.5-3.0mm | 85×45mm | ¥600 |
| Gelid GP-Ultimate | Gelid | 15.0 | 0.5-2.0mm | 90×50mm | ¥1,200 |
| Fujipoly XR-m | Fujipoly | 17.0 | 0.5-2.0mm | 100×100mm | ¥3,000 |
| IC Graphite Pad | Innovation Cooling | 35.0 | 0.2mm | 40×40mm | ¥1,500 |
厚みの選び方
サーマルパッドの厚み選択は冷却性能に直結する。薄すぎるとチップに接触せず空気層が残り、厚すぎるとヒートシンクの固定圧が不足してCPU/GPU側の密着が悪化する。
測定方法
- ヒートシンクなしの状態で、チップ表面からPCBフレーム(ヒートシンク接触面の基準)までの高さをノギスまたはデプスゲージで測定
- GPUの場合は、ダイ(GPU本体)の高さとVRAMチップの高さの差分が必要なパッド厚になる
- 一般的なGPUでは、VRAMパッド厚は1.0-2.0mm、VRM パッド厚は1.0-1.5mmが多い
GPU別の一般的なパッド厚
- NVIDIA RTX 4090 FE: VRAM 2.0mm、VRM 1.5mm
- NVIDIA RTX 4070 Ti: VRAM 1.5mm、VRM 1.0mm
- AMD RX 7900 XTX: VRAM 1.5mm、VRM 1.0-1.5mm
サーマルパッドとペーストの使い分け
| 比較項目 | サーマルパッド | サーマルペースト |
|---|---|---|
| 熱伝導率 | 1-17 W/m·K | 1-15 W/m·K |
| ギャップ充填 | 0.5-3.0mm | ~0.05mm |
| 塗布難度 | 低(切って挟むだけ) | 中(適量を塗布) |
| リワーク性 | 高(剥がすだけ) | 中(清掃が必要) |
| 用途 | VRAM, VRM, SSD | CPU, GPU ダイ |
| コスト | 面積単価高い | 容量単価安い |
M.2 SSD の冷却
M.2 NVMe SSD はコントローラとNANDチップが高温になりやすく、サーマルパッドによる冷却が効果的である。マザーボード付属のM.2ヒートシンクには薄い(0.5-1.0mm)サーマルパッドが同梱されていることが多い。
SSDのサーマルスロットリング温度は通常70-85℃で、適切なサーマルパッド+ヒートシンクの組み合わせで10-25℃の温度低下が期待できる。Samsung 990 Pro の場合、ヒートシンクなしで連続書き込み時に80℃を超えスロットリングが発生するが、サーマルパッド+ヒートシンクで55-65℃に抑えられる。
FAQ
サーマルパッドは再利用できますか?
一度圧縮されたサーマルパッドは元の厚みに戻らないため、基本的に再利用は推奨しない。ただし圧縮量が少なく(10-20%以下)、表面に損傷がなければ短期的な再利用は可能である。GPUの分解清掃後に新品に交換するのがベストプラクティスである。
安価な中華製サーマルパッドは使えますか?
熱伝導率のスペック詐称が多いため注意が必要。表記15 W/m·Kでも実測2-5 W/m·Kというケースが報告されている。Thermal Grizzly、Thermalright、Gelid、Fujipoly など実績のあるメーカーの製品を推奨する。価格差は数百円程度であり、高価なGPUを保護するコストとしては無視できる。
サーマルパッドをサーマルペーストで代用できますか?
ギャップが0.1mm以下の密着面ならペーストで代用可能だが、0.5mm以上のギャップではペーストが流れ出して機能しない。VRAMやVRMの冷却にはサーマルパッドが必須である。逆に、CPU/GPUダイの冷却にサーマルパッドを使うと、ペーストより熱伝導率が低く圧縮が不十分なため、温度が5-15℃上昇する。