熱伝導を助ける柔らかいシート。ヒートシンクと発熱体の隙間を埋め、効率的に熱を移動させます。
サーマルパッドは、PCの内部部品と冷却素子(ヒートシンク)の間に設けられる熱伝導性の高い柔らかいシート状素材で、発熱部品(CPU、GPU、VRMなど)とヒートシンクの隙間を埋めることで熱伝導効率を向上させる部品である。この技術は、PCの冷却性能を最適化するための重要な要素として位置付けられ、特に高負荷下での安定動作や部品寿命の延長に寄与する。サーマルパッドは熱伝導率が1〜5W/m·K程度で、サーマルグリス(約5〜10W/m·K)には劣るが、塗布の手間が少ないため初心者にも扱いやすい。しかし、熱伝導効率に応じて用途別に最適な製品を選ぶことが重要であり、部品の発熱特性や冷却構造に応じて選定する必要がある。
サーマルパッドの性能は、材料特性や製造技術によって大きく異なる。以下に具体的な仕様と対応規格を記述する。
基本仕様
| 項目 | 仕様 | 詳細 |
|------|------|------|
| 熱伝導率 | 1.0〜5.0 W/m·K | シリコンベースの製品が一般的で、金属繊維やグラフェン添加物を含む高機能製品では5.0W/m·Kに近い。サーマルグリスは通常5〜10W/m·Kとされるが、接着性や耐久性に差がある。 |
| 厚み | 0.1〜2.0mm | 厚みが薄いほど熱伝導効率は高まるが、部品の凹凸を完全に埋めるには0.5mm以上が必要。VRMやSSD用のパッドは薄い製品が主流で、GPUバックプレート用には1.0mm以上のものを選ぶ。 |
| 耐熱性 | -40〜150°C | プリント基板に貼るVRM用パッドは高温に耐えられる設計で、SSD用の製品は85°C以下での使用が推奨。 |
| 圧縮性 | 10〜30% | フレキシブルな素材で、部品の変形に応じて圧縮されることで接触面積を確保。高圧縮性の製品は部品の凹凸を柔軟に吸収する。 |
| 接着性 | 無接着/半接着型 | 自粘性の製品は取り付け時に固定が容易だが、剥がれやすい。接着剤を必要とする製品は耐久性が高いが、取り替え時に剥がしにくい。 |
対応規格・標準
サーマルパッドは用途や性能によって大きく3つのカテゴリに分けられる。
エントリーレベル(価格帯:500〜1,500円)
ミドルレンジ(価格帯:2,000〜5,000円)
ハイエンド(価格帯:5,000円以上)
用途別選択ガイド
ゲーミング用途:
クリエイター・プロ用途:
一般・オフィス用途:
購入時のチェックポイント
事前準備
取り付け手順
初期設定・最適化
よくある問題TOP5
問題: VRMの温度が高すぎる。
原因: パッドの熱伝導率が低く、VRMとヒートシンクの接触面積が不足。
解決法: 熱伝導率4.0W/m·K以上の製品に交換。VRMの凹凸を埋める厚み1.0mm以上のパッドを使用。
予防策: 高性能なVRM用パッドを定期的に交換。
問題: SSDが高温になる。
原因: パッドの厚みが薄く、SSDとヒートシンクの接触面積が不足。
解決法: 厚み0.8mm以上のパッドに交換。SSD背面の清掃を実施。
予防策: SSD用パッドを3年以上使用すると劣化するため、定期的に交換。
問題: パッドが剥がれる。
原因: 接着性の低い製品を使用したか、貼り付け時に圧縮不足。
解決法: 自粘性のパッドを選び、貼り付け時に均一に圧縮。
予防策: 接着性の高い製品を選び、デバイスを移動させない。
問題: パッドの劣化による冷却効率低下。
原因: 長期間使用し、素材が硬化または破損。
解決法: 熱伝導率の高い製品に交換し、パッドの劣化を定期的に確認。
予防策: 3年以上使用する場合は交換を推奨。
問題: パッドの塗布ミスによる性能低下。
原因: サーマルグリスを塗りすぎたり、パッドが歪んで貼られていた。
解決法: パッドを完全に剥がし、再び均一に貼る。
予防策: サーマルグリスを塗布する場合は、薄く均一に塗る。
診断フローチャート
メンテナンス方法
このように、サーマルパッドはPCの冷却性能向上に不可欠な部品であり、使い方や製品選びによって効果が大きく変わる。適切な選定とメンテナンスにより、デバイスの安定動作や寿命を最大限に引き出すことができる。