MPEG-4 Part 2 (1999)(エムペグフォーパートツー)
MPEG が 1999 年に ISO/IEC 14496-2 として標準化した動画圧縮規格。MPEG-1/2 の後継として低 bitrate 強化・オブジェクトベース符号化・インターネット動画配信に最適化された規格で、DivX (2001) ・Xvid (2003) ・QuickTime の標準動画コーデックとして 2000 年代前半に広く普及した。
概要
MPEG-4 Part 2 (Visual) は、MPEG (Moving Picture Experts Group) が 1999 年に ISO/IEC 14496-2 として標準化した動画圧縮規格で、MPEG-1 (1993) ・MPEG-2 (1995) の後継として低 bitrate 強化・オブジェクトベース符号化 (映像中の人物・背景を分離して圧縮)・インターネット動画配信に最適化された規格です。H.263 (1996) と並ぶ低 bitrate コーデックの双璧として、ISO/IEC 系で MPEG-4 SP (Simple Profile)・ASP (Advanced Simple Profile)・Main プロファイルを展開しました。商用実装の DivX 5.0 (2002、DivX Networks 社) で「DVD を 1 CD に圧縮 (700MB)」のキャッチコピーが流行し、Xvid (2003、OSS の DivX 互換実装) と共に P2P 動画交換 (Napster・eDonkey・BitTorrent) の中心技術として 2000 年代初頭の動画文化を作りました。MPEG-4 Part 10 (H.264 AVC、2003) 登場で 2005 年以降役目を譲りましたが、レガシーコンテンツとして 2026 年現在も残存しています。
主な特徴・仕組み
- 標準化: 1999 年 ISO/IEC 14496-2
- プロファイル: Simple (SP)・Advanced Simple (ASP)・Main・Core・N-Bit
- bitrate: 64kbps - 8Mbps、典型 1Mbps (動画) + 128kbps (音声)
- 解像度: 176×144 (QCIF) - 720×576 (PAL) - 1280×720 (HD)
- オブジェクトベース: 映像中のオブジェクト (人物・背景) を分離符号化 (実装は複雑で限定的)
- 動き補償: 1/4 画素精度 (H.263 の 1/2 から向上)
- GMC (Global Motion Compensation): パン・ズームの全体動き補償
- B-VOP: B フレーム双方向参照、効率向上
- QPel: 1/4 画素動き補償、より滑らかな動き
- コンテナ: MP4 (MPEG-4 Part 14)・AVI (DivX/Xvid)・MOV (QuickTime)
スペック比較表
| 実装 | プロファイル | 用途 | 圧縮率 |
|---|---|---|---|
| DivX 5.0 (2002) | ASP | DVD リッピング | 700MB/120 分 |
| Xvid (2003) | ASP | OSS 動画配信 | DivX 互換 |
| QuickTime MPEG-4 | SP | iTunes・iPod | 標準品質 |
| 3IVX | ASP | Mac DivX 互換 | 中華圏で利用 |
| Nero MPEG-4 | ASP | DVD ライティング | 720p HD |
具体例・対応技術
- DivX 5.0 Pro (2002): 「DVD を 1 CD に」、商用 ASP 実装、シェアウェア
- Xvid (2003-): OSS の DivX 互換、Linux・自作 PC で広く利用
- iPod (2001-2010 初期): MPEG-4 SP 動画再生対応
- QuickTime Pro (Mac): MPEG-4 標準サポート、Mac 動画編集の起点
- BitTorrent 動画交換 (2003-2008): DivX/Xvid AVI ファイルが主流
自作PCでの選び方・注意点
MPEG-4 Part 2 (DivX/Xvid) は 2026 年現在、新規利用は皆無ですが、以下の場面で意識: (1) 2000-2010 年に P2P で取得した古い DivX/Xvid AVI ファイルの整理・再エンコード・(2) 古い iPod (2001-2010 初期世代) との互換性確保・(3) DVD バックアップアーカイブ (DivX 形式) の H.265/AV1 へのリエンコード。HandBrake (HandBrakeCLI -i input.avi -o output.mp4 --preset "Fast 1080p30") で H.264 への変換が定番、FFmpeg (ffmpeg -i input.avi -c:v libx265 -crf 23 -c:a aac output.mp4) で H.265 への高効率変換も簡単。AVI コンテナは MP4 (MPEG-4 Part 14) に変換推奨、Windows 11 標準動画プレーヤで安定再生のため。新規動画作成は H.264/H.265/AV1 を選択、MPEG-4 Part 2 は完全レガシー。
関連用語との違い
- H.263: ITU-T 系、モバイル特化、MPEG-4 Part 2 は ISO/IEC 系・Web 特化
- H.264 AVC = MPEG-4 Part 10: 後継、Part 2 の 2 倍効率
- DivX/Xvid: 商用/OSS 実装、Part 2 の ASP プロファイル実装
よくある質問(FAQ)
Q1: DivX と Xvid の違いは? A: DivX は商用 (DivX Networks 社)・有料機能あり・Windows 中心、Xvid は OSS (BSD ライセンス)・無料・全プラットフォーム対応。技術的に同等性能。
Q2: 「DVD を 1 CD に」とは? A: DVD-Video (4.7-8.5GB) を MPEG-4 ASP で再エンコードし 700MB (CD-R) に収める技術。2000 年代前半に流行した動画圧縮文化のキャッチコピー。
Q3: 現代でも使う場面は? A: 完全になし。レガシーファイル整理・H.264/H.265 へのリエンコードのみ。AVI コンテナは新規 MP4 へ移行推奨。
まとめ
- MPEG-4 Part 2 = 1999 年 ISO 14496-2 標準化、H.263 ISO 競合
- DivX/Xvid 実装で 2000s 動画文化を作る
- 「DVD を 1 CD に」が象徴、P2P 動画交換の中心
- H.264 AVC (2003) に置換、現代はレガシーのみ