AMDのRyzen 9 5900は性能と価格の境界線を曖昧にする

ハードウェア探偵のTum_Apisakが、新しいベンチマークでAMDのRyzen 9 5900を発見しました。この12コアのプロセッサーは完全なモンスターのように見えますが、OEMに限定されているのは残念なことです。

TSMCの7nmプロセスで製造されたRyzen 9 5900は、他のRyzen 5000（Vermeer）プロセッサと同じです。強力なZen 3コアを搭載したRyzen 9 5900は、基本的にRyzen 9 5900Xの消費電力を最適化したバージョンです。Ryzen 9 5900は、Ryzen 9 5900Xと同じ12コア、24スレッドの設計で、64MBのL3キャッシュを搭載しています。TDPが105WのRyzen 9 5900Xとは異なり、非Xモデルでは65Wに制限されます。

Ryzen 9 5900は、より厳しい電力制限のため、当然ながら動作クロックも低くなっています。ベースクロックは3GHzで、Ryzen 9 5900Xよりも700MHz低くなっています。一方で、ブーストクロックはそれほど低下していません。Ryzen 9 5900は、Ryzen 9 5900Xよりも100MHzだけ低い4.7GHzに簡単にブーストできます。

TDPの低いRyzen 9 5900Xと比較して、Ryzen 9 5900のパフォーマンスがどうなのか気になるのは当然です。OEM専用のプロセッサーであるため、Ryzen 9 5900のベンチマークを見つけるのは難しいのですが、Tum_Apisak氏が見つけてくれました。UserBenchmarkはあまり良い評価ではありませんが、入手可能なベンチマークなので、今のところはこのベンチマークで我慢するしかありません。

なお、Ryzen 9 5900Xの結果は3万人以上のユーザーからの投稿に基づいており、Ryzen 9 5900の結果は1人のユーザーによるものです。とりあえずは、この結果を素直に受け止めてください。

Ryzen 9 5900Xは、Ryzen 9 5900に比べてシングルスレッド性能が5%向上しています。マルチスレッド性能については、Ryzen 9 5900XがRyzen 9 5900を7%の差で上回っているようです。しかし、Ryzen 9 5900Xは戦いのすべてのラウンドで勝利したわけではありません。Ryzen 9 5900は、Ryzen 9 5900Xと比較して、メモリレイテンシーが7%低いようです。

これらの点を考慮すると、Ryzen 9 5900は非常に魅力的なプロセッサーであり、AMDが小売市場に提供しないのは不思議なことです。Ryzen 9 5900XはTDPが61.5%高く、Ryzen 9 5900よりも10%弱高速です。もちろん、UserBenchmarkによるパフォーマンスのデルタが有効かどうかは、Ryzen 9 5900を実際に使ってみないとわかりません。

公式には、Ryzen 9 5900はOEMにしか提供されていませんが、それはAMDがRyzen 4000（Renoir）APUでも同じことを言っていて、あちこちで見つけられました。Ryzen 9 5900がグレーマーケットに出回るのは、まだであれば時間の問題です。