【Ryzen9 5900X、RTX3080】BTOになるべく近い構成、なるべく近い価格で組んでみるPart.2【NEW ALIENWARE AURORA RYZEN EDITION R14】
同じ価格帯のBTOパソコン
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パーツリスト
AMD B550 | ATX | Socket AM4 | USB Type-C | Wi-Fi 6 | 2020-06-20発売
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2 x 8GB | DDR4-3200 | DIMM | 2021-01-01発売
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GeForce RTX 3080 | GDDR6X 10GB
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容量 1TB | MLC | M.2 (Type2280) | PCI-Express Gen3 | 2019-02-01発売
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ATX | グレー/ホワイト/ホワイト/ホワイト/ブラック/ホワイト/ブラック/ブラック | 2021-03-05発売
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850 W | ATX/BTX/EPS | 80PLUS Gold | プラグイン対応 | 2019-09-14発売
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総計
電源 496W/推奨 744W 以上
推奨 744W 以上
¥311,541
(この企画の記事まとめはこちら。私の現在のメイン構成はこちら。)
BTOになるべく近い構成で組んでみる企画第二弾です。
第二弾は、かねてより不思議だなぁと思っていたDell製のAlienwareシリーズより、NEW ALIENWARE AURORA RYZEN EDITION R14 プレミアムのCPU5900変更バージョンを取り上げます。
価格は標準で439,480円、ただ11月15日現在では17%オフクーポン配布中なので、だいたい364,800円ぐらいです。安くなっても高い、さすがハイエンド。
不思議だなぁと思っていたのは、売り方自体は恐らくハイクラスの構成を狙っているんだろうと思われつつ、実際にカスタマイズできる部分などを弄ってみると、実はどうもミドルエンド~ハイロー辺りがいちばん力を発揮できるんじゃないか、という風な構成に見えてしまっていたからです。
ただ、実際に私が使っているわけでもないので、今回は冷却、静音性がともに十分であるという前提で、ハイエンドを搭載するのにどこが工夫されているのかをちょっと考えてみるという感じの趣旨になります。
もともとこの企画自体を考えた一つのきっかけのBTOでもありますが、早速、なるべく近い構成近いパフォーマンス近い価格で組んでみて、Alienwareが何を売りにしているシリーズなのかというのを考えていきたいと思います。
❶CPU:Ryzen9 5900 → Ryzen9 5900X
いきなりですが、今回企画に選んだBTOで選択したCPUは市販されていない5900です。5900Xではありません。いちおう、AMDのHPにちゃんと掲載されています。それによると、コア数スレッド数は同じく12コア24スレッドですが、クロックは基本3.0GHz、ブースト時で4.7GHzと、特に基本クロックが低く抑えられています(5900Xは基本3.7GHz、ブースト時4.8GHz)。基本構成は変わらないのでキャッシュなどの大きさは変わりませんが、一番の違いがTDP65Wと、5900Xより40Wも低く抑えられ、5600Xと同じ値となっている点です。
ちなみにAlienwareには5800(5800Xではない)のラインナップも存在し、これが恐らく皆さん市販を望んでいた3700Xの後継にあたるTDP65Wの8コア16スレッドのCPUですね。残念ながらOEM品としてAlienwareでのみ見かけるモデルなので、バルク品の販売は相当リサーチしていないと、とてもではありませんが手に入れられるものではありません。あるいは5800を手に入れるがためにAlienwareを買うなんてこともありかもしれません。
ちなみに今回、自作構成を考える際に5900に匹敵する市販のCPUを選ぶとなると5900X以外にはありえないので、必然的に5900Xが選択されました。
❷GPU:RTX3080
先に書いた今回の記事の企画趣旨に則って、カスタマイズではハイエンドのRTX3080を選びました。
Alienwareの分解動画を見る限り、市販の3連ファンより少しだけ長さが短いので、たぶん2連ファン仕様となっていると思われますが、冷却に関しては恐らく多少動作クロックを下げているのではないか、と思われます。
ちなみに代替品としてPalitを選んだ理由は、単純にいま通常価格の最安値がここだから。しかしLHR版で15万ごえとかおかしい。
❸マザーボード:メーカー純正→ASUS ROG STRIX B550-E GAMING
マザーボードについてはあまり情報がなかったのですが、ミドルエンド辺り(30000円上限)のものでは、という推測があったので、B550の中ではもっとも各種装備のそろっているASUSのROG STRIXのB550-Eのほうを選びました。
ただ、R14の製品仕様を見ると、どうも背面ポートにUSB-CのGen2×1が2ポート、フロントにも1ポートある反面、USB-Aポートについてはそれほど数がないということで、その辺は独自仕様になっています。Wi-fiとBoluetoothのアンテナは天面カバーの裏側にあるらしいので、背面にはアンテナ接続ポートがありません。
入力の仕様以外は、個人的な見立てではMSIのGaming Edgeぐらいなのでは……という気もしますが、内部のフェーズ数やコントローラ、コンデンサなどは全くわからないので、無難に上記の製品にしておきました。
❹CPUクーラー:メーカー純正120mm簡易水冷ファン → NZXT KRAKEN X63 RL-KRX63-01
搭載ファンの仕様とリアファンに伸びる簡易水冷の管から考えて、120mmの簡易水冷を冷却に使用しているっぽいです。そしてこれはカスタマイズできず、標準仕様から変更できません。
端的に言えば、これがBTOカスタマイズでCPUを低TDP版にした理由です。
5800XはZEN3のラインナップの中でも最も発熱にシビアな挙動をするCPUですし、5900Xはそれに比べればかなり扱いやすい挙動ではありますが、やはり長時間高負荷をかければそれなりに熱くなります。それに、よく言われることですが、ZEN3全般は特に発熱を抑える分だけクロックが高くなり、性能が高くなるという挙動をする傾向にあるので、5800X、5900Xどちらを選ぶにせよ、通常であれば120mm簡易水冷では冷却能力が不足すると思われます。
逆に言えば、その辺がAlienwareの最大の工夫ポイントなのでは、とも推察できます。今回は日和りましたが。。
今回は代替品として5900Xを今回選ぶのであれば少なくとも240mmはほしい、という直感的な理解に従って、NZXTの名作水冷を選びました。というか簡易水冷に関しては勉強不足なので、NZXTとMSIの製品ぐらいしかあんまり知らない。
❺メモリ:16GB(2×8GB)DDR4 3200MHz XMP → Crucial ネイティヴメモリ DDR4 3200MHz 16GB(2×8GB)
他のパーツでかなり値が張っているので、ここはネイティブメモリ一択。XMPとか書いてるので、Alienwareのメモリはたぶんだけど、OC版なのでは、と思われます。ただ、いまどき3200MHzのOCメモリはどうかと思う。
❻ストレージ:512GB NVMe M.2 PCIe SSD → サムスン 970 EVO Plus 1TB
こっちは、たぶん自分がこの構成でAlienwareを購入するとして、あとから2.5インチSSDを増設するだろうなオプション高すぎるし……という感じで最低限の容量しか積みませんでした。
ただ、この構成であれば自作する際にはせめて1TBぐらいはほしいなということで、最近コントローラの挙動が変わるとともに値下げされたサムソンの970 evo plusを選択。
(ついでに言うのであれば、秋口あたりにGen3の定番SSDのコントローラが変わった製品がちらほら出て同時に特価になっていたのですが、だいたいどのSSDの挙動も、SLCキャッシュを少し多くとる分、キャッシュを使い切った後の性能を落とすみたいな変更となっていて、えっ、と思った。970 evo plusはまあ変更としちゃありかなというレベルだったけど、WDのSN550ははっきり言って改悪レベルの変更だったので、注意してないといつの間にかTLCからQLCに変更なんてことも起こりそう。。)
❼電源:750W Gold → Super Flower LEADEX III GOLD 850W
ホームページには750W Goldとしか情報がありませんでした。たぶんこちらはメーカー注文品です(CWT製かしら)。BTOでいちばん情報がないのが電源ですが、電源こそ情報開示してちゃんと選ばせてほしい。
R14では5900+3080の組み合わせということで、750Wでも必要十分だと思われますが、自作では5900X+3080の組み合わせになるので、そうなると850W以上ほしいですね。今回は良き値段を狙って、枯れた名作電源である超花(公式翻訳)のLeadex Ⅲシリーズの850Wを選んでみました。
❽ケース:メーカー純正 → Fractal Design Meshify 2 Compact
ここは恐らくメーカーが力を入れている部分の一つなので、なかなか選ぶのが難しいのですが、全体的にコンパクトさを売りの一つにしていると思われたので、コンパクトの中でも使い勝手が良くデザインにも凝っているFractal Design製のMeshify2 Compactシリーズにしました。
ここも私の勉強不足で、国外で発売されている、もっとデザインに凝ったコンパクトタイプ(ただしATX)のケースを知らないので、もう少し金額で上を見て、5万円ぐらいまでの中でよさげなものを選べればそっちのほうがよりAlienwareのケースに近づく気がします。
❾総評
というわけで、自作で近い構成をと考える場合の総額は323,678円。セール価格が364,800円なので、セールと比較しても4万円ほど高くなっています。標準で439,480円だったので、そこを参考にすると10万円分の余剰があります。まあデルは常に何らかのセールをおこなっているので、標準価格から10%を引いた、だいたい38-39万円が真の標準価格であるとすると、6万円超ぐらいの付加価値があるわけです。
では、この6万円分ほどの付加価値がこの製品のどこにあるのか、と考えてみます。
●まずは、メーカー純正のマザーボードです。
背面をよく見てみれば、PCIeのポート数的にMicro-ATXの規格が採用されているっぽいのですが、特にR10シリーズでは電源が上面に縦置きという、通常の自作ではにわかには信じられない配置となっています(今回取り上げてるR14は普通に下部配置)。
それに伴ってCPU部分周囲の空間が少し広く取られており、そこに前面上部から取り入れられた空気が入り、天面+背面から排気という感じになってます。そうした余裕を持った設計のためか、VRM部分のヒートシンクが昔なじみの凸凹のものです。それでもエアフロー的に十分冷却が可能だという設計なのでしょう。
●ただ、R10の設計ならわかるのですが(電源を上部に縦置きに設置してマザーボード上部と下部のエアフローをうまく隔てている)、R14の設計は、電源が下部に置かれた、言ってみればごく普通の設計です。サイドパネルから見ることのできる空間の空き具合から言っても、少なくとも見た目だけからいえば、エアフローも通常のケースとそれほど変わらないように思えてしまいます。
ただ、ホームページには、エアーベント、つまり空気抜きの弁を設けてエアフローを最適化している、と書かれており、その他冷却性能についても結構強調されているので、見た目ではわからない部分での空気の流れの工夫がなされているのでしょう。そうしたエアフロー面での特別な設計にお金がかかっている、と考えるのは一つ納得できる理由です。
ちなみに配線も特別仕様であるっぽいです。そのほか、今回は書かない部分での特殊設計もあるようです。
●では、このような特別な設計が必要な理由ですが、端的に言えば見た目でしょう。Alienwareと言えばこの形、というブランドを確立していると言えるこのシリーズですが、この見た目をブランドの売りとして残すために特別な設計をしなければならなかった、という理由以外に、ぱっと見意味の分からない冷却方式を採用している理由はないと思います。
そういう意味で、上記の6万円超の付加価値はブランド料ということになります。
ただ、このブランド料がただのブランド料というよりは、ブランドを全面に押し出すための各種の特殊設計という形で活かされているという点が、このAlienwareの好ましくある点だと思います。設計というよりは何を売りにするかという思想の部分が実装にまで貫徹されているというのは素晴らしいと思います。
●ただ、それは冷却と静音性を犠牲にしない範囲での話です。
最初に、冷却性能、静音性はハイエンド構成でも達成されている前提で話す、ということを書きましたが、もしそれが何らかの部分で犠牲となってしまっているのであれば、実装としては端的に失敗です。その調整が大変そうだなぁ、という小学生みたいな感想しか思い浮かびませんが、同時に、ブランドの維持というのは大変なのだなぁ、という風にも思えてきます。
ちなみに、海外の記事ですが、(行燈記事かもしれませんが)インテルの第12世代エンスージアスト向けの12900KF搭載機種でも、静音性、冷却性能ともに十分だということが確認された、という趣旨のものがありますので、この設計で、あの爆熱の世代であっても冷却は十分可能なのでしょう。
R14シリーズは上記インテル第12世代を積んだR13シリーズと同時期に発売されているので、であれば冷却性能は十分以上であると思われます。
●逆に考えれば、これを通常のエアフローの自作PCで実現するには冷却パーツをお高めのものにしなければならない、ということでもあります。
今回は240mmの簡易水冷を代替品として選びましたが、同等の冷却性能を求めるのであれば360mmのものでもいいかもしれません。
今回は、まことにもってエアフローの世界は奥深いですね、という結論で。
R20マルチコア
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