Auratone 5C Super Sound Cube(オーラトーン5シーパーサウンドキューブ)
米Auratoneが1958年発表した超ロングセラーの単発フルレンジ・キューブ型スタジオモニター。Mix翻訳作業必須機材。
概要
Auratone 5C Super Sound Cube は、米国カリフォルニア州を本拠とするスピーカー専業メーカー Auratone Co. が 1958 年に発表した 4 インチフルレンジ単発キューブ型スピーカー。Auratone は 1950 年代に小型・低能率・狭帯域な「悪い」スピーカーを敢えて作るユニークなコンセプトで設立、1960-90 年代のレコーディングスタジオで「最悪のスピーカー」「Mix 翻訳の必須機材」という二面的評価を獲得した歴史的銘機。
5C Super Sound Cube は 4 インチフルレンジドライバ単発(クロスオーバーなし)+ キューブ型小型筐体(W167 × H157 × D135 mm)+ クリームホワイト塗装の構成で、AM ラジオ放送・テレビ放送・カーステレオ・家庭用ラジカセ等の「典型的低品質再生環境」を再現する設計思想を実装。「Auratone でいい音に聞こえる Mix は、どんな環境でも良く聞こえる」という Mix 翻訳の哲学が業界に浸透し、Quincy Jones、Bruce Swedien、Bob Clearmountain といった伝説的エンジニアが愛用。販売価格は当時 US$130-180/ペア(現代換算 US$700-1,000)、現存品は完動品で US$300-700/ペアの市場価格。
主な特徴・仕組み
- 発表年: 1958 年(5C Super Sound Cube)
- 構成: 4 インチフルレンジ単発(2-Way なし、クロスオーバーなし)
- ドライバ: 4 インチ紙コーン、Whizzer Cone 副コーンなし
- 再生周波数: 130Hz - 12kHz(極めて狭帯域、設計思想として狭く設計)
- 能率: 80dB/W @ 1m(業界最低クラス)
- 耐入力: 30W
- インピーダンス: 8Ω
- 筐体: バスレフなし密閉、クリームホワイト塗装
- 寸法: W167 × H157 × D135 mm(4×4×4 インチ準拠)
- 質量: 1.4 kg(1 個、超軽量)
- 設計思想: AM 放送・テレビ・カーステレオ等の低品質再生環境を意図的に再現
スペック比較表
| 製品/規格 | 発表年 | 構成 | 帯域 | 価格帯(当時) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| Auratone 5C Super Sound Cube | 1958 | フルレンジ単発 | 130Hz-12kHz | US$150/ペア | Mix 翻訳キューブ |
| Yamaha NS-10M Studio | 1987 | 2-Way | 60Hz-20kHz | ¥90,000/ペア | ニアフィールド業界標準 |
| Avantone Mixcube Active | 2007 | フルレンジ単発 + Active | 130Hz-12kHz | $350/ペア | Auratone 復刻版 |
| Avantone Mixcube Passive | 2005 | フルレンジ単発 | 130Hz-12kHz | $250/ペア | Auratone 復刻版 |
具体例・対応製品
- 5C Super Sound Cube 中古: US$300-700/ペア(2026 年中古市場)。完動品 Vintage 品は希少、年間 50-100 ペア流通。
- 同社シリーズ: 5C(標準)、5PSC(パワード版)、T6 Super Sound Towers(タワー型)、Auratone Reference(最上位)。
- 復刻版: Avantone Mixcube Passive / Active(US$200-400/ペア、Auratone を意識した復刻設計)。Auratone 純正品とほぼ同じ音質キャラクタを再現。
- 対応パワーアンプ: Crown D45(プロ用小型)、Yamaha P-2200、Bryston 4B-ST など 30-100W クラスのプロ用パワーアンプ。
- 適合スタジオ: 米国全主要レコーディングスタジオ(Capitol Records、Sunset Sound、Ocean Way、A&M Studios 等)+ 日本のソニー音楽スタジオ、ビクター青山スタジオ。
自作PCでの選び方・注意点
Auratone 5C は 「悪い音」を意図的に作る機材として設計されたため、Audiophile 用途には完全に不向き。プロスタジオでの Mix 翻訳補助機材としてのみ存在意義がある。家庭用 Audiophile システムには Yamaha NS-10M Studio や Genelec 1031A が現実的選択肢。
注意点として、Auratone 5C は 130Hz 以下の低域を完全カット + 12kHz 以上の高域も大幅減衰する。AM 放送・テレビ・カーステレオ等の低品質再生環境を再現するための設計で、現代の Audiophile 録音 Mix には全く不適合。
また、Auratone 5C の 能率 80dB/Wは超低能率で、ハイパワーアンプとの組合せが必須。30W 未満の真空管アンプ・Class A 半導体アンプでは音圧不足、100W 級プロ用パワーアンプとの組合せが推奨される。
関連用語との違い
| 用語 | 用途 | 設計 | Auratone 5C との違い |
|---|---|---|---|
| Yamaha NS-10M Studio | Mix 翻訳ニアフィールド | 2-Way | NS-10M は 2-Way、Auratone は単発 |
| Avantone Mixcube | Auratone 復刻 | フルレンジ単発 | Avantone は復刻、Auratone はオリジナル |
| Tannoy SRM-12B | BBC 同軸 | 12 インチ大型 | Tannoy は大型、Auratone は超小型 |
よくある質問(FAQ)
Q1: なぜ「最悪のスピーカー」と評価されるか? A: 周波数特性 130Hz-12kHz、能率 80dB/W、フルレンジ単発という意図的な「低品質設計」のため。一方、その「最悪さ」が AM 放送・カーステレオ・家庭用ラジカセを完璧に再現するため、Mix 翻訳機材としてプロスタジオ業界で君臨した。
Q2: 現代でも実用可能か? A: Mix 翻訳機材として現代でも需要が継続。一方、現代の音楽再生環境(高音質ストリーミング、Hi-Res 配信、ハイレゾヘッドフォン等)と Auratone の「低品質基準」が乖離しているため、業界での重要性は若干低下。Avantone Mixcube が後継機として広く採用される。
Q3: 5C と Avantone Mixcube どちらが推奨? A: ヴィンテージ収集 + Mix 翻訳両方なら Auratone 5C(Vintage 品 US$500/ペア)、純粋に Mix 翻訳機材として使うなら Avantone Mixcube Active(新品 US$350/ペア)。サウンドキャラクタはほぼ同じ。
まとめ
- 米 Auratone 1958 年発表の Mix 翻訳キューブ型スタジオモニター
- 「最悪のスピーカー」「Mix 翻訳の必須機材」の二面的評価
- 4 インチフルレンジ単発 + キューブ型 + 130Hz-12kHz 狭帯域
- 中古完動品 US$300-700/ペア・1958 年発表の超ロングセラー
- Quincy Jones / Bruce Swedien / Bob Clearmountain 愛用機