Decca SXL 2225(デッカエスエックスエル2225)
英 Decca が 1959 年に発売したステレオデモンストレーション LP。同社の FFSS 録音技術を世界に紹介した黎明期銘盤として知られる。
概要
Decca SXL 2225 は、英 Decca Records が 1959 年に発売したステレオデモンストレーション LP です。Decca は第二次世界大戦中の 1944 年に FFRR(Full Frequency Range Recording)録音技術を開発し、戦後のクラシック録音で世界的評価を得ていました。1958 年に Westrex 3D で 45/45 ステレオ LP 規格が確立されると、Decca は FFRR をステレオ拡張した FFSS(Full Frequency Stereophonic Sound)を打ち出し、その音質傾向を市場に紹介するためにこの SXL 2225 を制作しました。
販売価格は当時 約 £2(1959 年、現代換算で 約 ¥15,000-25,000)、Vintage 完動品の中古相場は ¥20,000-100,000 程度です。
主な特徴
- FFSS 録音技術: Decca が 1958-59 年に確立したステレオ録音技術で、3 本マイクのツリー配置(Decca Tree)を基本とします。
- クラシック音源中心: ロンドン交響楽団やウィーン・フィルなどヨーロッパの名門オーケストラの抜粋が収録されています。
- SXL シリーズの初期番号: SXL は Decca のステレオ LP シリーズで、SXL 2001 から始まる初期ナンバーの一つです。
- 厚手プレス: Decca の 1959 年プレスは盤厚があり、現在の 180g 重量盤と近い質感を持ちます。
- 解説小冊子付き: ステレオ LP の聴き方とシステム調整のヒントを記した小冊子が同封されていました。
仕様比較
| 製品 | 発売年 | メーカー | 録音技術 |
|---|---|---|---|
| Decca SXL 2225 | 1959 | 英 Decca | FFSS |
| RCA-101 | 1958 | 米 RCA | Living Stereo |
| Mercury Living Presence | 1959 | 米 Mercury | 3-channel master |
| EMI ASD 序列初期 | 1959 | 英 EMI | Stereo |
FFSS と FFRR の違い
FFRR(1944)はモノラル時代の広帯域録音技術で、20Hz-15kHz の周波数範囲を一枚の溝に記録する方式でした。これをステレオ LP 規格(45/45 方式)に対応させるために 3 本マイクの Decca Tree 配置と組み合わせて再構築したのが FFSS(1958-59)で、左右の定位と空間情報を保ちながら FFRR の広帯域特性を継承する設計になっています。
選び方・注意点
1959 年プレスの英国オリジナル盤(Wide Band ED1 ラベル)は特に評価が高く、希少コレクター市場では数万円から十数万円台で取引されます。一方、1960-70 年代の再発盤(Narrow Band ED2/ED3 等)はより手頃な価格で入手可能です。盤面のスクラッチが少なく、デッドワックスの初期スタンパー番号(1G/1A 等)を持つ個体が最高評価です。
関連用語との違い
| 用語 | 録音技術 |
|---|---|
| Decca SXL 2225 | FFSS(Decca Tree 3 マイク) |
| RCA-101 | Living Stereo(2 マイク中心) |
| Mercury Living Presence | 3 ch ステレオマスター |
| Hi-Fi News HFN001 | デジタル時代のテスト用 |
よくある質問
Q1. ED1 と ED2 の違いは何ですか? A. ED(Edition)は Decca の盤面ラベルの世代を表す慣習的な分類で、ED1 が初版(Wide Band 表記)、ED2 が再版(Narrow Band)になります。コレクター価値は ED1 が最も高く、再発世代が下がるほど価格も下がります。
Q2. 現代のステレオ装置で楽しめますか? A. 一般的な MM/MC カートリッジで再生可能です。FFSS 特有の自然な空間表現は、現代のハイエンド装置でも十分に魅力的に聴こえます。
Q3. 国内で購入できますか? A. ハイファイ堂、Disk Union、海外の eBay/Discogs などで流通しており、状態の良い ED1 個体を見つけたい場合は専門店経由が確実です。
まとめ
- 1959 年に英 Decca が発売した FFSS 録音技術を紹介するステレオデモ LP。
- ステレオ LP 規格成立直後の英国側代表的なデモ盤として、米 RCA-101 と並ぶ位置付け。
- 当時 £2、現在の中古は ED1 で ¥30,000-100,000 程度、再発世代では ¥20,000 台。
- Decca Tree マイク配置と FFSS 録音技術の入門盤として今でも参照される。