デプスゲージ(デプスゲージ)
デプスゲージは、穴・溝・段差の深さを測定するための計測工具で、デジタルノギスのデプスバー機能として内蔵されるほか、専用のデプスゲージとしても製品化されている。自作PCではケースの凹部やファン取り付け部の深さ確認に使われる。
デプスゲージ(Depth Gauge)は、ワーク(被測定物)の穴、溝、段差、窪みの深さを精密に測定するための計測工具である。デジタルノギスの背面に搭載される「デプスバー」もデプスゲージの一種であり、ノギス1本で外径・内径・深さの3種類の測定が可能となっている。専用デプスゲージは、より長いストロークや高い精度が必要な場合に使用される。
デプスバーとは
デジタルノギスの本尺端面から伸縮するスリムな棒(デプスバー)が、深さ測定用の機構である。副尺をスライドさせるとデプスバーが本尺の反対側から突出し、穴や溝にバーの先端を挿入して深さを読み取る。
デプスバーの構造:
- 材質: ステンレス鋼(SUS420J2相当)、本尺と同一素材
- 幅: 約1.5〜2.0mm(150mmモデル標準)
- 測定面: バー先端の平面が被測定面に接触
- 突出量: 0〜副尺のスライド量と同一(0〜150mm等)
- 分解能: 外径・内径測定と同じ0.01mm
デプスバーと専用デプスゲージの比較
| 項目 | ノギスのデプスバー | 専用デプスゲージ |
|---|---|---|
| 測定範囲 | 0〜150mm(ノギスに準ずる) | 0〜200mm / 0〜300mm |
| 分解能 | 0.01mm | 0.01mm / 0.001mm |
| 器差 | ±0.02〜0.03mm | ±0.01〜0.02mm |
| ベース幅 | ノギス本尺端面(狭い) | 広いベースプレート |
| 安定性 | ベースが狭く傾きやすい | 広いベースで安定 |
| 価格 | ノギスに内蔵 | ¥5,000〜30,000 |
| 代表製品 | ミツトヨ 500-196-30 内蔵 | ミツトヨ 571-261-30 |
自作PC用途ではノギス内蔵のデプスバーで十分なケースがほとんどである。
正しいデプスバー測定方法
深さ測定は外径測定よりも誤差が生じやすい。正確な測定のためのポイント:
- ベース面の密着: 本尺端面(ベース面)をワーク表面にしっかり密着させる。隙間があると深さが過大に計測される
- 垂直降下: デプスバーを穴の底面に対して垂直に降ろす。斜めに当てると実際より浅い値が表示される
- 底面到達の確認: デプスバーが穴の底に確実に到達していることを軽く確認。ゴミや切粉があると正しく測れない
- 繰り返し測定: 穴径に対してバー幅が狭いため、位置のずれで値が変動しやすい。3回測定の最大値を採用する
- 段差測定との区別: 段差はジョーの段差面を使い、深さはデプスバーを使う。混同に注意
自作PCでのデプスゲージ活用例
- ケースのケーブルマネジメント穴の深さ: マザーボードトレイ裏のケーブル空間の深さ確認(一般に20〜25mm)
- ファンマウントの凹部深さ: ファンフレームの凹部にネジ頭が収まるか確認
- I/Oシールドの押し込み深さ: I/Oパネルがケース開口部に正しく嵌まっているか、面一を確認
- SSD取り付けネジのスタンドオフ高さ: M.2 SSD固定スタンドオフの高さ(標準2.5mm)を確認
- 水冷ラジエーターの厚さ: フィン部分の厚さとファン取り付けスペースの確認(30mm / 45mm / 60mmラジエーター)
- PCIeライザーカード用スペーサーの長さ: ケース分離型構造でのスペーサー長を実測
専用デプスゲージの種類
| 種類 | 特徴 | 測定範囲 | 代表製品 |
|---|---|---|---|
| デジタルデプスゲージ | LCD直読、0.01mm分解能 | 0〜200mm | ミツトヨ 571-261-30 |
| デプスマイクロメータ | 高精度、0.001mm分解能 | 0〜150mm | ミツトヨ 329-250-30 |
| ダイヤルデプスゲージ | アナログ目盛り、視認性良好 | 0〜200mm | テクロック DM-210 |
| シリンダーゲージ | 内径の深さ方向の変化測定 | φ18〜φ150mm | ミツトヨ 511-701 |
よくある質問(FAQ)
Q1: ノギスのデプスバーと専用デプスゲージのどちらを買うべき? A: 自作PCやホビー用途ならノギス内蔵のデプスバーで十分。専用デプスゲージは、直径の小さい深穴の測定や、±0.01mmの高精度が必要な機械加工向け。
Q2: デプスバーで段差も測れる? A: 可能だが、段差測定にはジョーの段差測定面を使う方が安定する。デプスバーはバー幅が狭く、段差のエッジでバーが傾きやすい。
Q3: デプスバーの先端が摩耗したら交換できる? A: デプスバーは本尺と一体構造のため単体交換は不可。先端が摩耗した場合はノギスごとの買い替えとなる。ただし通常使用で摩耗が問題になることは稀で、10年以上使用可能。
Q4: 穴の径が小さくてデプスバーが入らない場合は? A: 標準のデプスバー幅は約1.5〜2.0mm。これより小さい穴はピンゲージやシリンダーゲージの出番。自作PCパーツでこの径以下の穴を測定する場面はまず発生しない。
まとめ
- デプスゲージはノギスのデプスバー機能として内蔵されている
- 深さ測定は「ベース面密着」「垂直降下」「底面到達確認」が精度の要
- 自作PCではケーブル空間やスタンドオフ高さの確認に有用
- 専用デプスゲージは機械加工向け、ホビーにはノギス内蔵で十分
- バー先端摩耗は通常使用では10年以上問題にならない