ノギスジョータイプ(ノギスジョータイプ)
ノギスのジョー(測定顎)には外側測定用・内側測定用・段差測定用などの形状があり、1本のノギスで複数の測定が可能。特殊用途向けにナイフエッジやポイント型も製品化されている。
ノギスのジョー(Jaw)とは、被測定物を挟んだり接触させたりする測定面を持つ顎部分のことで、形状や機能によって測定できる対象が異なる。標準的なデジタルノギスには外側測定用ジョー・内側測定用ジョー・段差測定面の3種類が組み込まれており、1本で多様な寸法計測に対応する。さらに特殊用途向けにナイフエッジ型、ポイント型、オフセット型なども製品化されている。
標準ジョーの3つの測定面
デジタルノギスに標準搭載される測定面は以下の3種類:
1. 外側測定ジョー(Outside Jaws)
ノギスの下側に位置する大きなジョーで、ワークの外径・幅・厚さを測定する。ジョーの内側面(測定面)は平面に仕上げられており、ワークを両ジョーで挟んで寸法を読み取る。
特徴:
- 測定面は焼入れ研磨仕上げ(HRC 60以上)
- 面粗さ Ra 0.1μm以下
- 平行度 0.01mm以内
- ジョーの長さ: 約40mm(150mmモデル標準)
2. 内側測定ジョー(Inside Jaws)
ノギスの上側に位置する小さなジョーで、穴径・溝幅など内側寸法を測定する。ジョー先端の外側面(測定面)をワークの内壁に接触させて計測する。
特徴:
- ジョー先端幅: 約1.0〜1.5mm
- 最小測定可能内径: 約2〜3mm(ジョー先端の幅 × 2)
- 測定面は円弧形状で、ワーク内壁との点接触を最小化
- 内径測定では直径方向の最大値を見つける必要がある
3. 段差測定面(Step Measuring Face)
外側ジョーの先端面と本尺端面を使って段差の高さを測定する。ジョーの刃先が段差の基準面と測定面にそれぞれ接触する。
特徴:
- 外側ジョーの刃先面と本尺端面の高さ差を測定
- ジョーが開いた状態で使用
- 安定した測定にはワークをしっかり固定する必要あり
ジョー形状の比較表
| ジョータイプ | 形状 | 主な用途 | 最小測定 | 精度への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 標準外側ジョー | 平面 | 外径・幅・厚さ | 0mm〜 | 平行度が精度を決定 |
| 標準内側ジョー | 先端突起 | 穴径・溝幅 | 約2mm〜 | 接触点の位置決め重要 |
| ナイフエッジジョー | 薄刃 | 溝底径・段差 | 約0.5mm〜 | 刃先が鋭く摩耗に注意 |
| ポイントジョー | 尖端 | 小径穴・狭溝 | 約1mm〜 | 点接触で不安定になりやすい |
| オフセットジョー | 段付き | 段差面・ フランジ | 用途依存 | 片持ち構造でたわみ注意 |
| ブレードジョー | 薄板状 | 狭溝の底幅 | 約2mm〜 | 幅方向のたわみに注意 |
特殊ジョーの種類
ナイフエッジ型(Knife-Edge Jaw)
ジョーの先端が鋭い刃状に加工されたタイプ。標準ジョーでは入らない狭い溝の底の径や、Oリング溝の幅を測定できる。ミツトヨ 536シリーズ(ポイントノギス)が代表的。
ポイント型(Point Jaw)
ジョー先端が円錐状に尖ったタイプ。小径の穴(φ1mm〜)やケガキ線間距離の測定に使用する。ジョー先端の角度は一般に15°〜30°。
オフセット型(Offset Jaw)
ジョーが段付きまたはL字型に加工されたタイプ。通常のジョーでは届かない段差の奥やフランジの裏側を測定できる。自作PCではケースの折り曲げ部内側の測定に応用可能。
ブレード型(Blade Jaw)
ジョーが薄い板状になったタイプ。狭い溝の底幅を測定するために使われる。
自作PCでの各ジョーの活用
標準ノギスに搭載される3種類のジョーで、自作PCの主要測定シーンをカバーできる:
- 外側ジョー: CPUクーラーの全高測定、メモリモジュールの高さ測定、SSDの厚さ(7mm / 9.5mm / 15mm)測定、ケーブルの外径測定
- 内側ジョー: ケースのファンマウント穴径測定、グロメット穴の内径確認、PCIeスロット開口幅の確認
- 段差面: マザーボードトレイからのスタンドオフ突出量、I/Oシールドの段差、ケースパネルの板厚
特殊ジョーが必要になるのは、ケースのカスタム加工で溝を切った場合や、水冷フィッティングのOリング溝寸法を確認する場合など、かなり限定的である。
ジョーのメンテナンス
ジョーの測定面は精密に仕上げられており、傷や摩耗は測定精度に直結する:
- 清掃: 使用後は乾いたクロスで測定面を拭き、切粉や油分を除去
- 防錆: 長期保管時はジョーを0.2〜0.5mm開けた状態で保管(密着保管は錆の原因)
- 落下防止: ジョーの先端が欠けると精度が回復不能。作業台の端に置かない
- 研磨禁止: ジョー面を自分で研磨すると平面度が狂う。精度不良時はメーカー校正に出す
- 硬度確認: ジョーは HRC 58〜62 の焼入れ仕上げ。硬いワーク(超硬合金など)の測定はジョー摩耗を加速
よくある質問(FAQ)
Q1: 外側ジョーと内側ジョーの測定値はどちらが正確? A: 外側ジョーの方が精度が高い。外側は2面の平行度で精度が決まるが、内側はジョー先端のわずかな位置ずれで測定値が変動する。内側測定では最大値を探すスイング操作が必要。
Q2: ナイフエッジ型ノギスは自作PCに必要? A: 通常は不要。標準ジョーで対応できないのは溝底の測定だが、自作PCではその需要はほぼない。CNC旋盤でカスタムパーツを製作する場合に初めて検討する工具。
Q3: ジョーが閉じた状態で隙間が見える。不良品? A: 肉眼で確認できる隙間(0.05mm以上)は不良の可能性がある。透かし光テスト(ジョーを閉じて光源に向ける)で隙間がなければ正常。JIS規格では測定面の密着度に関する規定がある。
Q4: プラスチックのジョーのノギスは精度が低い? A: カーボンファイバー強化樹脂(CFRP)製のジョーは軽量で傷をつけにくいメリットがあるが、熱膨張率がステンレス鋼と異なり、温度変化での精度変動が大きい。精密測定にはステンレス鋼ジョーを推奨。
まとめ
- 標準ノギスには外側・内側・段差の3種類のジョーが搭載
- 外側ジョーが最も精度が高く使用頻度も高い
- 特殊ジョー(ナイフエッジ、ポイント、オフセット)は産業用途向け
- 自作PCでは標準3ジョーで主要測定シーンをカバー可能
- ジョーの測定面は精密仕上げ、落下・自己研磨は厳禁
- 保管時はジョーを微開(0.2〜0.5mm)で防錆