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GRPO(Group Relative Policy Optimization)(ジーアールピーオー)

グループ内サンプルの相対報酬を用いてLLMを強化学習でファインチューニングする手法。DeepSeek-R1の訓練に採用され、報酬モデルなしで推論能力を大幅に向上させた。

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2026/6/7 更新
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GRPO
強化学習
LLMファインチューニング
DeepSeek-R1
ポリシー最適化

GRPO(Group Relative Policy Optimization)とは

GRPO(Group Relative Policy Optimization)は、LLM(大規模言語モデル)を強化学習でファインチューニングするためのアルゴリズムで、DeepSeek社が2025年初頭のDeepSeek-R1論文で採用したことにより一躍注目を集めた手法です。従来のPPO(Proximal Policy Optimization)を基盤としながら、外部の報酬モデルを不要にする設計が最大の特徴です。

GRPOの仕組み

GRPOの核心は「グループ内相対報酬」です。同一のプロンプトに対してG個(通常8〜16個)の応答をサンプリングし、それぞれの品質をグループ内で相対比較することでベースラインを推定します。

学習ステップの概要:

  1. サンプリング — 同一プロンプトからG個の応答を生成
  2. 報酬計算 — ルールベースまたは検証可能な報酬関数で各応答をスコアリング
  3. 相対化 — グループ平均を引いてアドバンテージを計算(バリュー関数不要)
  4. 方策更新 — PPOクリッピング目標で勾配更新
  5. KL正則化 — 参照モデルからの逸脱を抑制

この設計により、PPOで必要だったバリューネットワーク(Critic)の訓練が不要になり、メモリ効率と実装の単純さが大幅に改善されます。

PPOとの違い

PPOではCriticネットワークがバリュー関数を学習しベースラインを推定しますが、GRPOではグループ内の報酬平均がベースラインを代替します。この違いによりGRPOはCriticモデルのメモリと計算コストを完全に排除できます。報酬モデルも不要なため、訓練に必要なモデルはActorと参照モデルの2つのみとなり、PPOの4モデル構成(Actor・Critic・Ref・Reward)から大幅に削減されます。

DeepSeek-R1における成果

DeepSeek-R1はGRPOを採用し、数学(AIME 2024: 79.8%)・コーディング(Codeforces: 96.3パーセンタイル)・論理推論分野でOpenAI o1と同等以上の性能を達成しました。特筆すべきは、GRPOによって「思考チェーン(Chain-of-Thought)」が自発的に出現したことです。モデルは明示的に指示されなくても、長い推論ステップを生成するようになりました。

適用される報酬関数の種類

GRPOで使用される報酬関数は主に以下の3種類です:

  • ルールベース報酬 — 数学問題の正誤判定、コードの実行結果検証など
  • 形式報酬 — 出力が指定フォーマット(JSON、Markdown等)に従っているか
  • プロセス報酬 — 途中ステップの正しさを評価するPRM(Process Reward Model)

これらの「検証可能な報酬」はスカラー値を確定的に返せるため、GRPOと特に相性が良いです。

GRPOの派生と後継手法

GRPOの成功を受けて、複数の改良手法が提案されています:

  • DAPO(Decoupled Alignment Policy Optimization)— Alibaba/QwenチームによるGRPO改良版。クリッピング非対称化とトークンレベル損失正規化を導入
  • REINFORCE++ — 分散削減を強化したシンプルなバリアント
  • Dr. GRPO — グループサイズ依存性を除去し安定性を向上
  • VAPO(Value-based Augmented Policy Optimization)— バリュー関数を部分的に再導入

実装フレームワーク

GRPOは以下のオープンソースフレームワークで実装されています:

  • veRL(Volcano Engine RL)— ByteDanceによる大規模分散訓練対応
  • OpenRLHF — 最もポピュラーなオープンソース実装
  • TRL(Hugging Face)— GRPOTrainerクラスを内蔵
  • LlamaFactory — WebUIで設定可能なGRPOファインチューニング

まとめ

GRPOは「報酬モデルなしでもLLMをRLでファインチューニングできる」ことを実証した画期的な手法です。DeepSeek-R1での実績により、推論能力強化のためのポストトレーニング手法として2025年の主流となっており、数学・コーディング・科学分野でのLLM性能向上に広く活用されています。

この記事について
カテゴリーAI・機械学習
難易度上級
作成日2026/6/7