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Liquid Metal TIM (Thermal Grizzly Conductonaut)(リキッドメタルティーアイエム)

ガリウム、インジウム、スズの合金(ガリンスタン)を用いた熱伝導材。極めて高い熱伝導率を持ち、従来のグリスを凌駕する冷却性能を実現するが、取り扱いに高度な知識を要する。

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2026/5/18 更新
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Liquid Metal TIM (Thermal Grizzly Conductonaut)

概要

Liquid Metal TIMは、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)を主成分とする「ガリンスタン」と呼ばれる共晶合金を用いた熱伝導材です。融点が約-19°Cと極めて低いため、常温では液体状態を揮発することなく維持し、微細な隙間を完全に埋めることができます。従来のシリコングリスが10〜15 W/m·K程度であるのに対し、本素材は70 W/m·Kを超える圧倒的な熱伝導率を誇ります。

2025年から2026年にかけてのハイエンドゲーミングノートPC(ASUS ROGやRazer Blade等のフラッグシップモデル)では、サーマルスロットリング抑制のために工場出荷段階からこの技術が採用されることが標準化しており、モバイル環境における冷却性能向上の鍵となっています。

スペック・特性比較表

特性項目Liquid Metal (Ga系)High-end Thermal GreaseStandard Thermal Paste
熱伝導率 (W/m·K)70 - 80+12 - 154 - 8
物理状態液体 (流動性あり)半固形 (ペースト)粘性ペースト
施工難易度極めて高い (Advanced)低い (Beginner)低い (Beginner)
電気伝導性あり (ショート注意)なし (絶縁性)なし (絶縁性)
ヒートシンク制限銅/ニッケルメッキ限定制限なし制限なし

冷却ソリューション比較

近年のエンスージアスト向けPC構築においては、Liquid Metalは「Direct Die」冷却(IHSを取り外したダイへの直接塗布)と併せて検討されることが多くなっています。一方で、メンテナンスの容易さと安定性を重視するユーザーの間では、相変化材料(PCM: Phase Change Material)との使い分けが議論されています。

比較軸Liquid MetalPCM (Phase Change)Ceramic/Carbon Paste
熱抵抗の低減率最大限 (極小隙間)高い (平滑化効果)中程度
長期耐久性経年による滲み・乾燥リスク極めて高い (安定)高い
メンテナンス頻度低(再塗布が困難)低(長期間安定)中(定期的な塗り替え)

関連用語との違い

  • TIM (Thermal Interface Material): CPUとヒートシンクの間の熱伝達を助ける素材の総称。Liquid Metalはその一種。
  • IHS (Integrated Heat Spreader): CPUダイを保護する金属蓋。Liquid Metalは通常このIHS越しに使用されるが、究極の冷却では「Delidding」によりダイに直接塗布される。
  • Galvanic Corrosion (電食/ガルバニック腐食): 異なる金属(例:液体金属とアルミニウム)が接触し、電位差によって金属が急速に腐食する現象。Liquid Metal使用時にアルミ製ヒートシンクを使用してはいけない最大の理由。
  • Delidding: IHSを取り外す作業。Liquid Metalの性能を最大限引き出すための高度なプロセス。

FAQ

Q1: アルミニウム製のヒートシンクに使用しても問題ありませんか? 絶対に使用しないでください。ガリウム成分がアルミニウムと反応し、金属構造を脆化させる「ガルバニック腐食」を引き起こします。使用可能なのは、銅製またはニッケルメッキ処理された銅製ヒートシンクのみです。

Q2: 塗布後の漏れ(リーク)による故障リスクは? 非常に高いリスクがあります。液体金属は電気伝導性を持つため、マザーボードや基板上に流れ出ると回路をショートさせ、致命的なダメージを与える可能性があります。塗布後は周囲にバリア(シリコンシーラント等)を形成するなどの対策が推奨されます。

Q3: 従来のグリスと比べて寿命は短いですか? 物理的な「乾燥」という概念は異なりますが、熱による金属の移動や、微細な隙間からの滲み出しが発生する可能性があります。また、長期間の使用により表面に酸化膜が形成され、熱伝導率が低下する場合があるため、定期的な状態確認が必要です。

この記事について
カテゴリー冷却
難易度上級
作成日2026/5/18