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MMLU-Pro(エムエムエルユープロ)

オリジナルMMLUを大幅に強化した大規模言語モデル評価ベンチマーク。選択肢数を4→10に拡大し、大学院レベルの難問を追加。推論能力の真の差を検出するために設計され、Chain-of-Thought推論で精度が大きく変動する点が特徴。TIGER-Labが2024年に公開。

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2026/6/20 更新
関連タグ
LLMベンチマーク
MMLU
MMLU-Pro
自然言語処理
推論能力
Chain-of-Thought

MMLU-Proとは

MMLU-Proは、TIGER-Lab(テキサス大学A&M大学)が2024年に公開した大規模言語モデル(LLM)評価ベンチマークである。オリジナルのMMLU(Massive Multitask Language Understanding、Hendrycks et al., 2021)が抱えていた天井効果・ノイズ問題・推論力識別力の不足を解消するために設計された。選択肢を4→10に拡大し、大学院レベルの難問を追加することで、最先端LLMの真の推論能力差を検出する。

オリジナルMMLUとの違い

項目MMLUMMLU-Pro
選択肢数410
問題数15,90812,032
カテゴリ数5714(統合)
難易度学部〜大学院大学院〜研究者
当て推量ベースライン25%10%
GPT-4oスコア88.7%72.6%
CoT効果+1〜2%+10〜20%
ノイズ率高い(推定12%)低い(専門家レビュー済み)

設計の特徴

10選択肢への拡大

オリジナルMMLUの4選択肢では、GPT-4クラスのモデルが85%以上を達成し天井効果が顕著になった。MMLU-Proは選択肢を10に増やすことで:

  • 当て推量ベースラインを25%→10%に低下: ランダム回答の影響を大幅に抑制
  • 識別力の向上: 上位モデル間の微細な能力差を検出可能に
  • ショートカット回避: 消去法による正答が困難。真の知識と推論が必要

大学院レベル問題の追加

原論文から削除された易問を除外し、STEM・社会科学・人文科学の大学院レベル問題をGPT-4o生成+専門家フィルタリングで追加。特に数学・物理・化学・生物学・工学の比重が高い。

Chain-of-Thought(CoT)推論への感受性

MMLU-Proの最大の特徴は、CoT推論の有無でスコアが大きく変動する点。オリジナルMMLUではCoTの効果は+1〜2%に留まったが、MMLU-Proでは+10〜20%の差が出る。これはベンチマークが単純な知識検索ではなく多段推論を要求していることを示す。

14カテゴリの構成

カテゴリ問題数代表的トピック
Math1,351微積分・線形代数・確率論
Physics1,299量子力学・電磁気学・熱力学
Chemistry1,132有機化学・物理化学・分析化学
Biology717分子生物学・遺伝学・生態学
Computer Science1,010アルゴリズム・計算理論・OS
Engineering969電気工学・機械工学・制御工学
Economics844マクロ経済・ミクロ経済・計量経済
Psychology798認知心理・社会心理・発達心理
Philosophy499論理学・倫理学・形而上学
Law1,101憲法・刑法・国際法
Health818臨床医学・公衆衛生・薬理学
History381世界史・科学史・政治史
Business789会計・マーケティング・経営戦略
Other324分類外の学際的問題

主要モデルのスコア比較(2024-2025年)

モデルMMLUMMLU-ProCoT効果
GPT-4o88.7%72.6%+15.8%
Claude 3.5 Sonnet88.7%78.0%+12.3%
Gemini 1.5 Pro85.9%69.4%+14.1%
Llama 3.1 405B87.3%73.3%+11.5%
Mixtral 8x22B77.8%56.3%+13.2%
Phi-3-medium78.0%53.7%+18.4%

利用方法

MMLU-Proは Hugging Face Datasets 経由でアクセスできる。

  • データセット: TIGER-Lab/MMLU-Pro(Hugging Face)
  • 評価フレームワーク: lm-evaluation-harness(EleutherAI)で mmlu_pro タスクとして統合済み
  • 評価コスト: GPT-4oで全12,032問実行する場合、約$50〜80(トークン消費による)
  • 推奨設定: CoT推論をONにして評価(CoTなしのスコアは参考値としてのみ有効)

限界と批判

  • 英語のみ: 多言語対応がないため、非英語圏のLLM評価には不向き
  • 静的データセット: 2024年時点の知識でフリーズ。時事問題や最新研究の評価ができない(LiveBenchが補完)
  • GPT-4o生成問題のバイアス: 追加問題の一部がGPT-4oで生成されており、GPT系モデルに有利なバイアスの可能性が指摘される
  • コーディング能力の評価不足: SWE-benchやHumanEvalのようなコード実行型評価は含まない

よくある質問(FAQ)

Q1: MMLUとMMLU-Proのどちらを使うべき?

A: 2025年以降の最先端LLM比較にはMMLU-Proを推奨。オリジナルMMLUは天井効果で上位モデルの差が見えない。ただし過去モデルとの経年比較にはオリジナルMMLUも併用する。

Q2: MMLU-Proのスコアが低いモデルは実用性が低い?

A: 必ずしもそうではない。MMLU-Proは大学院レベルの学術知識を評価しており、チャットボットやコード生成等の実用タスク性能とは直接相関しない。Arena-Hard-AutoやBFCLなど実用寄りベンチマークと併せて判断すべき。

Q3: CoTを使わないスコアに意味はある?

A: 参考値としては有用。CoTなしスコアは「直感的な知識アクセス速度」の指標になる。ただしMMLU-Proの設計意図はCoT推論力の評価なので、公式比較にはCoTありスコアを使う。

この記事について
カテゴリーAI・機械学習
難易度上級
作成日2026/6/4