冷却
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サーマルペースト(サーマルペースト)

CPUやGPUとヒートシンクの間に塗布する熱伝導性のペースト状素材。金属表面の微細な凹凸を埋めて空気層を排除し、発熱体からヒートシンクへの熱伝達効率を最大化する。グリスとも呼ばれる。

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2026/4/25 更新

サーマルペーストとは

サーマルペースト(Thermal Paste)は、CPUやGPUなどの発熱素子とヒートシンク(クーラー)の接触面に塗布する熱伝導性のペースト状コンパウンドである。「CPUグリス」「熱伝導グリス」とも呼ばれる。金属表面は一見平滑に見えても、ミクロレベルでは数μm〜数十μmの凹凸(表面粗さ)があり、ヒートシンクを直接載せただけでは実効接触面積は全体の1-5%程度しかない。残りの95%以上は空気(熱伝導率0.026 W/m·K)で満たされ、これが熱抵抗の主因となる。

サーマルペーストはこの微細な凹凸を充填し、空気層を熱伝導率の高い素材(1-15 W/m·K)に置換することで、接触熱抵抗を劇的に低減する。

サーマルペーストの種類

シリコンベース

最も一般的で安価なタイプ。シリコンオイルに酸化亜鉛や酸化アルミニウムなどのフィラーを混合したもの。熱伝導率は1-5 W/m·K程度。塗りやすく、導電性がないためはみ出しても短絡の心配がない。初心者に最適だが、高発熱CPUでは性能が不足する場合がある。

セラミックベース

セラミック微粒子(酸化アルミニウム、窒化ホウ素など)をベースにしたタイプ。熱伝導率は3-8 W/m·K程度。非導電性で安全性が高く、中程度の冷却性能を提供する。Arctic MX-6やNoctua NT-H2がこのカテゴリの代表製品である。

金属ベース(銀・銅配合)

銀やアルミニウムの微粒子を高濃度で配合したタイプ。熱伝導率は8-15 W/m·K と最高クラスの性能を発揮する。Thermal Grizzly Kryonaut(12.5 W/m·K)が代表的。ただし一部製品は微弱な導電性を持つため、基板上にはみ出さないよう注意が必要。

液体金属

ガリウム合金(ガリウム・インジウム・スズの共晶合金)を使用した最高性能のTIM。熱伝導率は40-80 W/m·K と通常のペーストの5-10倍に達する。Thermal Grizzly Conductonaut(73 W/m·K)が最も有名。導電性が非常に高く、アルミニウム製ヒートシンクとは化学反応(アルミの腐食)を起こすため、銅製またはニッケルメッキのヒートベースにのみ使用可能。

主要製品の比較

製品名メーカータイプ熱伝導率 (W/m·K)容量参考価格
MX-6Arcticセラミック4.04g¥800
NT-H2Noctuaハイブリッド8.93.5g¥1,200
KryonautThermal Grizzly金属配合12.51g¥1,500
KPxKingpin Cooling金属配合10.03g¥1,800
ConductonautThermal Grizzly液体金属73.01g¥2,500
IC DiamondInnovation Coolingダイヤモンド4.51.5g¥1,300

正しい塗り方

サーマルペーストの塗布方法は長年議論の的だが、実測データに基づく推奨は以下の通りである。

中央一点盛り法(推奨)

CPUのIHS(Integrated Heat Spreader)中央に米粒〜小豆大のペーストを置き、ヒートシンクの圧力で自然に広げる方法。Gamers Nexusの実測では、ほとんどのCPUで最も均一な展延と最良の温度結果を示した。Intel 第12-14世代のような長方形IHSでは、中央に短い一本線を引く「ライン法」がやや有利な場合もある。

塗り広げ法

ヘラやカードでIHS全面に薄く均一に塗り広げる方法。気泡が入りやすく、均一性の確保が難しいため、初心者には推奨しない。液体金属の場合は唯一の推奨方法で、綿棒で薄く塗り広げる。

適量の目安

  • Intel LGA1700(37.5×45mm): 米粒大(直径3-4mm)
  • AMD AM5(40×40mm): 小豆大(直径4-5mm)
  • ノートPC用: 米粒の半分程度

過剰塗布はヒートシンクの固定圧で余分が押し出されるため問題ないが、不足はエアポケットの原因となる。迷ったら多めに塗る方が安全である。

塗り替え時期と劣化

サーマルペーストは経年劣化する。シリコンベースは2-3年で硬化・乾燥が始まり、熱伝導率が低下する。高品質なセラミック/金属ベース(Kryonaut、NT-H2)は5-8年の実用寿命がある。液体金属は理論上劣化しないが、銅表面との合金化(ステイン)が進行する。

塗り替えの目安として、CPU温度が新品時より5-10℃以上上昇した場合は劣化を疑うべきである。

FAQ

サーマルペーストを塗らないとどうなりますか?

CPU温度が20-30℃以上上昇し、高負荷時にサーマルスロットリングが発生して性能が大幅に低下する。最悪の場合、保護機能がないシステムではCPUの熱損傷につながる可能性がある。少量でも塗布されていれば効果があるため、省略は絶対に避けるべきである。

液体金属は通常のペーストより何度くらい冷えますか?

一般的なセラミックペースト比で3-8℃、高品質金属ペースト(Kryonaut)比で1-5℃程度の温度低下が見込める。ただし導電性・アルミ腐食・塗布難度のリスクを考慮すると、一般ユーザーにはKryonautクラスの金属ペーストで十分である。液体金属はオーバークロッカーや殻割り(デリッド)ユーザー向け。

古いペーストの除去方法は?

無水イソプロピルアルコール(IPA 99%以上)をコーヒーフィルターやマイクロファイバークロスに含ませ、IHS表面を拭き取る。液体金属のステイン(銅表面の変色)は完全には除去できないが、性能に影響しないため気にしなくてよい。ティッシュペーパーは繊維が残るため使用しない。

この記事について
カテゴリー冷却
難易度初級
作成日2025/7/16