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Thermal Paste (Kryonaut/PTM7950・2024)(サーマルペースト)

半導体ダイとヒートシンクの微細な隙間を埋め、熱伝導率を高める界面材料。CPUやGPUの冷却性能を左右する重要部品であり、素材の物理特性がシステムの安定稼働やオーバークロックの限界値を決定づける。

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2026/5/17 更新
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Thermal Paste (Kryonaut/PTM7950・2024)

概要

サーマルペースト(Thermal Interface Material: TIM)の役割は、金属表面同士の微視的な凹凸によって生じる「接触抵抗」を最小化することにある。半導体ダイからヒートシンクへ熱を逃がす際、空気層は極めて低い熱伝導率しか持たないため、これを排除するための充填材が必要となる。

近年の高密度化が進むCPU/GPUでは、単なる熱伝導率(W/m·K)の数値だけでなく、長期間の使用に耐えうる「物理的安定性」が重視されている。特に、温度変化に伴うヒートシンクの膨張・収縮によってペーストが押し出される「ポンプアウト現象」は、冷却性能低下の主要因である。2025年現在のハイエンド市場では、極限の伝導率を追求する液体金属派と、長期的な安定性を重視する相変化材料(PTM)派に二極化が進んでいる。

主要製品スペック一覧

製品タイプ代表的な特性・指標主な用途・傾向
超高伝導グリス12.5 W/m·K (Extreme系)オーバークロック、極限冷却性能重視
高コスパグリス8 W/m·K 前後一般的なゲーミングPC、日常利用のメンテナンス
相変化材料 (PTM)8.5 W/m·K / 固相液相変化ノートPC、GPU、サーバー(長寿命・低劣化)
液体金属 (Liquid Metal)73 W/m·K (Conductonaut等)極限の熱伝導が必要なカスタム水冷環境

用途別比較マトリックス

分類冷却性能耐久性・寿命施工難易度リスク管理
プレミアムグリス◎△ (ポンプアウト注意)低低 (腐食なし)
標準的グリス○○低低
PTM (相変化)○◎ (10年単位の安定性)中低 (厚み管理が必要)
液体金属★△ (経時的な流出)高極大 (アルミ腐食)

性能とコストのトレードオフ

ハイエンドなKryonaut Extreme等の製品は、極めて高い熱伝導率を誇るが、価格が高く、また粘度の管理が重要となる。一方でArctic MX-6のような標準的な製品は、コストパフォーマンスに優れ、日常的なメンテナンスにおいて最も信頼性の高い選択肢となる。

関連技術・用語との決定的な違い

Thermal Paste vs. Thermal Pad

サーマルパッドは一定の厚みを持つシート状の素材であり、主にVRAMやVRMなどの「隙間が広い箇所」に使用される。一方、ペーストはダイとヒートシンクの「極めて薄い隙間」を埋めるためのものであり、熱伝導率のポテンシャルはペーストの方が圧倒的に高い。

Thermal Paste vs. Liquid Metal

液体金属は、従来のペーストとは比較にならないほどの熱伝導率(70 W/m·K超)を持つが、致命的な欠点がある。それは「アルミニウムへの腐食性」である。銅製ヒートシンクには使用可能だが、アルミ製ラジエーターやヒートシンクに接触させると、合金構造を破壊する恐れがあるため、極めて慎重な運用が求められる。

PTM (Phase Change Material) の独自性

PTM7950などの次世代素材は、常温では固体だが、動作温度(動作中の熱)によって液体へと変化する。これにより、ペースト特有の「隙間への流出」を防ぎつつ、液状化することで微細な凹凸を完全に埋めることが可能となる。2024年以降、サーバー向けOEMから消費者市場への流入が加速している。

FAQ

Q1: 高級ペーストを使用した場合、温度はどの程度下がりますか? 標準的なグリスから高性能なプレミアムペーストへ変更した場合、CPU/GPUの温度差としては5〜10°C程度の改善が見込まれる。ただし、これは冷却機構(クーラー)自体の性能がボトルネックになっていない場合に限られる。

**Q2: 液体金属を使用する際の最大の注意点は何ですか? ** 最大の懸念は「電気伝導性」と「腐食」である。液体金属は電気が流れるため、基板に漏れ出した際にショートを引き起こすリスクがある。また、前述の通りアルミニウム素材との接触は厳禁である。

**Q3: PTM(相変化材料)は従来のグリスと何が違うのですか? ** 最大の違いは「経時劣化への耐性」である。従来のグリスは乾燥や流出によって数年で性能が低下するが、PTMは熱サイクルによる物理的な形状変化を伴うため、ポンプアウト現象の影響を受けにくく、長期間にわたって初期の冷却性能を維持しやすい特性を持つ。

この記事について
カテゴリー冷却
難易度上級
作成日2026/5/17