トラックボールマウス(トラックボールマウス)
マウス本体を動かす代わりに、筐体上部や側面に配置されたボールを指で回転させてカーソルを操作する入力デバイス。省スペースで腕の疲労を軽減できる点が特徴。
トラックボールマウスとは
トラックボールマウスとは、本体を動かしてカーソルを操作する通常のマウスとは異なり、筐体に固定されたボールを指で回転させることでカーソルを動かすポインティングデバイスである。マウス本体を移動させる必要がないため、デスクスペースが限られた環境や、長時間作業による腕・肩の疲労を軽減したいユーザーに支持されている。
トラックボールの歴史
トラックボールの歴史は実はマウスより古く、1952年にカナダ海軍のDATARプロジェクトでボウリングのボール(5ピンボウリング用)を使った原型が開発された。軍事用のレーダースクリーン上でオブジェクトを追跡するためのデバイスであった。
民生用としては1990年代にLogitech(当時のLogicool)やMicrosoft、Kensingtonが製品化し、特にCADオペレーターやグラフィックデザイナーに普及した。2010年代以降はエルゴノミクス意識の高まりから一般ユーザーにも再び注目されている。
トラックボールの種類
| タイプ | ボール位置 | 操作指 | 代表製品 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 親指操作型 | 側面(左側) | 親指 | Logicool ERGO M575S / MX ERGO S | 通常マウスに近い持ち方で移行しやすい |
| 人差し指操作型 | 上部中央 | 人差し指・中指 | Kensington Expert Mouse / SlimBlade Pro | 大型ボールで精密操作が得意 |
| 手のひら操作型 | 上部 | 手のひら全体 | Kensington Orbit | リラックスした姿勢で操作可能 |
| ハンドヘルド型 | 上部 | 親指 | Elecom RELACON M-RT1 | 手に持って使うプレゼン向き |
エルゴノミクス面のメリット
トラックボールマウスが注目される最大の理由はエルゴノミクス(人間工学)面のメリットである:
- 腕の移動が不要: マウス本体を動かさないため、肩・腕・手首の負担を大幅に軽減できる。長時間のデスクワークで腱鞘炎や手根管症候群のリスクを低減する
- 省スペース: マウスパッドが不要で、コースターほどのスペースがあれば操作できる。デスクが散らかっていても問題ない
- 姿勢の自由度: 椅子にもたれかかったまま、膝の上に置いても操作可能。ソファやベッドでの使用にも適している
- 手首の角度: MX ERGO Sのように20°の傾斜角を持つ製品は、手首を自然な角度に保ち前腕の回内を防ぐ
デメリットと対策
- 慣れが必要: 通常マウスから移行した場合、1-2週間の習熟期間が必要。特にドラッグ操作やFPSゲームでの精密操作は練習を要する
- ボールのメンテナンス: ボールの支持部分(支持球やベアリング)に汚れが蓄積すると動きが悪くなる。月1回程度の清掃が推奨される
- ボタン配置の制約: 従来型マウスと比べてボタン数やサイドボタンの配置自由度が低い製品が多い
- FPSゲームには不向き: 素早いフリックやエイム操作は通常のゲーミングマウスが有利。トラックボールでFPSを楽しむユーザーもいるが少数派
主要メーカーと製品
- Logicool(Logitech): ERGO M575S(親指型エントリー、約6,000円)、MX ERGO S(親指型ハイエンド、約18,000円・20°チルト対応)
- Kensington: Expert Mouse(大型ボール55mm、約15,000円)、SlimBlade Pro(薄型デザイン、Bluetooth/2.4GHz/有線3接続対応、約18,000円)
- Elecom: HUGE M-HT1DRBK(人差し指型・大型52mmボール、約6,000円)、DEFT PRO M-DPT1MRBK(人差し指型、約8,000円・高速スクロール対応)
- Ploopy: Classic Trackball(オープンソースハードウェア、3Dプリント可能、約15,000円・DIYカスタマイズ可能)
FAQ
Q1: トラックボールマウスは普通のマウスより疲れませんか?
A1: 一般的に腕・肩の疲労は軽減されます。トラックボールは指先だけで操作するため、前腕全体を動かす通常マウスと比べて上半身の筋疲労が少なくなります。ただし指先の疲労が増える場合があるため、自分の使用スタイルに合ったタイプ(親指型・人差し指型)を選ぶことが重要です。
Q2: トラックボールマウスでゲームはできますか?
A2: ジャンルによります。RTSやシミュレーション、MMORPGなど精密な素早い操作が必要ないゲームでは十分使用可能です。FPSやTPSでは素早いフリック操作が苦手なため、一般的には通常のゲーミングマウスが推奨されます。ただしDPI設定を高くして慣れれば、トラックボールでFPSを楽しむ熟練ユーザーも存在します。
Q3: 左利きでも使えるトラックボールはありますか?
A3: 人差し指操作型(Kensington Expert MouseやSlimBlade Pro)は左右対称デザインのため、左利きでもそのまま使用できます。親指操作型は左手用モデルが限られますが、Elecom DEFT PRO左手用モデルなどが販売されています。