Voyage-3(ボヤージュスリー)
Voyage AI社が2024年に公開した商用テキスト埋め込みモデル。1,024次元・最大16,000トークン入力対応で、MTEB英語ベンチマークでトップクラスの性能を持つAPI提供型 Embedding サービス。
Voyage-3とは
Voyage-3は、Voyage AI社が2024年9月に公開した商用テキスト埋め込みモデルである。APIサービスとして提供され、OpenAI text-embedding-3-large を上回る英語検索性能を持つ。Anthropic(Claude開発元)が公式に推奨するEmbeddingプロバイダであり、RAGパイプラインでClaudeと組み合わせる際の第一選択として位置づけられている。
主な特徴
- 高い検索精度: MTEB Retrieval(英語)で67.3 nDCG@10を記録。OpenAI text-embedding-3-large(64.6)を上回る
- 長文対応: 最大16,000トークンの入力に対応。論文・法務文書・技術ドキュメント等の長い文書もトランケーションなしで埋め込み可能
- 1,024次元出力: Matryoshka Representation Learning対応で、256/512/1024次元から選択可能。ストレージとのトレードオフ調整が容易
- バリエーション: voyage-3(汎用)、voyage-3-lite(軽量・低コスト)、voyage-code-3(コード特化)、voyage-finance-2(金融特化)、voyage-law-2(法務特化)
- Anthropic公式推奨: Claude APIドキュメントでEmbeddingプロバイダとしてVoyage AIを推奨
- 価格: $0.06 / 1M tokens(voyage-3)、$0.02 / 1M tokens(voyage-3-lite)
モデルバリエーション比較
| モデル | 用途 | 最大入力 | 次元 | 価格(/1M tokens) |
|---|---|---|---|---|
| voyage-3 | 汎用 | 16,000 | 1,024 | $0.06 |
| voyage-3-lite | 軽量汎用 | 16,000 | 512 | $0.02 |
| voyage-code-3 | コード検索 | 16,000 | 1,024 | $0.06 |
| voyage-finance-2 | 金融 | 16,000 | 1,024 | $0.12 |
| voyage-law-2 | 法務 | 16,000 | 1,024 | $0.12 |
利用方法
import voyageai
client = voyageai.Client(api_key="your-api-key")
documents = ["Voyage-3は高性能な埋め込みモデルです", "RAGでの検索精度が高い"]
result = client.embed(documents, model="voyage-3", input_type="document")
# result.embeddings → list of 1024-dim vectors
# クエリ側は input_type="query" を指定
query_result = client.embed(["埋め込みモデルとは"], model="voyage-3", input_type="query")
LangChain・LlamaIndex・Haystack等の主要RAGフレームワークでもインテグレーション済み。
他モデルとのベンチマーク比較
| ベンチマーク | Voyage-3 | OpenAI 3-large | BGE-M3 | Cohere v3 |
|---|---|---|---|---|
| MTEB Retrieval(英語) | 67.3 | 64.6 | 58.4 | 64.5 |
| BEIR 14タスク平均 | 54.2 | 52.1 | 51.8 | 52.0 |
| 多言語(MIRACL) | 62.1 | 58.3 | 71.8 | 56.2 |
| コード検索(CodeSearchNet) | 71.5* | 62.3 | — | — |
*voyage-code-3のスコア。英語検索ではトップクラスだが、多言語ではBGE-M3に劣る。
ユースケース
- RAGパイプライン: Claude + Voyage-3 の組み合わせでAnthropicエコシステム統一。APIキー2つで完結
- コード検索: voyage-code-3はGitHubリポジトリのコード検索・類似コード検出に特化
- 法務・金融ドメイン: 専門モデル(voyage-law-2/voyage-finance-2)で業界固有の用語・文脈を正確に捉える
- セマンティックキャッシュ: クエリの埋め込みを比較し、類似した過去クエリのLLM応答をキャッシュから返す
選び方・注意点
- APIサービスのみ: ローカル実行不可。データプライバシー要件が厳しい場合はBGE-M3やGTE-Qwen2のオンプレミスモデルを検討
- コスト: 大量ドキュメントのバッチ埋め込みでは累積コストに注意。100万ドキュメント(平均500トークン)で約$30
- レイテンシ: API呼び出しのためローカルモデル比で50-200ms程度のオーバーヘッド。リアルタイム検索では許容範囲
- 多言語: 英語以外の性能はBGE-M3に劣る。日本語中心のRAGではBGE-M3も検討
よくある質問(FAQ)
Q1: OpenAI Embeddingから乗り換えるべき? A: 英語検索精度はVoyage-3が上回る(MTEB +2.7ポイント)。Claudeを使っているならエコシステム統一のメリットもある。ただしOpenAIの方がドキュメント・コミュニティが豊富で移行コストは考慮すべき。
Q2: Matryoshka次元削減でどの程度性能が落ちる? A: 1024→512次元で約1-2%の検索精度低下、512→256次元でさらに2-3%低下。ストレージを50-75%削減できるため、大規模コレクションではトレードオフとして合理的。
Q3: voyage-code-3はどの言語に対応? A: Python・JavaScript・TypeScript・Go・Rust・Java・C++等の主要言語に対応。自然言語クエリ→コードの cross-modal 検索も高精度。GitHubコードサーチの代替として使える。
まとめ
- Voyage-3はMTEB英語検索ベンチマークでトップクラスのAPI提供型埋め込みモデル
- Anthropic公式推奨でClaude + Voyage-3のRAGパイプラインが容易に構築可能
- コード・法務・金融等のドメイン特化バリエーションが豊富
- ローカル実行不可・多言語性能はBGE-M3に劣る点が注意