Wi-Fi 3 (IEEE 802.11g, 2003)(ワイファイスリー)
IEEE が 2003 年 6 月策定の 802.11g (後年 Wi-Fi 3 と命名)。2.4GHz 帯・最大 54Mbps (Wi-Fi 2 の 5 倍)・OFDM (Orthogonal Frequency-Division Multiplexing) 採用で 802.11a (5GHz、54Mbps) と同等速度を 2.4GHz で実現、802.11b 後方互換性で大衆普及を加速。2003-2009 年の家庭用 Wi-Fi の主流規格、初代 Wii (2006)・初代 iPhone (2007) 等で標準搭載。
概要
Wi-Fi 3 (IEEE 802.11g) は、IEEE が 2003 年 6 月 12 日策定の 802.11g 規格 (後年 Wi-Fi Alliance により Wi-Fi 3 と命名、ただし「Wi-Fi 3」表記は 2018 年の世代番号化以降に遡及的に付与されたもので、当時は単に「802.11g」として認知されていた) で、2.4GHz 帯・最大 54Mbps (Wi-Fi 2 の 11Mbps から 5 倍に高速化、実効 20-25Mbps)・OFDM (Orthogonal Frequency-Division Multiplexing、直交周波数分割多重) 採用で 802.11a (1999 年 9 月、5GHz、54Mbps) と同等速度を 2.4GHz 帯で実現、802.11b (1999) の後方互換性で大衆普及を加速し、2003-2009 年の家庭用 Wi-Fi の主流規格として位置付けられた重要な仕様です。802.11b (1999、11Mbps、実効 5-6Mbps) では動画ストリーミング (DivX 等の MPEG-4 動画)・大容量データ転送 (デジタル一眼レフカメラの RAW 画像転送・PC バックアップ等) に速度不足が顕著となり、802.11g で OFDM 採用 + 5 倍高速化を実現、802.11b 後方互換性を確保することで既存 802.11b ルーター・デバイスとの共存が可能、買換え抵抗を最小化して普及加速、家庭用 Wi-Fi 黄金期 (2003-2009) の中核規格として、初代 Wii (2006 年 11 月、Wi-Fi 内蔵で Wii Sports のオンライン対戦・Wii ショッピングチャネル・ニンテンドー Wi-Fi コネクション)・初代 iPhone (2007 年 6 月、802.11b/g 内蔵、Wi-Fi 接続でモバイルブラウザ Safari 利用)・初代 iPad (2010 年 1 月、802.11n と併用)・MacBook (2006 年 5 月、Intel Core Duo 採用)・各種 PDA・初期のスマートフォン (Windows Mobile・Symbian) で標準搭載されました。
主な特徴・仕組み
- 策定: 2003 年 6 月 12 日 IEEE
- 後年命名: Wi-Fi 3 (2018 年 Wi-Fi Alliance、遡及的)
- 周波数: 2.4GHz (Wi-Fi 1/2 と同帯域)
- 最大速度: 54Mbps (実効 20-25Mbps)
- 物理層: OFDM (Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)
- 変調方式: BPSK/QPSK/16-QAM/64-QAM
- 後方互換: 802.11b (Wi-Fi 2) と互換、買換え抵抗低
- チャネル: 14 ch (日本)・11 ch (米国)・13 ch (欧州)
- 代表製品: Wii (2006)・iPhone 初代 (2007)・iPad 初代 (2010)
- 後継: 802.11n (2009、Wi-Fi 4、600Mbps)
スペック比較表 (Wi-Fi 1-5 比較)
| 世代 | 規格 | 年 | 速度 | 主な進化 |
|---|---|---|---|---|
| Wi-Fi 1 | 802.11 | 1997 | 2Mbps | 初代、商業普及せず |
| Wi-Fi 2 | 802.11b | 1999 | 11Mbps | DSSS、商業化起点 |
| Wi-Fi 3 | 802.11g | 2003 | 54Mbps | OFDM、後方互換 |
| Wi-Fi 4 | 802.11n | 2009 | 600Mbps | MIMO 採用 |
| Wi-Fi 5 | 802.11ac | 2013 | 6.93Gbps | MU-MIMO 5GHz 専用 |
具体例・対応技術 / 採用製品
- Wii (2006 年 11 月): 802.11b/g 内蔵、ニンテンドー Wi-Fi コネクション
- iPhone 初代 (2007 年 6 月): 802.11b/g 内蔵、スマホ Wi-Fi 普及の起点
- iPad 初代 (2010 年 1 月): 802.11n と併用、タブレット Wi-Fi の起点
- MacBook (2006 年 5 月): Intel Core Duo、802.11g 標準搭載
- Linksys WRT54G (2003): 802.11g 対応の伝説的ルーター
自作PCでの選び方・注意点
Wi-Fi 3 (802.11g、2003) は 2026 年現在、レガシー規格として位置付けられ、最新ルーター・ノートPC は Wi-Fi 6/6E/7 を搭載、802.11g は後方互換性目的で残存。自作 PC ユーザーが Wi-Fi 3 規格を意識するシーンは古い IoT デバイス (家庭用センサ等)・旧 iPhone/iPad の保守用途程度に限定。AI 時代の 2026 年現在、自作 PC ユーザーが新規 Wi-Fi ルーターを選ぶ場合、Wi-Fi 6 (¥10,000-30,000、現代主流)・Wi-Fi 6E (¥20,000-60,000、6GHz 帯追加で混雑回避)・Wi-Fi 7 (¥30,000-100,000、46Gbps の最新フラッグシップ) が選択肢、Wi-Fi 3 単独対応ルーターは現代ほぼ存在しない (Wi-Fi 6 ルーターは 802.11b/g/n/ac/ax 全後方互換)。Wii (2006)・iPhone 初代 (2007) の Wi-Fi 3 採用は当時としては最先端で、Nintendo Wi-Fi コネクション・iTunes Wi-Fi Store 等の Wi-Fi 利用サービスを支えた基盤技術として歴史的意義あり、家庭ゲーム機・スマートフォンの Wi-Fi 内蔵化を業界全体で推進した功績は大きい。Linksys WRT54G (2003)・WRT54GS (2004) は OpenWrt・DD-WRT 等のオープンソースファームウェアのベースとなり、2026 年現在もコレクター・ホビイストに人気のレトロルーター。
関連用語との違い
- Wi-Fi 2 (802.11b): 親、11Mbps・後方互換維持
- Wi-Fi 4 (802.11n): 後継、600Mbps・MIMO 採用
- 802.11a (1999): 同等速度だが 5GHz で普及せず
よくある質問(FAQ)
Q1: 802.11g と 802.11a の違い? A: 同等速度 (54Mbps) だが周波数差、802.11g (2.4GHz・後方互換) は普及・802.11a (5GHz・高価) は普及せず、価格・互換性で 802.11g が市場勝者。
Q2: 現代でも 802.11g は使える? A: 現代ルーターは全後方互換で接続可能、ただし速度 54Mbps (実効 20-25Mbps) は現代用途では遅すぎ、IoT・古い機器の保守用途のみ。
Q3: 802.11g の OFDM の重要性? A: 802.11a (1999) で初採用された OFDM を 2.4GHz 帯に適用、現代 Wi-Fi の全規格 (Wi-Fi 4/5/6/7) に OFDM が継承される基盤技術で、Wi-Fi 業界の技術系統樹で重要な節目。
まとめ
- Wi-Fi 3 (802.11g) = 2003 年 6 月策定、OFDM 採用で 54Mbps
- 2.4GHz・802.11b 後方互換で買換え抵抗を最小化
- Wii (2006)・iPhone 初代 (2007)・iPad 初代 (2010) で標準
- 2003-2009 年の家庭用 Wi-Fi 黄金期の中核規格