Zilog Z80(ザイログゼットエイティ)
米 Zilog 社が 1976 年に発表した 8-bit マイクロプロセッサ。Intel 8080 互換命令 + 独自拡張命令を採用、MSX / PC-8801 / Game Boy 等に採用され 1990 年代まで組込市場で大量出荷された 8-bit 名機。
概要
Zilog Z80(ザイログ ゼット エイティ)は、米 Zilog 社が 1976 年に発表した 8-bit マイクロプロセッサです。創業者の Federico Faggin は元 Intel のエンジニアで、Intel 4004(世界初のマイクロプロセッサ)と Intel 8080 の主要設計者でした。1974 年に独立して Zilog 社を設立、Intel 8080 の上位互換となる Z80 を開発し、新機軸となる「独自拡張命令」「IX/IY インデックスレジスタ」「DMA / リフレッシュ機構」を盛り込みました。
Z80 は登場と同時に主要 8-bit パーソナルコンピュータ市場を席巻し、ASCII 規格の MSX シリーズ・NEC PC-8001/PC-8801 シリーズ・Sharp X1・TRS-80 Model I-III/Color Computer・Tandy 1000・Amstrad CPC・Sinclair ZX Spectrum 等で採用されました。ゲーム機分野でも Sega マスターシステム / ゲームギア / 任天堂 Game Boy(同等チップ)に組み込まれ、1990 年代まで世界で最も大量出荷された 8-bit プロセッサのひとつとなった伝説的なチップです。
主な特徴・仕組み
- 命令セット: Intel 8080 バイナリ互換 + 独自拡張命令 80 種類追加。
- レジスタ: A/F/B/C/D/E/H/L 8-bit + IX/IY インデックスレジスタ + 裏レジスタセット。
- アドレス空間: 64KB(16-bit アドレスバス)。
- クロック: 2.5MHz / 4MHz / 6MHz / 8MHz / 10MHz / 20MHz(最終世代)。
- 製造プロセス: NMOS → CMOS、消費電力 1-2W。
- 割込: NMI(非マスカブル)+ INT(マスカブル)、IM 0/1/2 の 3 モード。
- DMA / メモリリフレッシュ機能内蔵。
- 採用ハード: MSX / PC-8801 / Game Boy / Sega Master System / TRS-80 / ZX Spectrum 等多数。
主要 8-bit プロセッサ比較
| プロセッサ | 発表年 | クロック | 命令数 | 採用機 |
|---|---|---|---|---|
| Zilog Z80 | 1976 | 2.5-20MHz | 252 | MSX / PC-8801 / GB |
| Intel 8080 | 1974 | 2MHz | 78 | Altair 8800 / IMSAI |
| MOS 6502 | 1975 | 1-3MHz | 56 | Apple I/II / NES / C64 |
| Motorola 6800 | 1974 | 1MHz | 72 | SWTPC / 各種組込 |
| Intel 8085 | 1976 | 3-5MHz | 80 | TK-85 / 工業組込 |
自作PCユーザー向けの選び方・注意点
Z80 自体は 1976 年のチップですが、現在も Z80 互換のレトロ PC キット(Sharp MZ-80K 復刻 / RC2014)・組込 ROM(eZ80 / Z180)・趣味の自作 8-bit コンピュータ製作で生き続けています。入手は秋葉原のパーツショップや eBay で約 ¥500-1,500 程度です。
レトロ PC マニア・低レベルプログラミング学習者・組込開発者には今も学ぶ価値のあるアーキテクチャで、CP/M 環境での古典 BASIC / アセンブラプログラミングは 1980 年代の本格 IT 史を体験できる貴重な教材です。
関連用語との違い
- Intel 8080: Z80 のベースとなった先行 CPU。Z80 は命令拡張・レジスタ追加・周辺機能内蔵で実用性向上。
- Intel 8085: 8080 の改良版。Zilog ではなく Intel 純正、Z80 ほど普及せず。
- MOS 6502: 競合 8-bit、Apple / Commodore / NES 採用で別系統。
よくある質問(FAQ)
Q1: Z80 はまだ製造されていますか? A: 2024 年に Zilog がオリジナル Z80 製造を終了したと発表しました。互換チップ(eZ80 / Z180)や FPGA 実装は継続しています。
Q2: なぜ Z80 はゲームボーイに採用されたのですか? A: 任天堂 Game Boy は Z80 そのものではなく、Sharp 製の Z80 互換派生チップ(Sharp LR35902)を搭載しています。低消費電力・小型・低コストが採用理由です。
Q3: Z80 アセンブラを学ぶ意味はありますか? A: 現代 CPU のパイプライン / キャッシュ / OOO といった複雑な機構が登場する前の純粋なアーキテクチャ理解に最適で、コンピュータの低レベル動作を学ぶ教材として今も価値があります。
まとめ
- Zilog 1976 年発表の 8-bit プロセッサ
- Intel 8080 互換 + 独自拡張命令で実用性向上
- MSX / PC-8801 / Game Boy / Sega 等多数採用
- 1976-2024 年と長期生産された 8-bit の伝説