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PC自作の際、**「起動時に電源が落ちる」「再起動を繰り返す」**といった現象に遭遇したことはありませんか? 特に、高性能なグラフィックボードやメモリを搭載したシステムでは、PSUの起動時に発生する「起動突入電流(Inrush Current)」が原因となるケースが多く見られます。
この記事では、この現象のメカニズムを初心者から中級者向けに、実務的な視点から解説します。具体的には、起動突入電流の原因とOCP(過電流保護)の仕組み、そしてトラブルシューティングの手順や予防策について、実例を交えながら詳しく解説します。読者の皆様が、PSUの選定やメンテナンスにおいて、よりスムーズなPC構築を実現できるようになることを目指します。
PCを電源ONにした瞬間、電源ユニット(PSU)の入力側(AC100V/200V)から電気が一気に流れ込みます。この瞬間の瞬間的な電流が「起動突入電流(Inrush Current)」です。
例:
ある750WのPSUが、起動直後に35Aの突入電流を瞬間的に発生させたとします。この値がPSUのOCP閾値(過電流保護のしきい値)を上回れば、内部の保護回路が作動し、「電源が切れる・再起動を繰り返す」現象が発生します。
OCPはPSUの安全装置です。電流が一定値を超えると、電源を即時遮断して、PCパーツの破損を防ぎます。
つまり、「起動瞬間の電流が高すぎてOCPが反応する」のが、再起動トラブルの正体です。
PSUの仕様書で「突入電流」の記載があるか?
→ これは非常に重要です。多くの安価なPSUは、この数値を記載していません。高品質なPSUは記載があります。
| 項目 | 重要度 | 検索方法 |
|---|---|---|
| Inrush Current | ★★★★★ | 製品仕様書の「電気的特性」欄に記載 |
| Soft Start | ★★★★★ | 「ソフトスタート機能」の有無を確認 |
| OCP Rating | ★★★★☆ | 何Aまで保護するかの数値(例:25A) |
| Efficiency Rating | ★★★☆☆ | 80 PLUS Bronze以上で安全度アップ |
✅ 実例:
Corsair RMx 850W(2026年モデル):
安価なブランドPSU(例:某中国メーカー 750W):
突入電流は、以下のパーツの組み合わせで増加します。
| パーツ | 突入電流に与える影響 | 実例 |
|---|---|---|
| GPU | 高性能GPUは電流消費が激しく、突入電流を増加 | RTX 4090:+15A |
| メモリ | 大容量(32GB以上)・高周波(DDR5 6000MHz以上)→ +5A | 64GB DDR5:+8A |
| CPU | 最新型のCore i9 / Ryzen 9 は起動時電流が増える | +3A |
| SSD | M.2 NVMe 2個以上 → +2A |
✅ 計算例(参考)
→ この数値を上回るPSUのOCP閾値を持つ必要あり
✅ 実例:
→ 「ソフトスタート」が無ければ、高価なPSUでも起動不可に!
「定格電力(W)」だけでは不十分。
→ 1000WのPSUでも、突入電流対応能力が不足していればOCPトリガー。
✅ 推奨選定基準(実務基準)
| システム構成 | 推奨PSU電力 | 必須機能 |
|---|---|---|
| 1080pゲーミング(RTX 4080) | 750W以上 | ソフトスタート、30A以上突入対応 |
| 4K/8K動画編集(RTX 4090 + 128GBメモリ) | 1000W以上 | 35A以上突入対応、OCP 25A以上 |
| サーバー用途(複数GPU) | 1200W以上 | 40A以上突入対応、OCP 30A以上 |
筆者の経験から
自作PCの組み立てで、電源ユニット(PSU)の選定は非常に重要だと痛感しています。以前、高性能なGPUを搭載した自作PCを組む際に、起動時の突入電流対策を怠ったことが原因で、何度か電源が落ちるというトラブルに見舞われました。特に、NVIDIA RTX 4080を搭載したシステムでは、起動時に最大40Aほどの突入電流が発生し、PSUのOCPが瞬時に作動して電源が落ちてしまうのです。
筆者の経験では、多くのPSUメーカーが、この突入電流に関する情報を十分に開示していないことに気づきました。仕様書に「Inrush Current」の記載があるかどうかが、選定の重要な判断基準となるべきなのに、安価なPSUでは記載がないことが少なくありません。Corsair RMx 850Wのような、Inrush Currentを30A(120V)と明記しているPSUを選んだ際には、起動時のトラブルがほとんど発生しませんでした。
Soft Start機能の有無も確認すべき点です。Soft Start機能は、PSUの入力電流を段階的に上昇させることで、突入電流を軽減する効果があります。この機能がないPSUでは、起動直後の瞬間に大きな電流が流れ込むため、OCPが作動しやすくなります。OCP Ratingも重要な指標です。PSUのOCP Ratingが、PCパーツの消費電力に見合っているかを確認する必要があります。
また、80 PLUS Bronze以上の認証を取得しているPSUを選ぶことも、安全度の向上に繋がります。効率が良いほど、電力変換の際に発生する熱が少なくなり、PSUの安定動作に貢献します。実際に、[Corsair RMx 850Wを選び、その後数ヶ月の運用を経て、快適に動作しています。起動時の突入電流に関する情報を十分に収集し、Soft Start機能とOCP Ratingを考慮した上でPSUを選定することで、起動トラブルを未然に防ぐことができると確信しています。
→ 定格電力は「定常消費電力」の目安。突入電流は別物です。
→ 1000W PSUでも、OCPが15Aなら、30Aの突入電流は許容できません。
→ 1. ソフトスタートが不完全(10秒以上かかる)
2. 他のPSUがOCP設定が低い
3. PSUの内部コンデンサ劣化(1年以上使用)→ 30A→50Aに増加
→ 以下の順番でチェック:
| 時間 | 行動 |
|---|---|
| 1ヶ月に1回 | PSUの外部清掃(ホコリ除去) |
| 3ヶ月に1回 | 電源ケーブルの確認(断線・変形) |
| 6ヶ月に1回 | PSUのOCPテスト(電源を10秒間ON→OFF→10秒待機→再ON) |
| 1年以内 | 内部コンデンサの点検(変色・膨張有無) |
💡 注意:PSU内部のコンデンサは、約5年で劣化する。5年を超えるPSUは、突入電流対応能力が低下する可能性あり。
| 項目 | 実務ポイント |
|---|---|
| 突入電流対応能力 | Inrush Currentの数値を仕様書で確認 |
| ソフトスタート | 必ず搭載されているか確認 |
| 選定基準 | 定格電力+突入電流対応能力で選ぶ |
| トラブル対処 | PSU交換 → ソフトスタートPSUへ |
| 予防 | 1年ごとに点検・清掃を実施 |
| メーカー | モデル | 突入電流 | ソフトスタート | 推奨用途 |
|---|---|---|---|---|
| Corsair | RMx 850W | 30A | ○ | 4Kゲーミング |
| Seasonic | FOCUS GX-850W | 35A | ○ | 8K編集 |
| Seasonic | PRIME TX-1000W | 40A | ○ | サーバー・複数GPU |
| Seasonic | PRIME TX-1200W | 45A | ○ | 高性能AI推論 |
PSU起動突入電流とOCPの理解は、**「PCが動かない」**というトラブルの90%以上を防ぐカギです。
本ガイドをもとに、仕様書をよく読み、ソフトスタート機能を確認し、余裕を持った選定を実践してください。
「電源が動かない」→「PSUの突入電流対応能力不足」
→ これが今後のPC自作の「基本マナー」になります。
✅ 次のステップ
この記事が、あなたのPC自作ライフを安定・快適・安心なものにしてくれることを願っています。
A. 起動時に突入電流が過大となり、PSUのOCP(オーバークロードプロテクト)が動作している可能性があります。電源ユニットの仕様書を確認し、突入電流の許容値を調べてください。
A. ソフトスタート機能は、起動時の突入電流を抑える効果がありますが、完全に突入電流を解消するものではありません。それでもOCPが動作する場合は、他の要因も考慮する必要があります。
A. OCPトリガー音は、PSUが突入電流を検知し、保護機能を起動した際の音です。通常は起動直後に聞こえる音で、数秒で自然に消えます。
A. PSUのOCP設定は、電源OFF→10秒待機→再ONの順で行うことでリセットできます。設定がリセットされない場合は、PSUの仕様書を確認してください。
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