Chord Qutest(コードキューテスト)
Chord Electronics(英)製スタンドアローンDAC。独自FPGAベースRob Watts設計・Pulse Array技術でDSD512・PCM768kHz対応。フィルタ選択可能な高解像度DAC。
Chord Qutestとは
Chord Electronics(コード エレクトロニクス)は英国ギルフォードのハイエンドオーディオブランド。QutestはHugo 2の技術をスタンドアローンDAC専用筐体に落とし込んだ製品で、2017年発売ながら2025年現在も現行製品として販売されている。
FPGAベース設計の独自性
多くのDACがAKM・ESS・Burr-Brownなど専用DACチップを使うのに対し、ChordはXilinx製FPGA(Field-Programmable Gate Array)に独自のDACアルゴリズムを実装する。設計者Rob Wattsが開発した「Pulse Array」技術は、デジタル信号を多段パルスに変換しアナログ回路の複雑さを最小化する革新的なアプローチ。
WTAフィルタ(ウォーターフォールアルゴリズム)
ChordのDAC設計の最大の特徴はフィルタタップ数の多さ。
| 製品 | WTAフィルタタップ数 |
|---|---|
| Chord Qutest | 1,024,000タップ |
| Chord Hugo 2 | 49,152タップ |
| Chord DAVE(フラッグシップ) | 164,000タップ |
100万タップのフィルタは理論上、時間軸方向の精度が極めて高く「プレリンギング」がほぼゼロになる。これが「Qutestの音場の広さ」の物理的根拠とされる。
フィルタ設定(4種類)
Qutestは4つのフィルタをLEDの色で切り替えられる。
| LEDカラー | フィルタタイプ | 特徴 |
|---|---|---|
| 緑 | 標準 | フラット・均一特性 |
| 赤 | ウォーム | 高域ロールオフ |
| 白 | インシジブ | 鋭いトランジェント |
| 黄 | ウォームインシジブ | 混合特性 |
主要スペック
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| DAC方式 | FPGA Pulse Array |
| PCM | 最大768kHz/32bit |
| DSD | DSD512 |
| 入力 | USB・光・同軸・BNC |
| 出力 | RCA・BNC |
| ヘッドフォン出力 | なし(純粋DAC) |
ヘッドフォン出力がないため、必ず外部アンプとの組み合わせが必要。
測定vs聴感の議論
Chord Qutestは測定値(THD、SNR等)でGustard A26やTopping D90 IIIに劣ることがある。しかし聴感評価では多くのレビュアーがQutestの音場・奥行き・自然さを高く評価する。「測定値と聴感の乖離」を象徴する製品のひとつで、DACの評価軸についての議論を常に呼び起こす存在。
Chord エコシステム
Qutest単体で使う場合は外部ヘッドフォンアンプ(SPL Phonitor xe等)やプリアンプが必要。ChordのスタックシステムはQutest + Anni(アンプ)が推奨構成で、Chord同士ではBNCで接続する。