E Ink社が2013年に発表した高コントラスト電子ペーパーパネルブランド。コントラスト比15:1、解像度300ppiを実現し、Kindle Paperwhite・Kobo・BOOXなどほぼ全ての現行E-Inkデバイスに採用されている白黒E-Inkパネルの事実上の標準規格。
E Ink Carta は、E Ink Corporation が開発した白黒電子ペーパーパネルのフラッグシップブランドである。2013年の初代 Carta から2023年の Carta 1300 まで継続的に改良が進められ、現行の主要E-Inkデバイスのほぼ全てに採用されている業界標準パネルである。
| バージョン | 発表年 | コントラスト比 | 反射率 | ゴースト低減 | 書換速度 | 主な採用デバイス |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Carta (初代) | 2013 | 15:1 | 44% | 標準 | 標準 | Kindle Paperwhite 2013 |
| Carta HD | 2015 | 15:1 | 44% | 改善 | 標準 | Kindle Voyage |
| Carta 1000 | 2019 | 15:1 | 45% | 大幅改善 | 向上 | Kobo Libra H2O |
| Carta 1100 | 2020 | 15:1 | 46% | 大幅改善 | 向上 | BOOX Poke3 |
| Carta 1200 | 2021 | 15:1 | 46% | 最小化 | 20%高速化 | Kindle Paperwhite 2021, reMarkable 2 |
| Carta 1300 | 2023 | 15:1 | 47% | 最小化 | さらに高速化 | Kindle Paperwhite 2024 |
Carta以前のE-Inkパネルとの比較で、その技術的進歩が明確になる。
| 特性 | Vizplex (2007) | Pearl (2010) | Carta (2013) | Carta 1200 (2021) |
|---|---|---|---|---|
| コントラスト比 | 7:1 | 10:1 | 15:1 | 15:1 |
| 反射率 | 35% | 40% | 44% | 46% |
| 解像度 | 167ppi | 167ppi | 300ppi | 300ppi |
| 白地の白さ | 灰色がかる | やや灰色 | 紙に近い白 | 紙とほぼ同等 |
| 応答速度 | 遅い | 標準 |
Carta世代でコントラスト比がPearlの1.5倍に向上し、初めて「紙に近い」白地の表示が実現した。
Carta 1200は2021年に登場し、以下の3点で大きな進化を遂げた。
従来のE-Inkパネルでは、ページ遷移後に前の画像の残像(ゴースト)が発生していた。Carta 1200はRegal Waveform技術により、全面リフレッシュなしでもゴーストを最小化した。これにより、ページめくり時の画面全体の白黒反転フラッシュが大幅に削減された。
マイクロカプセル内の粒子移動効率を改善し、GC16モードの書換時間を約450msから約360msに短縮した。ペン入力のレイテンシも改善され、手書きノート用途での快適性が向上した。
新しいマイクロカプセル材料と前面処理により反射率が46%に到達。自然光下での視認性がさらに向上し、特に屋外読書での快適性が改善された。
Carta 1200以降のパネルは**ワコムEMR(Electro-Magnetic Resonance)**センサーとの統合が標準化されている。
| 仕様 | Carta 1200搭載デバイス |
|---|---|
| 筆圧段階 | 4,096段階 |
| 傾き検知 | 対応(BOOX/Supernote) |
| パームリジェクション | 対応 |
| レイテンシ | 21-30ms(デバイス依存) |
Cartaは白黒パネルのブランドであり、カラー表示にはKaleido/Galleryシリーズが別途存在する。
| パネル | 表示 | 白黒解像度 | カラー解像度 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| Carta 1300 | 白黒16階調 | 300ppi | - | 読書・ノート |
| Kaleido 3 | 白黒+カラー | 300ppi | 150ppi | マンガ・カラーPDF |
| Gallery 3 (ACeP) | フルカラー | 300ppi | 300ppi | 高品質カラー表示 |
Kaleido系はCartaパネルの上にカラーフィルタを重ねた構造のため、白黒表示時の品質はCartaと同等だが、カラー表示時は解像度が半減する。
応答速度と反射率のわずかな改善があるが、日常的な読書体験での差は小さい。Carta 1200搭載デバイスからCarta 1300への買い替えを正当化するほどの差はなく、他の要素(ストレージ容量、防水性能、OS機能)で選ぶべき。
E Ink社の公称で書換回数100万回以上。1日50回のページめくりで55年以上に相当し、デバイス本体が先に寿命を迎える。パネル自体の経年劣化(コントラスト低下)は10年以上の長期でも軽微とされている。
技術的には600ppi以上も可能だが、反射型ディスプレイでは300ppiで人間の目がピクセルを識別できなくなるため、それ以上の高解像度化はコスト対効果が低い。印刷物の一般的な解像度が300dpiであることと同じ原理。
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