Intel Pentium II(インテルペンティアムツー)
Intel 1997年5月発売のSlot 1パッケージプロセッサ。MMX対応+L2キャッシュ512KB搭載・Klamath/Deschutes/Katmai世代。
概要
Intel Pentium II(開発コードネームKlamath初代/Deschutes第2世代/Katmai派生)は、Intel社が1997年5月7日に発売した第7世代x86プロセッサで、Pentium Pro P6マイクロアーキテクチャを継承しつつMMX命令セット追加+Slot 1パッケージ(242ピンSingle Edge Contact Cartridge、SECC)採用+L2キャッシュ512KB(CPU半速で外部)搭載+0.35μm/0.25μm/0.18μmプロセス進化+233-450MHz動作という1990年代後半PC市場の決定版CPU。Socket 7(Pentium)+Socket 8(Pentium Pro)両者から大幅な構造変化を経た独特の縦長カートリッジ式SECCで、PCマザーボード設計に大きな影響を与えた。MMX命令(Multi-Media Extensions、57命令)はPentium MMX(1997年1月)から継承+L2キャッシュをCPUと同じカートリッジ内に統合(CPUクロック半速で動作)で「Pentium Proの一般デスクトップ向け改良版」として位置づけられた。代表機種はCompaq Deskpro EN(1997年)・Dell Dimension XPS(1997年)・IBM ThinkPad 770(1998年)・NEC PC-9821 Xv200(1997年、日本)・Apple Power Macintosh 8600/300(1998年、Pentium IIではないがPowerPC同期)等。Microsoft Windows 98(1998年6月)・Office 97/2000・3D ゲーミング初期普及(Quake II(1997年)・StarCraft(1998年)・Half-Life(1998年)等)の標準実行プラットフォームとして、PC AT互換機が「マルチメディアPC」へ進化した時代の中核技術。Pentium II Xeon(1998年6月、サーバ向けL2 512KB-2MB版)+Celeron(1998年4月、L2廃止/128KB廉価版)の派生も同時期登場、Pentium III(1999年2月)後継登場まで2年余り市場をリードした。
主な特徴・仕組み
- 種類: 第7世代x86 CISC プロセッサ(P6マイクロアーキテクチャ改良版)
- 発売: 1997年5月7日(Klamath 233/266/300MHz)
- プロセス: 0.35μm(Klamath)→ 0.25μm(Deschutes)→ 0.18μm(Katmai派生)
- トランジスタ数: 7.5M(CPUコア)+ 外部L2キャッシュ
- パッケージ: Slot 1 / SECC / SECC2(242ピン)
- L1キャッシュ: 16K命令+16Kデータ(Pentium Proから倍増)
- L2キャッシュ: 512KB(CPUクロック半速、外部SRAM)
- 命令セット: x86 + MMX 57命令(SSE未搭載)
- 動作周波数: 233-450MHz
- バス: 66/100MHz FSB(フロントサイドバス)
- 設計コア: Pentium Pro P6 + MMX
- 価格: $636(233MHz)→$1,981(450MHz)
- 累計販売: 数千万個(1997-2000)
スペック比較表
| 項目 | Pentium II Klamath | Deschutes | Pentium Pro | Pentium III |
|---|---|---|---|---|
| 発売 | 1997/05 | 1998/01 | 1995/11 | 1999/02 |
| プロセス | 0.35μm | 0.25μm | 0.5/0.35μm | 0.25/0.18μm |
| クロック | 233-300MHz | 266-450MHz | 150-200MHz | 450-1,000MHz |
| MMX | あり | あり | なし | あり |
| SSE | なし | なし | なし | あり |
| L2 | 512KB半速 | 512KB半速 | 256K-1M同速 | 256-512K |
具体例・対応製品
- Pentium II 233/266/300MHz Klamath(1997年5月-): 0.35μm、$636-1,981
- Pentium II 333/350/400/450MHz Deschutes(1998年1月-): 0.25μm
- Pentium II Xeon 400/450MHz(1998年6月-): サーバ向けL2 512K-2MB
- Celeron 266/300MHz(1998年4月-): 廉価Pentium II派生L2廃止/128KB
- Mobile Pentium II(1998年4月-): ノートPC向け
- 代表機種 Compaq Deskpro EN(1997年)
- 代表機種 Dell Dimension XPS(1997年)
- 代表機種 IBM ThinkPad 770(1998年)
自作PCでの選び方・注意点
Pentium II・Slot 1マザーボードは現代の自作PC市場では完全レトロ、動作品中古$30-150・希少品$200-500のコレクション。FPGA再現はMiSTer FPGA AO486 Core(i486レベル、Pentium IIは未対応)、86Box等の完全PCエミュレータでPentium II環境再現可。Slot 1 SECCの巨大カートリッジ+ZIF Slotは当時の自作PC市場のアイコン的存在で、現在もコレクション価値あり。Pentium II時代のWindows 98/3D ゲーミングを実機環境で再現したい場合、Slot 1マザボ+メモリ128MB SDR SDRAM+IDE HDD+AGP 1.0/2.0グラボ(Voodoo Banshee等)の組合わせで往時の体験可能。1990年代後半PC文化の中心機種として、コンピュータ博物館展示・デジタル考古学的価値は大きい。
関連用語との違い
Pentium Pro(既存登録、1995年11月)はP6マイクロアーキテクチャ初代でサーバ・ワークステーション向け、Pentium IIは同P6改良+MMX+デスクトップ最適化+Slot 1で一般市場制覇。Pentium III(1999年2月)は本機の直接後継でSSE命令+クロック高速化+Coppermine 0.18μmプロセス。AMD K6-2(1998年5月)は同時代Intel代替で3DNow!命令搭載+Socket 7継続のためPentium IIユーザー流用不可。Celeron(1998年4月)はPentium II派生廉価版で、Mendocinoコア(1998年9月、L2 128KBオンダイ)が大ヒットした名機。
よくある質問(FAQ)
Q1: Slot 1とSocket 7の違いは? A: Slot 1は242ピンSECCカートリッジ式(縦に挿す)、Socket 7は321ピンZIF(横平面)。Slot 1はL2キャッシュをCPUと同じカートリッジ内に統合可、Socket 7はマザーボード上にL2キャッシュチップを別配置。Slot 1は1997-2000年Intel独占、その後Socket 370・FC-PGAへ転換しました。
Q2: なぜL2キャッシュ半速? A: 当時0.35μm/0.25μmプロセスではL2キャッシュSRAMをCPUダイに大容量集積する歩留まり・コストが厳しく、別ダイで製造してSlot 1カートリッジ内に同居させた折衷案。CPUクロック半速駆動でオンダイより低速だが、外付けマザーボード搭載より高速な妥協点でした。
Q3: 現代でPentium II環境を再現する方法は? A: ①実機+Slot 1マザボ中古(ヤフオク・eBay $50-300)、②86Box完全PCエミュ(Windows・Linux無料)、③MiSTer FPGAは2026年現在Pentium II未対応(i486までは可)。Quake II・StarCraft・Half-Life等当時のゲームを実機環境で楽しめます。
まとめ
- 1997年5月7日発売・第7世代x86 P6改良版
- Slot 1パッケージ+MMX命令+L2 512KB半速
- 0.35μm Klamath→0.25μm Deschutes 233-450MHz
- 1990年代後半PC AT互換機マルチメディア時代主役
- Pentium III/Celeron/Xeon等多数派生・PC文化中核