Intel 1995年11月発売の第6世代x86プロセッサ。P6マイクロアーキテクチャ初代・Out-of-Order実行・サーバ向け先駆。
Intel Pentium Pro(P6、開発コードネームP6)は、Intel社が1995年11月1日に発売した第6世代x86プロセッサで、x86アーキテクチャの最大級の革新となるP6マイクロアーキテクチャ初代CPU。Out-of-Order実行(OoOE、命令を依存関係に応じて並べ替え実行)、レジスタリネーミング(仮想レジスタで偽依存解消)、14段スーパーパイプライン、3命令同時発行スーパースカラー、高度な分岐予測等のRISC技術をCISC x86命令セットに取り込んだ「RISC of CISC」設計の初例として、PCプロセッサ史の重要な技術転換点。150-200MHz動作(後の世代でも200MHz)、L2キャッシュ256KB/512KB/1MBをプロセッサと同じパッケージ内にDual Cavity Package(2チップMCM)として搭載した異例の構造で、L2キャッシュアクセスがCPUクロック同期で動作する革新的設計だった。Socket 8(387ピン)専用パッケージ採用。32bit x86アプリケーションでは当時最速だが、16bitセグメント切替(DOS・Windows 3.1)処理に弱く一般デスクトップ向けでは批判を浴び、Windows NT・UNIX・サーバ・ワークステーション向けとして位置づけが固まった。代表機種はCompaq ProLiant 4500(1995年)・HP NetServer LH(1996年)・Dell PowerEdge 4100(1996年)・ASCI Red(1997年6月、世界初テラフロップ達成スーパーコンピュータ、9,298 Pentium Pro搭載)等。ASCI Redは1997年に世界初の1Tflops超を達成、Pentium Proが世界記録機の中核技術となった金字塔事例。後継Pentium II(1997年5月、Slot 1)でMMX命令追加+デスクトップ最適化が進み、P6マイクロアーキテクチャの直系は後継Pentium III/Pentium M/Core/Core 2/Nehalem/Sandy Bridge等を経て現代のIntel Coreシリーズの祖先となった、Intel最重要設計の1つ。
| 項目 | Pentium Pro | Pentium | Pentium II | Pentium III |
|---|---|---|---|---|
| 発売 | 1995/11 | 1993/03 | 1997/05 | 1999/02 |
| アーキテクチャ | P6 | P5 |
| P6改 |
| P6改 |
| OoOE | あり | なし | あり | あり |
| L2 | パッケージ内 | 外付け | 1/2速度 | 1/2-同期 |
| 同時発行 | 3命令 | 2命令 | 3命令 | 3命令 |
| MMX | なし | なし(後MMX版) | あり | あり |
Pentium Pro CPU・Socket 8マザーボードは現代の自作PC市場には存在しない、レトロPC収集対象として動作品$50-300、未使用箱付き$500-1,500の希少品。FPGA再現は2026年現在進行中(MiSTer FPGAでP6コア未完成)。ASCI Redエミュレーション等の科学技術史研究目的で実機保管プロジェクトが米国Sandia/Lawrence Livermore研究所等で継続中。一般用途・実用目的でPentium Proを選ぶ理由は現代の文脈では皆無だが、P6マイクロアーキテクチャの起点として技術史的価値は最高峰。CPUアーキテクチャ研究・コンパイラ最適化研究の歴史的参照点として今日まで言及される。
Intel Pentium(既存登録、1993年3月、P5アーキテクチャ)はPentium Proの前世代でOoOEなし・スーパースカラー2命令の従来CISC的設計。Pentium ProはP6でRISC技術導入、後継Pentium II(1997年5月)はP6改良+MMX命令+Slot 1パッケージで一般デスクトップ最適化、Pentium III(1999年2月)はSSE命令追加。P6マイクロアーキテクチャはPentium M(2003年)→Core(2006年)→Core 2(2006年)→Nehalem(2008年)→Sandy Bridge(2011年)→...→Raptor Lake(2022年)まで30年継続する基盤設計の起点となった。
Q1: なぜ16bit処理に弱かった?
A: P6マイクロアーキテクチャはOut-of-Order実行のため、16bitレジスタ部分書込(AX = AL + AH)等でレジスタ依存ストールが発生、Pentium並みの速度が出ない場合あり。32bit Windows NT/UNIX環境では問題ないがDOS/Win 3.1では旧Pentiumに劣るケースが目立ちました。
Q2: なぜL2キャッシュをパッケージ内に? A: 当時の0.5μm/0.35μmプロセスではCPUダイにL2キャッシュ256KB+を集積する歩留まり・コストが厳しく、別ダイで製造してDual Cavity Packageに同居させる手法を採用。CPUクロック同期で動作するためパフォーマンスはオンダイに近く、製造コストはオンダイより低い妥協解でした。
Q3: ASCI Redとは? A: 1997年6月にSandia国立研究所が稼働開始した米国スーパーコンピュータで、Pentium Pro 200MHz×9,298個+専用ノード+Myrinetインターコネクトで構成、世界初の1テラフロップス(Tflops)超えを達成。Pentium Proが世界HPC史の重要な節目を作った金字塔事例です。