Linux 1.0 (1994年)(リナックスイチゼロ)
Linux 1.0は1994年3月14日Linus Torvalds公式リリースのLinuxカーネル初の安定版でTCP/IP 標準・X Window System 対応・SMP 限定対応 (1.2) ・複数アーキ移植 (Alpha/SPARC/MIPS) 採用しLinux 商用利用が本格化した記念碑的バージョン。
Linux 1.0 (1994年)
概要
Linux 1.0は1994年3月14日Linus Torvalds公式リリースのLinuxカーネル初の安定版でTCP/IP 標準実装・X Window System (XFree86) 対応・モノリシックカーネル・SMP 限定対応 (1.2 1995年) ・複数アーキ移植 (Alpha/SPARC/MIPS 1994-1995年) 採用・ヘルシンキ大学講堂でリリースイベント開催 (フィンランド国営TV YLE 中継) と歴史的瞬間を演出。1.0 リリース時点でカーネル サイズ 176,250 行 (現代の6.x 比3万行・現代3,600万行と比較し1/200) ・1.2 (1995年3月) で SMP 初期対応・1.3 開発版 (1995年6月-1996年5月) で2.0 への布石が打たれた。Slackware/Debian/Red Hat 等のディストリビューションが普及加速した。
主な特徴・仕組み
- リリース日: 1994年3月14日
- リリース場所: フィンランド・ヘルシンキ大学講堂 (Linus Torvalds 学生だった大学)
- TV 中継: フィンランド国営テレビ YLE がリリースイベント中継
- ソースコード行数: 176,250 行 (現代6.x の1/200)
- 対応 CPU: x86 (i386/i486) 主体・Alpha/SPARC/MIPS 移植中
- モノリシック カーネル: 全機能がカーネル空間 (マイクロカーネルでない)
- TCP/IP: BSD 4.4 ベース・完全実装
- X Window System: XFree86 経由 GUI
- SMP (Symmetric Multi-Processing): 1.2 (1995年3月) で初期対応・2 CPU 限定
- ファイルシステム: ext2 (1993年実装・1.0 で標準) ・MS-DOS FAT・iso9660 (CD-ROM)
- メモリ管理: 仮想メモリ・スワップ・最大4GB (32bit 限界)
- マルチユーザー: フル対応・login/su/sudo (sudo は1.0 後)
- シェル: bash 1.x 標準・tcsh/zsh も選択可
- 対応ディストリ: Slackware 2.0 (1994年7月) ・Debian 0.91 (1994年1月) ・Red Hat 0.9 (1994年10月)
Linux 1.0 リリースイベント (1994年3月14日)
歴史的瞬間の演出:
- 会場: ヘルシンキ大学・Linus が学生だった大学のメインホール
- 時間: 1994年3月14日午後 (Pi Day だが当時意識せず)
- 参加者: 約500人・大学関係者・地元プログラマ・国際メディア
- 中継: フィンランド国営TV YLE・ニュース放送
- 演出: Linus がコンパイル・実行デモ・最後に「Linux 1.0 is here」宣言
- 記録: 一部記録は今もkernel.org/Linus 個人サイトに保存
1.0 → 1.2 → 2.0 の進化
1994-1996年の発展:
- 1.0 (1994年3月): 安定版確立
- 1.0.9 (1994年4月): 初期バグフィックス連続
- 1.1.0-1.1.95 (1994年4月-1995年3月): 開発版・SMP 実験
- 1.2 (1995年3月): SMP 初期対応 (2 CPU・Alpha/SPARC/MIPS 完全対応)
- 1.2.13 (1995年8月): 1.2 系最終
- 1.3.0-1.3.100 (1995年6月-1996年5月): 2.0 開発版
- 2.0 (1996年6月): 大幅刷新・モジュラーカーネル
ディストリビューション普及 (1994-1996年)
| ディストリ | 1994年 | 1995年 | 1996年 |
|---|---|---|---|
| Slackware | **1.1-2.3 (Patrick Volkerding) ** | **3.0 (1995年6月) ** | 3.1 |
| Debian | **0.91 (1994年1月) ・0.93 (1994年11月) ** | 1.0 (1995年Q3 計画→キャンセル) | 1.1 (1996年6月Buzz) |
| Red Hat | **0.9 (1994年10月Mother's Day) ** | **1.0 (1995年5月) ・2.0 (1995年12月) ** | **3.0 (1996年5月Picasso) ** |
| SUSE | - | 1.0 (1995年Q3 Slackware派生) | 4.2 (1996年Q1) |
| Yggdrasil | LGX (1994年Plug-and-Play CD) | LGX (1995年) | (廃止) |
1994年Linux 業界状況
- ユーザー数: 推定30万人 (世界)
- 企業採用: ほぼなし (商用UNIX Solaris/HP-UX/IRIX/AIX が支配)
- Linux 採用業界: 大学研究所・小規模Web サーバ・趣味プログラマ
- 競合 UNIX: BSD 4.4 (FreeBSD 2.0 1994年11月・NetBSD 1.0 1994年) と並走
- 重要書籍: 「Linux Kernel Internals」(1996年初版・Linux 教育の原点)
採用システム (1994-1996年)
- 大学: フィンランド・ドイツ・米国 (MIT・Stanford・UC Berkeley) ・日本 (東工大・東大)
- 小規模Web サーバ: Apache 0.6 (1995年) /1.0 (1995年12月) ・初期インターネットインフラ
- ハードウェア: i486/Pentium PC・¥150,000-300,000帯
- 代表 Linux 雑誌: Linux Journal (1994年4月創刊・米国Phil Hughes)
関連技術との違い
| 項目 | 0.99 (1993) | 1.0 (1994) | 1.2 (1995) |
|---|---|---|---|
| 公式安定版 | なし (開発版) | **あり (初の安定版) ** | あり (改良) |
| SMP | なし | **なし (1.2 で初期) ** | あり (2 CPU 限定) |
| 移植 CPU | x86 主体 | x86・Alpha 開始 | x86・Alpha・SPARC・MIPS |
| カーネルサイズ | 約150,000 行 | 176,250 行 | 推定250,000 行 |
| ディストリ | SLS・Slackware・Debian | Red Hat 0.9 追加 | Red Hat 1.0/2.0・SUSE 1.0 |
よくある質問 (FAQ)
Q1: Linux 1.0 はなぜ重要か? A: (1) 「公式安定版」として企業/個人の採用障壁を大幅低下・ (2) ヘルシンキ大学リリースイベントでメディア露出・知名度向上・ (3) Slackware/Debian/Red Hat 主要ディストリ普及加速・ (4) 1994年Apache・1995年MySQL リリースと連動し LAMP (Linux/Apache/MySQL/PHP) スタックの基盤確立・全要素で「商用Linux 時代の起点」評価。
Q2: なぜLinus がフィンランド在住・米国でなくフィンランドで開発したか? A: Linus が フィンランド国籍・ヘルシンキ大学計算機科学専攻だったため。1996年から米国Transmeta (Crusoe CPU 開発・後Linux 専属) で勤務・1997年以降米国Oregon 在住。Linux 開発の中心はLinus 在住地に従い 1991-1996フィンランド・1997-現在米国Oregon。
Q3: 現代でLinux 1.0 動作可能? A: kernel.org アーカイブからソース入手可能 (1994年公開) ・GCC 2.x/古いLinux ホストで再現コンパイル可能 (現代GCC 14.x は非互換) ・QEMU で実行可能。Slackware 1.x ディストリISO 入手可能・i486 PC 仮想環境で動作再現・教育用途・歴史研究用途。
まとめ
- 1994年3月14日Linus Torvalds公式リリース
- Linuxカーネル初の安定版
- TCP/IP・X Window System 標準対応
- ヘルシンキ大学講堂でリリースイベント
- 176,250 行ソースコード