Linux 2.0 (1996年)(リナックスニゼロ)
Linux 2.0は1996年6月Linus Torvalds公式リリースのLinuxカーネル第2世代でSMP本格対応 (32 CPU) ・モジュラーカーネル・複数アーキ拡張 (x86/Alpha/SPARC/MIPS/m68k/PowerPC) 採用しサーバOS 主流化の起点となった重要バージョン。
Linux 2.0 (1996年)
概要
Linux 2.0は1996年6月9日Linus Torvalds公式リリースのLinuxカーネル第2世代でSMP本格対応 (最大32 CPU・1.2 の 2 CPU から拡張) ・モジュラーカーネル (Loadable Kernel Modules・LKM) 採用しドライバ動的ロード可能・複数アーキ完全対応 (x86・Alpha・SPARC・MIPS・m68k・PowerPC) ・IPv6 実験対応・IPv4 改良・ネイティブ Threading 改良・ファイルシステム多様化 (ext2/iso9660/nfs/smbfs) 採用しサーバOS 主流化の起点となった重要バージョン。マスコット「Tux」(ペンギン) も同年制定。Apache 1.0 (1995年12月) ・MySQL 3.x (1996年5月) と組合せたLAMP スタック誕生期。
主な特徴・仕組み
- リリース日: 1996年6月9日Linus Torvalds
- ソースコード行数: 約470,000 行 (1.0 の176K の2.7倍)
- アーキテクチャ完全対応: x86・Alpha (DEC) ・SPARC (Sun) ・MIPS (SGI) ・m68k (Motorola・Amiga/Atari/Mac) ・PowerPC (IBM/Motorola/Apple)
- SMP (Symmetric Multi-Processing): 最大32 CPU 対応・1.2 の 2 CPU から拡張
- モジュラーカーネル: Loadable Kernel Modules (LKM) ・ドライバ動的ロード/アンロード
- ファイルシステム: ext2 (主流) ・ext (古い) ・iso9660 (CD-ROM) ・MS-DOS FAT・nfs・smbfs (Samba 連携)
- ネットワーク: TCP/IPv4 改良・IPv6 実験対応 (世界初)・IP マスカレード (NAT)
- Threading: clone() システムコール・カーネル レベル スレッド
- メモリ: 仮想メモリ改良・最大2GB ユーザー空間 (32bit 制限)
- マスコット: Tux (ペンギン・Larry Ewing 作・1996年5月制定)
- 対応ディストリ: Slackware 3.1 (1996年5月) ・Red Hat 4.0 (1996年10月Colgate) ・Debian 1.1 (1996年6月Buzz) ・SUSE 4.2
モジュラーカーネル (LKM) 革新
1996年Linux 2.0 で本格展開:
- 動作: insmod/rmmod コマンドで動的にドライバ ロード/アンロード
- メリット: カーネル再コンパイル不要でハードウェア対応追加
- デメリット: 性能上ガラ落ち (関数ポインタ間接呼出)
- 採用例: USB ドライバ・サウンドカードドライバ・特殊ファイルシステム
- 競合: FreeBSD kld (1996年) ・Solaris loadable modules・Windows .sys ドライバ
- 後継: 全現代Linux で標準・kmod (1997年Erik Andersen) ・udev (2003年Greg Kroah-Hartman)
SMP 32 CPU 対応
サーバ Linux の本格化:
- 1.2 (1995年3月): SMP 2 CPU 限定
- 2.0 (1996年6月): SMP 32 CPU 対応 (Big Kernel Lock・BKL 採用・並列度低)
- 2.2 (1999年): SMP 改善・BKL 縮小
- 2.4 (2001年): SMP 大幅改善・BKL 撤廃方針
- 2.6 (2003年): SMP 完全実装・BKL 廃止 (2010年完了)
- 後継: 現代Linux 6.x で数千CPU NUMA システム対応
Tux マスコット (1996年)
Linux 公式マスコット・ペンギン:
- 作者: Larry Ewing (1996年5月)
- 採用: 1996年Linus が承認・正式マスコット
- 名前由来: 「Torvalds Unix」もしくは「Tuxedo」(ペンギンが燕尾服に似ているため)
- 意義: Linux ブランド統一・コミュニティアイデンティティ
- 使用: Linux 関連書籍・ディストリ・カンファレンス・グッズ
- 2026年: Linux Foundation 商標・全世界Linux 関連で利用継続
IPv6 世界初の実験対応
1996年Linux 2.0 でIPv6 (RFC 1883 ドラフト) 対応:
- 動作: 実験的・IPv4 と並存可能
- 後継: 2.2 (1999年) で本格対応・2.6 で安定実装
- 業界: Windows NT/2000 は2002年・Mac OS X は2002年対応・Linux が先行
1996年Linux 業界状況
- ユーザー数: 推定100万人 (世界)
- 企業採用拡大: 中小企業Web/メール/DNS サーバ採用増
- 代表的 Linux 採用企業: VA Linux (1995年創業) ・Cygnus Solutions (1989年・後Red Hat 買収)
- Linux カンファレンス: 1996年初開催 (Decus・USENIX 一部)
- 重要書籍: 「Linux Kernel Internals」第2版 (1996年・Beck et al)
採用システム (1996-1999年)
- 小規模Web サーバ: Apache 1.0/1.1 (1995-1997年) ・LAMP スタック先駆け
- メールサーバ: Sendmail (1996年7.x) ・後Postfix (1998年Wietse Venema)
- DNS サーバ: BIND 4.x/8.x
- ファイル共有: Samba 1.9.x (1996年Andrew Tridgell)
- データベース: PostgreSQL 6.x (1996年) ・MySQL 3.x (1996年Michael Widenius)
- 企業内サーバ: VA Linux ハードウェア・¥500,000-2,000,000帯
- PC ユーザー: i486-Pentium PC・¥150,000-400,000帯
関連技術との違い
| 項目 | 1.0 (1994) | 2.0 (1996) | 2.2 (1999) |
|---|---|---|---|
| ソースコード | 176K 行 | **470K 行 (2.7倍) ** | 約1.7M 行 |
| SMP | 2 CPU (1.2) | 32 CPU | 32 CPU 改善 |
| LKM | なし (1.2 で初期) | 本格採用 | 改良 |
| 対応 CPU | x86・Alpha | x86・Alpha・SPARC・MIPS・m68k・PowerPC | +ARM・PA-RISC |
| IPv6 | なし | **実験対応 (世界初) ** | 本格対応 |
よくある質問 (FAQ)
Q1: Linux 2.0 の歴史的意義は? A: (1) SMP 32 CPU 対応で本格サーバ Linux 化・ (2) モジュラーカーネルでドライバ柔軟性飛躍向上・ (3) 6 アーキ完全対応で汎用OS 地位確立・ (4) IPv6 世界初実験対応・ (5) Tux マスコット制定でブランド統一・全要素で「Linux 商用化・標準化の起点」評価。
Q2: なぜTuxはペンギンか? A: Linus Torvalds が動物園で見たペンギンの写真に魅了され「クールな動物」と認識・Larry Ewing が描いた愛らしいペンギン Tux をLinus が承認。フィクション説 (Linus がペンギンに噛まれたエピソード) もあるが事実かは不明。
Q3: 現代でLinux 2.0 動作可能? A: kernel.org アーカイブからソース入手可能・GCC 2.x/古いLinux 環境で再現コンパイル可能・QEMU 等仮想環境で動作・i486/Pentium 古PC で実用も可能 (極めて限定的なソフト動作環境) ・教育/歴史研究用途。
まとめ
- 1996年6月Linus Torvalds公式リリース
- SMP本格対応 (最大32 CPU)
- モジュラーカーネル (LKM)
- 複数アーキ完全対応 (6 系統)
- Tux マスコット制定・LAMP スタック誕生期