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Mamba SSM(マンバエスエスエム)

CMUが2023年に発表した選択的状態空間モデル。入力依存のゲーティング機構により、Transformerの二次複雑度問題を克服しO(L)線形時間で長文脈を処理する。

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2026/6/8 更新
関連タグ
SSM
状態空間モデル
線形アテンション
LLM
効率化

Mamba SSM とは

Mamba SSMはCMUのAlbert GuとTri Daoが2023年12月に発表した選択的状態空間モデル(Selective State Space Model)。従来のSSM(S4、H3等)が固定パラメータで全系列を一律処理するのに対し、Mambaは入力依存のゲーティングを導入してモデルが動的に何を記憶・忘却するかを選択できる。

Transformerとの根本的な違い

項目TransformerMamba SSM
時間複雑度O(L²)O(L)
空間複雑度O(L²) KVキャッシュO(d) 固定状態
並列学習✓ アテンション並列✓ スキャン並列
逐次推論KVキャッシュ増大固定サイズ状態

Transformerはself-attentionで系列長Lの二乗に比例する計算・メモリを消費するが、MambaはSSMの再帰的状態更新でO(L)に抑える。

Selection Mechanism の仕組み

Mambaの核心は選択メカニズム。SSMのパラメータ B、C、Δ(離散化ステップサイズ)を入力xtの関数として動的に算出する:

  • B(入力投影): 入力をどれだけ状態に取り込むか
  • C(出力投影): 状態からどれだけ出力に反映するか
  • Δ(ステップサイズ): 連続SSMを離散化する際の時間刻み。大Δ→過去を忘れやすい

時系列的に無関係なトークンはΔを小さくして無視し、重要なトークンはΔを大きくして状態に焼き付ける。これにより「選択的コピー」「誘導頭(induction head)」相当の能力をSSMで実現した。

Hardware-Aware Algorithm

選択的SSMはHiPPO理論をベースに離散化が必要で、ナイーブ実装ではGPUのSRAM↔HBM転送がボトルネックになる。MambaはFlashAttentionと同様のカーネルフュージョン(Associative Scan + Kernel Fusion)でHBMアクセスを削減し、実測でフラッシュアテンション並みのスループットを達成した。

性能・実績

  • 1.4B〜2.8BパラメータでTransformer同規模モデルと同等のperplexity
  • 推論スループット:Transformerの最大5倍(長文脈ほど差が拡大)
  • Pile/The Stackでの評価:GPT-Neo相当の精度
  • Jamba(12B MoE + Mamba)は256Kトークン文脈でGPT-4同等の長文精度

派生・後継モデル

モデル概要
MambaByteバイト単位LM、トークナイザー不要
JambaMamba+Transformerハイブリッド、AI21 Labs
Zamba7Bハイブリッド、Zyphra
Falcon Mamba 7B純粋SSM、TII UAE
Codestral Mambaコード特化、Mistral AI
NVIDIA Mamba-2-HybridMamba2ブロック+注意ブロック混合

2025年の位置づけ

Mambaは「Transformerキラー」の期待を受けたが、実際は長文脈推論でのin-context learningがTransformerより劣るという報告が複数あり、完全置換よりTransformerとのハイブリッドがトレンドになっている。それでも長文書要約・ゲノム配列処理・オーディオモデリングではMamba純粋系が優位な場合がある。

この記事について
カテゴリーAI・機械学習
難易度上級
作成日2026/6/8