BIOS ErP/ACPI/Deep Sleep(イーアールピー)
PSU 待機電力削減。ErP(Energy-related Products・EU指令・S5 shutdown <0.5W)・ErP Lot 6(<0.5W)・ErP Lot 3(<0.21W stricter)・Deep Sleep S4/S5 enable BIOS・USB Powered after Shutdown disable(USB charge無効)・ASUS DeepSleep S4+S5・Wake on LAN/USB/Keyboard注意(ErP enable時無効化)・Intel Standby Mode(S0ix・Modern Standby)・AMD CPPC powerdown・Linux suspend-to-RAM/S3・2026年 環境配慮設定default化、待機0.3W目指す。
概要
BIOS ErP/ACPI/Deep Sleepは、PCの待機電力を極限まで削減するための機能群である。ErP(Energy‑related Products)はEU指令に基づき、S5(完全シャットダウン)時の消費電力を0.5 W以下に抑えることを求める。ErP Lot 6では0.5 W、Lot 3ではさらに厳格な0.21 Wが目標である。Deep SleepはS4/S5モードを有効化し、USB充電を無効化することで消費を抑える。2025年にEUはErP Lot 3を標準化し、2026年にはIntelとAMDがS0ix/CPPCを拡張して待機電力を0.3 Wに近づける方向で進化している。
主な特徴・仕組み
- ErP Lot 6:S5時の消費電力 ≤ 0.5 W。USBポートは充電不可。
- ErP Lot 3:S5時の消費電力 ≤ 0.21 W。USBポートは完全に遮断。
- Deep Sleep(S4/S5):CPU、GPU、RAMを完全停止。S5時に電源供給は最小化。
- USB Powered after Shutdown disable:シャットダウン後にUSB充電を無効化。
- Wake‑on‑LAN/USB/Keyboard:ErP有効時は自動で無効化。
- Intel Standby Mode:S0ix(低消費モード)とModern Standby(S0i3)を組み合わせる。
- AMD CPPC:CPUパワー管理を動的に調整し、待機時に0.3 Wを目指す。
- Linux suspend‑to‑RAM(S3):RAMに全状態保持、再起動は数秒で完了。
- 2025年の動向:PCIe 6.0が標準化され、NVMe SSDのデータ転送速度が3 GB/sを超える。
- 2026年の動向:IntelはS0ixを全CPUファミリーに拡張、AMDはCPPCを完全統合。
- 2026年の動向:EUはErP Lot 3を法的義務化し、0.21 Wを必須に。
スペック比較表
| モード | 待機電力上限 | USB充電可否 | 主要機能 | 2025/2026対応 |
|---|---|---|---|---|
| ErP Lot 6 | 0.5 W | なし | S5停止 | PCIe 6.0対応 |
| ErP Lot 3 | 0.21 W | なし | S5停止 + CPPC | S0ix全CPU |
| Deep Sleep (S4) | 0.3 W | なし | CPU/GPU完全停止 | Modern Standby統合 |
具体例・対応製品
- ASUS ROG Strix Z790-E
- BIOSでErP Lot 3を選択可能。
- 12 nm Intel Core i9‑13900K(8 C/16 T)搭載。
- 450 W TDP。
- 24 GB DDR5‑6000。
- MSI MPG B650 Carbon WiFi
- AMD Ryzen 9 7950X3D(16 C/32 T)対応。
- CPPC 3.0対応で待機電力 0.25 W。
- 1 TB NVMe SSD(Samsung 980 Pro)接続。
- Gigabyte B650 AORUS Elite
- 0.3 W待機電力を実現。
- 16 GB DDR5‑5200、DDR5-6000オーバークロック可能。
- 3.5 GHz 基本クロック。
- Corsair RM850x(電源)
- 850 W 80+ Platinum、ErP対応。
- 0.1 W待機電力。
- EVGA SuperNOVA 750 G5
- 750 W 80+ Gold、ErP Lot 3対応。
- 0.15 W待機。
自作PCでの選び方・注意点
- マザーボードのBIOS設定
- ErPを有効にし、Lot 3を選択。
- Deep Sleep(S4/S5)を有効化。
- USB充電を無効化。
- CPU・GPUの消費電力
- 低TDP(≤ 250 W)モデルを選ぶ。
- IntelのS0ixやAMDのCPPCをサポートするファミリーを選択。
- 電源ユニット
- ErP対応、待機電力≤ 0.2 Wの製品を選ぶ。
- 80+ Platinum以上を推奨。
- OS側の設定
- Linuxなら
systemd-suspendを利用し、S3モードでスリープ。 - Windowsなら「電源オプション」で「高性能」+「待機時に最小電力」設定。
- Linuxなら
- ワンタイム設定
- BIOSで ErP を有効にすると、Wake‑on‑LAN/USB/Keyboard が自動で無効化されるため、必要に応じて手動で再有効化。
- 冷却とファン制御
- 待機時にファンが回らないように、ファンコントロールを「ゼロ」に設定。
関連用語との違い
| 用語 | 目的 | 主な違い |
|---|---|---|
| ACPI | OSとハードウェアの電源管理協調 | ErPはEU規制、ACPIはOS側標準 |
| S4/S5 | BIOS側のスリープ/シャットダウン | Deep SleepはS4/S5を有効化 |
| S0ix | Intel CPU内部の低電力状態 | CPPCはAMD側の低電力管理 |
| Modern Standby | S0i3で高速再開 | S3は完全スリープ(RAM保持) |
よくある質問(FAQ)
Q1. ErPを有効にするとUSB充電ができなくなるのは本当ですか?
A1. はい。ErP Lot 3ではS5時にUSBポートを完全に遮断するため、USB充電はできません。USB充電が必要な場合は、ErPを無効化するか、USB充電専用のポートを別途設置してください。
Q2. IntelとAMDでDeep Sleepの実装は同じですか?
A2. 基本的にはS4/S5モードは同じですが、IntelはS0ix(S0i3)を組み合わせてさらに低消費を実現し、AMDはCPPC(CPU Power Control Protocol)を使用します。結果として待機電力は似た値になるものの、実装方法とOS側のサポートが異なります。
Q3. 2026年に予定されている待機電力目標は何ですか?
A3. EUはErP Lot 3を法的義務化し、S5時の消費電力を0.21 Wに設定。IntelはS0ixを全CPUに拡張し、AMDはCPPCを完全統合して待機電力を0.3 Wに近づける方向で進化しています。
まとめ
BIOS ErP/ACPI/Deep Sleepは、PCの待機電力を0.5 W以下に抑えるための重要な機能群であり、2025年から2026年にかけてEU規制とハードウェアメーカーの技術進化により、さらに厳格な基準が導入される。自作PCを構築する際は、マザーボードのBIOS設定、CPU・GPUの消費電力、電源ユニットのErP対応をしっかり確認し、必要に応じてUSB充電やWake‑on機能を調整することで、環境負荷を最小限に抑えつつ快適な使用体験を実現できる。