概要
TDC (Thermal Design Current) は、電源部品(主にVRM)が安全に動作するために設計された最大電流値です。設計者は、システム全体の最大消費電力や安全マージンを考慮してTDCを決定し、その値に基づいてヒートシンクや冷却機構を選定します。TDCを超える電流を長期間流すと、部品の過熱による故障につながる可能性があります。
TDCは、VRMなどの電源回路における最大負荷状態を想定した設計値です。これは、システム全体のCPU、GPU、メモリなどが最大消費電力で動作し、VRMがピーク時に最も高い電流を供給する状態を指します。TDCは、部品メーカーが提示する最大定格電流値よりも低く設定されることが一般的で、安全マージンを確保するために、周囲温度や冷却性能などを考慮して調整されます。実際の動作電流がTDCに近い場合、VRMの温度上昇を監視し、サーマルスロットリングやシャットダウンといった保護機構が作動する可能性があります。TDCは、データシートに記載されている許容電流(continuous current, peak current)とは異なり、設計者が設定する設計値です。
マザーボードを選ぶ際には、CPUのTDP(Thermal Design Power)だけでなく、VRMのTDCも確認することが重要です。特にオーバークロックを行う場合、CPUの電力消費量はTDPを大幅に超える可能性があるため、VRMのTDCが十分な余裕を持つマザーボードを選ぶ必要があります。また、GPUのオーバークロックを行う場合も、GPU VRMのTDCが重要になります。
TDCは、あくまで設計上の値であり、実際の動作環境では様々な要因によって変動します。周囲温度、冷却性能、VRMのレイアウトなどによって、VRMの温度が上昇し、TDCを超える可能性があります。VRMの温度モニタリング機能を活用し、異常な温度上昇がないか確認することが重要です。