Thunderbolt 5規格(サンダーボルトファイブキカク)
2024年登場のIntel次世代高速接続規格。PAM-3変調で80Gbps双方向・帯域非対称モードで120Gbpsを実現し、8K映像出力やeGPU接続を次の水準に引き上げる。
Thunderbolt 5規格とは
Thunderbolt 5(TB5)は、Intelが2024年に正式リリースした次世代高速接続規格である。従来のThunderbolt 4(40Gbps)から帯域幅を倍増し、双方向80Gbps・帯域非対称モードで送信方向120Gbpsを実現する。物理層にPAM-3(Pulse Amplitude Modulation 3-level)変調を採用し、既存のUSB Type-Cケーブルとの互換性を維持しながら大幅な高速化を達成した。
PAM-3変調とは
従来のThunderbolt 3/4はNRZ(Non-Return-to-Zero、2値変調)を使用していたが、TB5は3値変調のPAM-3に移行した。1シンボルあたりの情報量が1ビットから約1.58ビットに増加するため、信号周波数を上げずに帯域幅を拡大できる。
| 変調方式 | レベル数 | ビット/シンボル | 採用規格 |
|---|---|---|---|
| NRZ | 2 | 1.0 | TB3/TB4, USB 3.x |
| PAM-3 | 3 | 1.58 | Thunderbolt 5 |
| PAM-4 | 4 | 2.0 | PCIe 6.0, 800GbE |
PAM-4ではなくPAM-3を採用した理由は、信号対雑音比(SNR)とのトレードオフ。PAM-4はSNRが厳しくなり高価なケーブルやリタイマが必要になるが、PAM-3はコストと性能のバランスが良い。
帯域非対称モード
TB5の特徴的な機能が帯域非対称モード(Bandwidth Boost)である。通常は送受信各40Gbps×2レーン=80Gbps双方向だが、帯域非対称モードでは送信に3レーン(120Gbps)・受信に1レーン(40Gbps)を割り当てる。
活用シーン
- eGPU: GPU→PCへの映像データは大量だがPC→GPUのコマンドは少量のため、非対称モードが最適
- 外部ストレージ書込: 大容量ファイルの一方向転送で真価を発揮
- 8K映像出力: 8K 60Hz HDR(約48Gbps)を単一ケーブルで出力可能
TB5対応製品(2025-2026年)
| カテゴリ | 製品 | 特徴 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| ノートPC | Razer Blade 18 (2025) | Intel Arrow Lake + TB5 | 約40万円 |
| ノートPC | Dell XPS 16 (2025) | TB5 × 2ポート | 約30万円 |
| ドック | Belkin TB5 Pro Dock | 14ポート・140W PD | 約55,000円 |
| ドック | Kensington SD5780T | 4K×3出力・140W PD | 約50,000円 |
| eGPU | Razer Core X TB5 | TB5で実効帯域2倍 | 未発表 |
| ストレージ | OWC Envoy Ultra TB5 | NVMe 読取6,000MB/s | 約30,000円 |
USB4 v2との関係
USB4 Version 2.0もPAM-3で80Gbpsに対応しており、TB5と物理層は共通。ただしTB5はIntelの認証プログラムでDMA保護・4K×3出力・帯域非対称モードが必須要件として保証される。USB4 v2は各社の実装裁量が広く、最低保証が低い。
ケーブル要件
TB5はパッシブケーブル(1m以内)で80Gbps、アクティブケーブル(2m)で80Gbpsを実現する。120Gbps帯域非対称モードは一部のアクティブケーブルで対応。既存のTB4パッシブケーブル(40Gbps認証)はTB5環境で40Gbpsにフォールバックする。
「USB-IF認証」と「Intel Thunderbolt認証」の両方を持つケーブルを選ぶのが安全で、非認証ケーブルではデータ破損やPD給電不良のリスクがある。
FAQ
Q1: TB5はTB4と互換性がある?
完全下位互換。TB5ポートにTB4/TB3デバイスを接続すると各世代の速度で動作する。逆にTB4ポートにTB5デバイスを接続しても40Gbpsで動作する。
Q2: AMD CPUでTB5は使える?
2026年時点ではTB5はIntel Arrow Lake以降のCPUでネイティブ対応。AMDはUSB4 v2をサポートするがTB5認証は取得していない。外付けTB5コントローラ(Barlow Ridge)で対応可能。
Q3: TB5でPCIe 5.0 NVMe SSDの全速が出る?
TB5の80Gbps帯域でPCIe 4.0 x4 NVMe(約56Gbps)は余裕でカバー。PCIe 5.0 x4(約128Gbps)は帯域非対称モード(120Gbps)でも完全には収まらないが、実用上は十分な速度が出る。